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メーカー(半導体・電子・電気部品) / メーカー(重電・産業プラント) / メーカー(コンピュータ・通信機器・ゲーム機器)
最終更新日: 2007/10/01
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プロの仕事研究
「有価証券報告書」など投資判断に必要な情報を内外に提供する決算のプロ。
事務系−財務・経理・法務・広報
経営企画部
伊藤 大輔 (34歳) Daisuke Ito
入社9年目 / 大学院 経営情報学研究科 出身

プロフィール
大学院で会計を学んだあと、『職種別採用』で経理を希望し東芝へ。入社後約4年間、東芝セミコンダクター社四日市工場に所属し、半導体メモリの原価計算などを経験。2004年5月より東芝アカウンティングサービス(株)決算業務部で決算を担当。現在は、経営企画部で活躍している。

プロローグ
「事業範囲が広く、事業規模も大きい企業なら、経理という一つの職種であっても様々な経験が積めるはずだ」と、東芝への入社を決めた伊藤。配属されたのは半導体の製造・販売を行う東芝の社内カンパニー、セミコンダクター社の四日市工場。伊藤はここで半導体メモリの原価計算を担当。“ものづくりの現場”を目の当たりにしながらの業務は、手応えもやりがいも大きかった。入社5年目を迎えた2004年の春、伊藤は東芝アカウンティングサービス(株)へ異動。「今度はどんな新しい仕事ができるだろう」。伊藤は期待に胸を躍らせた。そんな伊藤の度胆を抜いたのは、見たことのないケタ違いの数字であった。伊藤はあらためて自分が「すごい部署へ来た」ことを実感し、新たな闘志がわいてきた。異動して約半年、仕事にも大分慣れてきた頃、新しい使命が与えられた。有価証券報告書の半期版、半期報告書の作成だ。有価証券報告書とは証券取引法に定められた重要開示資料の一つ。「自分にできるだろうか」。伊藤の胸中は期待と不安でいっぱいだった。

『経理』という枠の中に埋もれない仕事がしたい 1
大学院で会計を学んでいた伊藤は、次第に「将来は経理の仕事がしたい」と考えるようになっていた。とはいえ、経理という枠の中に埋もれるのは嫌だった。その点、「事業範囲が広く、事業規模も大きい企業なら、経理という一つの職種の中にも様々な業務があり、いろいろな経験が積めるはずだ」と考え、東芝への入社を決めた。伊藤が入社後、まず配属されたのは半導体の製造・販売を行う東芝セミコンダクター社の四日市工場、“ものづくりの現場”だった。伊藤の仕事は半導体メモリの原価計算である。「これがこうした工程を通って製品になり、完成時点でいくらのコストがかかっていて、それが最終的にいくらで売れていく……ものの流れを目の当たりにしながらの仕事って、おもしろい!」。伊藤はそう実感した。時には入社1年目ながら海外の業務委託先へ監査に行くこともあった。現場に直結する仕事で常に手応えを感じることができ、また業務も幅広く、毎日が新鮮だった。そして、入社5年目を迎えた2004年の春、伊藤は東芝アカウンティングサービス(株)へ異動となる。ここは東芝グループ数百社、何兆という単位の数字を扱う、経理・財務の中枢部署。投資判断に必要な情報を内外へ提供することがその仕事である。新しい仕事への期待が膨らんだ。

異動わずか半年足らず、重要開示資料の作成を命じられる 2
伊藤が新たに着任した決算業務部の主な仕事は、東芝グループの財務諸表の作成である。伊藤がまず度胆を抜かれたのが、そのケタ違いの数字だった。何千万、何億ではなく、兆という単位の数字が並んでいる。改めて自分が「すごい部署へ来た」ことを実感し、新たな闘志に燃えていた。そして、異動して半年足らず、仕事にも大分慣れてきた頃、伊藤に新しい使命が与えられた。それは有価証券報告書の半期版、半期報告書の作成である。有価証券報告書とは、株式など有価証券の発行会社が金融庁へ提出するもので、その作成・開示は証券取引法により定められている。記載内容は投資判断に必要な情報、企業の概況から設備投資、資金調達の状況、研究開発の内容までと多岐にわたり、このため、法務部を中心に、技術部、生産企画部といった複数部署の力を結集して作成するのだ。その内、『経理の状況』部分の取りまとめが伊藤の担当だ。「自分にできるだろうか」。それが任務に対する伊藤の率直な気持ちだった。

