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最終更新日: 2008/04/28
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プロの仕事研究
悩むより先に行動を起こすことで大きなチャンスをたぐりよせた、Web開発のプロ。
ソフトウェア系−システムエンジニア(オープン、WEB系)
取締役 最高技術責任者
笠谷 真也 (30歳) Shinya Kasatani
入社8年目 / 慶應義塾大学 環境情報学部 出身

プロフィール
学生時代にKBMJに参加するも、卒業後は内定していた大手ISPに就職。しかし、やはり自らの手でWeb開発がしたいと、4ヶ月後に復帰する。以降、プログラミングのスペシャリストとして数々のプロジェクトを成功に導き、現在、KBMJにおける技術部門の最高責任者としてエンジニアたちからの厚い信頼を集めている。

プロローグ
2000年、大学発のベンチャー企業として慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス近くのアパートの一室で産声を上げたKBMJ。同社が現在のような成長を成し遂げる最大の転機となったのが、2001年に着手したある大規模サイトをオープン環境へと移行するプロジェクトであった。それまで自社サイトや自社製品の開発のみを行なってきた同社にとって、初めてとなる対企業へのソリューション開発。同プロジェクトにおける中核を担っていたのが、ここに紹介する笠谷真也その人である。

彼とKBMJとの出会いは、自身が慶應義塾大学4年生だった時。同社の初めての事業となる「株★魔人」という新しいサイトをつくるにあたり、プログラマを必要していたKBMJ立ち上げメンバーが知人たちから情報を集めていた。その時、候補の筆頭として名が上がったのが、笠谷であった。大学卒業後は、すでに内定の出ていた大手ISPに一旦は就職。しかし、根っからのプログラマであった笠谷は、自分たち自身の手で開発していく醍醐味を忘れることができず、わずか4ヶ月後に再合流。ちょうどそのタイミングで来た話こそ、後のKBMJの急成長を大きく決定づけるものであった。

初めての他企業へのソリューション提供、しかも規模は未体験の大きさ。 1
その話が来たのは、人づての紹介によるものだった。まずは小規模なサイトの立ち上げが求められた。この要請に対し、笠谷はわずか2週間ほどでサイトを立ち上げてみせ、高い評価を獲得する。実はこの要請は“実験”的な意味も持っており、その直後に求められたのが、大きなサイトのリニューアルに際してシステムを改修するという大仕事であったのだ。

それまで「株★魔人」、「One to One Ranking System」といった自社サイト、自社製品の開発だけで事業を展開してきたKBMJにとっては、初めてとなる自社以外の企業に対するソリューションサービスの提供。もし、サイトが止まるようなことがあれば、お客さまのビジネスに直接損失をもたらすこととなる。責任の大きさは自社サイトの開発とは比べものにならない。また、サーバが10台を越えるという大規模なサイトの開発も当時の笠谷たちにとっては初めての体験だった。全てが初めて体験することだらけの開発。このプロジェクトを成功させることが、後の自分たちの会社にとっていかに大きな意味を持つかも分かっていた。しかし笠谷には、「面白そうだ」というエンジニアとしての好奇心の方が大きかった。

それは、インターネットという世界においても時代を先駆けるものであった。 2
お客さまからの要求は、商用のソフトウエアやサーバで構築されているシステムをオープンソースのソフトウエア環境に乗せ替えるというもの。そうすることで、コスト削減とパフォーマンスの向上を実現する。さらには、その後サイトの機能追加が必要となった場合にも低いコストで拡張していける。つまりは、後に多くの企業が取り組むこととなる課題に、時代に先駆けて取り組むことになったのだった。

現状のシステムのソースコードを読む笠谷の前に現れたのは、これまで見たこともない複雑で膨大なシステム。もう少し簡単な移植で済むと考えていた予測は裏切られることとなった。笠谷がまず考えたのは、自動的に乗せ替えるツールを開発することだった。もちろん、ノウハウなど無い。しかし彼は、わずか1日でそのツールを完成させる。そして、システム全体を自動移植した後に実際に動かしてみた。結果は、思った以上に動く。これなら、いけそうだ。

