メーカー(精密機器) / メーカー(機械・工作機械・ロボット) / メーカー(半導体・電子・電気部品)
最終更新日: 2007/10/01
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株式会社堀場アドバンスドテクノ
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プールの塩素濃度を一定化させる携帯型計測器を作った、製品開発のプロ。
技術系−機械・機構設計
開発部 開発課/係長
田中 敦志
(39歳)
| Atsushi Tanaka
入社15年目 / 京都工芸繊維大学 繊維学部 高分子学科 出身
某研究室に籍を置いていた、素材開発の元専門家。同研究所を退所後、堀場アドバンスドテクノに入社。化学知識を活かして様々な開発案件に参加する一方で電気・機械・ソフト知識も身に付け、幅広い技術領域で活躍するエンジニアに転身。現在はテーマリーダーとして、プロジェクトを牽引する存在として活躍している。
「なんだ!? この不細工な筐体は?」。
プロジェクトの進捗状況を報告し合う会議において、田中の発表した「携帯型残留塩素計」の筐体はこの上なく不評であった。参加している他のエンジニアからは、辛らつな意見しか出てこない。それもそのはず、この筐体の試作品は工業デザイナーではなく、田中自身が作ったもの。洗練されたデザインとはお世辞にも言えない。もちろん、そんなことは自分でも分かっている。しかし、この時の田中には、自身が作った筐体を持って会議に臨むしか方法がなかったのである。発足から半年が経過した今も携帯型残留塩素計開発プロジェクトは遅々として進まず、彼はあがき続けていた……。
「こんなことをしていても、開発は進展しない。とにかく、無理にでも進めなければ」。周囲の指摘に妥当さと苛立ちを感じながら、田中は決意した。開発期限まで、残り約半年。それまでに製品を完成させなければならない。しかし、携帯型残留塩素計は測定機器の専門メーカーである堀場アドバンスドテクノ(以下HAT)であっても、開発実績のない製品。ヒントはどこにも存在しない。ゼロから製品を作り出す難しさを、田中は感じずにはいられなかった……。
プールの塩素濃度を計る携帯型計器を開発する。――発足したプロジェクト。
「携帯型残留塩素計? 面白そうだし、やりますよ!」。
プロジェクトへの参加を求められ、田中は快諾した。「先の見える製品開発では、燃えない」と考えていただけに、開発実績が一切ない案件に魅力を感じたのである。今回は、某流水制御機器メーカーからの依頼。学校や自治体などプールの運営者は水質管理を義務付けられており、プール用システムの販売も行うこのメーカーは、問題を解決しようと考えた。そして、測定機器専門メーカーであるHATに開発依頼がやってきたのである。
残留塩素計は流水制御システムにも既に取り付けられているが、塩素は汚染物や紫外線に反応して減少するため、プール中の実塩素濃度を測定しない限り完全な管理を行っているとは言えない。それだけに、運営者には定期的に発色を目視で確かめる、という労力が必要とされていた。また、この検査方法は数値で濃度が見えないことから、調査する人によって差異が出るという問題も抱えていた。このような背景から、田中たちに「誰でも簡単に扱え、濃度を数値で表示できる携帯型残留塩素計」の開発依頼がやってきたのである。それは、正しくゼロからの開発であった。
目指すべき製品が確定できず頭を抱える田中と、目前に迫る進捗報告会議。
「初ものづくしの開発が、こんなに難しいとは…」。
プロジェクト発足から半年後、田中は頭を抱えていた。この時期になっても完成品のイメージを確定させることができずにいたからである。一番の問題は、筐体の形、光学・電気・機械設計、ソフトウェアなどをゼロから考えなければならないこと。もちろん、機械設計だけを進める、ソフト開発だけを進める、などということはできない。各分野の開発が互いに影響を与え合うため、考えれば考えるほど不確定事項が浮き上がってくるのだ。田中には、まだ「目指すべき製品」が見えていなかった。しかし、悩んでいる間にも依頼主は状況の報告を求めてくる。HAT内の各プロジェクトの進捗状況を報告し合う会議も、目前に迫っていた。「とにかく、一歩でも先に進むために筐体を作ってみよう。会議には…これを提出するしかない」。
こうして自作の筐体を持ち込み会議に出席した田中だったが、周囲の反応は散々なものであった。しかし、屈辱が田中のエンジニア魂に火を付けた。「筐体デザインは専門家に任せると割り切ろう。その分、光学設計や基板の配置など内部設計に徹底的にこだわるんだ」。