公表資料だけに間違いは絶対に許されない 3
有価証券報告書は、決算日後3ヵ月以内に作成・開示せよと定められている。このため、東芝の半期報告書の場合、9月末日から3ヵ月が猶予期間だ。9月に入り、まずは提出日を2ヵ月後と決定、そこから逆算してスケジュール化していくことから始まった。伊藤は世界中の関係会社400数社から決算データを入手、それらをもとに集計、分析を行う。中でもいちばん気を遣うのは、こちらが意図している数字を相手にきちんと理解させ、提出してもらうことだ。なぜなら、ここで集めた情報が正式な数値として外に出てしまうからである。だからこそ、伊藤はどんな問い合わせにも丁寧に、わかりやすく答える。「半期報告書は、東芝の公表資料。絶対に間違いは許されない」。当然ながら、どれだけ時間をかけて作成しても評価されはしないのだ。また、公表前の数値等極秘情報を扱っているため、数値の取り扱いには最大限の注意を払うし、内容のチェックは部のメンバー総動員で入念に行う。特に先輩社員たちのチェックは半端ではない。一言一句、時間の許す限り、これでもかと見る。「そこまでやるのは、それだけの情報を扱っているということなんだ」。新たな気づきを得た伊藤。目指すゴールはもう目前だった。

最後の関門は副社長への内容説明 4
伊藤は無事、期日までに半期報告書をまとめあげた。しかし、伊藤の仕事はまだ終わっていない。担当役員である副社長に内容説明し、了承を得るという最後の関門が残っていたのだ。数日前、上司から、メイン担当者である伊藤自身が自分で説明するようにと言われていた。「こんな重要なことをまだ経験も浅い私の口から説明していいのだろうか」。そう思ったが、チャンスを与えてくれ、予行演習にまで付き合ってくれた上司になんとか応えたかった。そして当日、「緊張するけれど、思い切っていくしかない」と、副社長と経理のトップ二人を目の前に40分かけて説明。その間、ポイントをつく質問が飛ぶ。途中、法務部門が作成しているところにまで質問が及び緊張もしたが、伊藤はすべての事項に淀みなく答え、無事了承を得た。あとは公表される日を待つのみである。すべての資料の最終確認を終え、自分たちが何ヵ月もかけて取りまとめた数値、意思を持って作成した資料。それが公表された時、なんともいえない充実感を得ることができた。東京証券取引所のホームページに掲載された自社や他社の数字をチェックしながら、「やっと一仕事終ったな…」。伊藤は心の中でそうつぶやいていた。

エピローグ
「経理という一つの職種であっても様々な経験が積めるはずだ」と東芝への入社を決めた伊藤。まずは工場というものづくりの現場に直結していた経理を経験し、その後、経理・財務の中枢部署でも活躍。若手ながら、有価証券報告書の取りまとめや副社長へのプレゼンも経験した。「経理という職種の中でもいろいろな業務があり、それを経験できる。私自身、業務内容も職場環境もまったく異なる職場を経験したが、どちらの職場でも人に恵まれ、学ぶことが多かった」。現在は、3ヵ所目のローテーション先として、経営企画部で活躍中である。
作成した資料は一点の不安感も打ち消すぐらいチェックをしていた。「間違いは許されませんから」。

〜仕事で活かした学生時代の経験〜
大学院時代、「財務諸表注記事項の歴史的変遷について」というテーマで修士論文を書いた。財務諸表の補足説明である『注記事項』は年々内容が厚くなる傾向にある。「当時はまさかそれらを作成する立場になるとは思ってもみませんでしたが、知識として持っていて損はなかったですね」。
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