しかし、もちろん動かない部分も数多くある。システムの規模が規模だけに、コードを書き換えなくてはならない部分がどれだけあって、どれほどの労力を要するものなのか。まだまだ、先は見えなかった。

不安やあせりと闘いながら、手探りで作業は進んでいった。 3
その後は、ひたすらシステムを実際に触ってみて、エラーや思いどおりに動かない部分を1つ1つ見つけだしては、問題のある部分のコードを解明し、それを書き換えていく。そんな気の遠くなるような作業との闘いだった。

いつも上手くいくとは限らない。時には、書き換えても書き換えても上手くいかないこともあった。そんな時には、「もしリリースまでに間に合わなかったら……」という不安が大きく膨らんだ。自社サイトとは違い、お客さまに多大な迷惑と損害を与えることとなる。改めてこの仕事の責任の重さを実感する笠谷。しかし「悩んでいても進まない」と、彼はあせる気持ちを抑えた。時には思い切って仕事を打ち切り、帰りの電車の中で考える。一晩寝て次の日にひらめくということもあった。ただただ自分の力を信じていくつもの小さな壁を乗り越えていく……。そんな、巨大なシステムと同時に自分自身と闘う日々に笠谷は身を投じていった。

そして迎えたリリースの約1ヶ月前、予め長めに設定しておいたテスト段階の少し前に、ようやくシステムは完成する。しかしながら、笠谷は未だ達成感ではなく不安感に包まれていた。それほど重大な意味をこの仕事は持っていた。

そこから、KBMJの快進撃が始まった。 4
結果的に笠谷が作り上げたシステムは、リリース後も大きな問題なく稼働した。そしてこの仕事は、彼にとってエンジニアとしての大きな自信をもたらすものとなった。これまでも理論的には、「どんなシステムであろうと」という自信は持っていた。しかし、これほどの規模のシステムをいちから作り上げることができたという実感は、代えようのない大きな自信となった。と同時に、同規模のシステムを構築するための方法論も手に入れていた。

そして、KBMJという会社にとっても大きな意味を持つものとなった。笠谷のシステムはお客さまから高い評価を受ける。その結果、紹介という形で同規模のWebソリューションの案件が次から次へと舞い込むことになったのだ。時代が彼らの、いや笠谷のスキルを必要としたのだ。営業をするまでもなく、Webソリューションを提供していく事業が膨らんでいき、KBMJの柱の1つとなった。急速な売上の上昇に合わせて、人も増え組織も大きくなっていった。そして、業界内におけるポジションも確立した。そんな同社における技術の要として、笠谷は今も現場にこだわりプログラマであり続けている。そしてこれからもずっと……。

エピローグ
現在笠谷は、KBMJの技術に関する最高責任者という立場で、アクセス解析商品開発やエンジニアたちのサポート、様々なプロジェクトのバックアップなどと、実に多彩な活躍をしている。あくまでCTOという立場以上に、プログラマとしての立場にこだわる笠谷。自分自身がものをつくることを続けていきたいと考えている。

また一方では、プログラマが自分の作りたいものを作れる会社にしたいと、アイデア出しの大会など新しい企画も実践。社内にとどまらず、オープンソースのプロジェクトに参加したり、社外のエンジニアと交流したりと精力的に活動の幅を広げている笠谷なのだ。
モニターに向かうと、いちプログラマの顔となる笠谷。生涯プログラマであり続けたいと、新しい技術の習得にも余念がない。

〜仕事で活かした学生時代の経験〜
もともと中学生くらいからプログラミングを趣味にしていて、大学でもコンピュータに関する授業を多くとっていた。それが現在に活きているのも事実である。しかし何よりも、「仕事だからコードを書くのではなく好きでコードを書く」という気持ちで仕事に向かえることが、今日の笠谷の仕事の大きな原動力となっている。
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