「自分が決め付けないと進まない」。無理やり進めることにした開発。
「ここは譲れない、という要素がないと開発は進まない」。
無理にでも開発を前進させようとしながら、田中は考えた。「電気・機械・ソフト・筐体…各分野の細かな設計・開発は、専門のエンジニアでなければ分からない。今、全てを確定させることは不可能だ。それだけに、自分が『こんな製品を作る』と決め付けないと進まない」。こうして、開発は進み出した。田中はまず、水質を調査する試薬の評価から取り掛かることにした。残留塩素計の仕組みは、試薬を投入した水に光を通し、その反応を発色電気信号に変換して数値にするというもの。試薬の研究を欠かすことはできない。そして、彼は自らの専門分野である化学系の研究を行いながら製品の仕様を決定していった。「こういう演算をして、ここで電気信号の処理をして…」。
また、イメージを確定した田中は、各分野の開発にも同時に着手することにした。光学設計は上司と共に自らが進行することにし、電気・機械系の設計は、専門のエンジニアと打ち合わせながら仕様を確定した。更に、製品を量産するための金型製作においては、外部協力会社からエンジニアを呼んで図面を書きながら話し合いをした。急速に進み始めたプロジェクト。しかし、こうしているうちにも納期は近づいている…。
「これで製品として使えるはずだ!」。最大の難関、ソフト開発。
「とにかく、動くソフトを作ってください」。
納期まで4ヵ月を切った頃、田中たちは正念場を迎えていた。他の開発はほぼ終了したが、ソフト開発だけが難航していたのである。グループ会社に依頼するというHAT初の試みに挑戦し、ソフト仕様書も自ら書き上げた。とはいえ、納期が迫っているため、こうお願いするしかなかったのである。それだけに、出来上がってきたものは顧客満足を追求しているとは言い難い。その上、他分野の開発工程で新しく決定した仕様などもあり、ソフトが対応しないという問題も起きていたのだ。
田中たちは、苦労を承知の上で「とにかく動くソフト」を作り、そこから改良を加える方法を選んだ。ソフトのバージョンが上がれば、その都度1000回以上のバグチェックを行う。もちろん、その苦労は全て自分たちに降りかかる。深夜まで会社にいる日々が続き、帰宅途中に自転車をこぎながら眠ってしまい、電柱に衝突したこともあった。精神的にも肉体的にも厳しい日々だったが、それでも彼は挫けなかった。苦しみながらも、楽しんでいたからである。「いける。これで製品として使えるはずだ!」。そう考えた時、ソフトのバージョンは55を超えていた。
田中たちが開発した携帯型残留塩素計は、市場にリリースされた後のトラブルがほとんどない製品として社内外から大きな評価を得た。もちろん、現在も販売台数は伸び続けている。
この携帯型残留塩素計開発プロジェクトのテーマリーダーは、実は田中ではない。彼は忙しくて手が回らない状況に置かれていた上司と相談した結果、実作業の大部分を引き受けていたのである。自ら積極的に仕事に取り組む姿勢のおかげで、光学・電気・機械・ソフト・筐体など様々な開発分野の知識を身に付けることになり、現在の田中は名実共にテーマリーダーとなった。そして、「新しい製品を、また一から開発してやろう」と、彼は今日も開発に取り組んでいる。
会議に出して、多くの批判を受けた筐体の試作品。しかし、ここから田中の快進撃は始まった。
研究・開発時には、「こんなデータが出るはず」と考えながら評価を行う。しかし、実際には予想を裏切る結果になることがほとんど。そんな時、田中は「これぐらいの誤差なら大丈夫」と考えず、「何故だ?」と追求し続ける。学生時代に身に付けたこの姿勢こそが、エンジニアとしての田中の成功を支えている。
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セミナーについて
準備シート
活動履歴
株式会社堀場アドバンスドテクノ
【理系】
1位
/
日機装株式会社(東証一部上場)
2位
/
ビバニーズグループ
3位
/
株式会社タイカ
4位
/
株式会社ツジデン
5位
/
株式会社アイ・エイチ・アイ マリンユナイテッド(IHIグループ)
【文系】
1位
/
HORIBAグループ
2位
/
株式会社三井住友銀行
3位
/
株式会社日立製作所
4位
/
株式会社コンピュータシステムエンジニアリング(日立グループ)
5位
/
シャープ株式会社
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