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商社(専門商社(医療・医薬品))
最終更新日: 2007/12/27
(マークの説明) 正社員 理文不問 老舗
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プロの仕事研究
医療行政に精通し、病院の経営方針や業界動向から提案を行う医薬品営業のプロ。
営業・販売系−営業(法人・新規開拓が中心)
病院城南支店/課長
船見 聡 (41歳) Satoshi Funami
入社20年目 / 中央学院大学 商学部 商学科 出身

プロフィール
開業医や調剤薬局への営業として、医薬品の卸販売をスタート。入社7年目に病院をメインに担当する病院文京支店へ異動。医師などに直接営業するスタイルから、事務局の購買担当相手の営業に変わった。その後も病院営業としての経験を積み、2007年10月より課長に昇格。現在は病院城南支店の課長として、活躍中。

プロローグ
医薬品卸売業として業界トップクラスに位置するアルフレッサ。MSと呼ばれる営業担当者は、担当する医師らが使いたい薬は何かを聞き出し、それにマッチした商品を売り込み、採用してもらうのが仕事だ。また医薬品メーカーの情報担当であるMRから品質、効能などの情報を得てそれを医師らにすすめる。営業手法は、開業医・調剤薬局と大病院・大学病院に対する2通りがあり、それぞれ全くといっていいほど異なっている。

船見の最初の配属は、開業医販路を担当する渋谷営業所。ここで多くの医師らと接して仕事の基礎を覚えた。医薬品をどうやって使ってもらうかは自分の売り込み次第。営業として信頼を得ることが大切だ。知識も少ない船見にとっては毎日が勉強だった。長年、医療分野で活躍してきた医師や薬剤師は、知識も豊富。新人の船見は、教えてもらうことばかりだった。話をするだけでもどんどん新しい知識を得ることができ、刺激の多い毎日。「数字をあげるのは厳しい。だが、こんなにためになる話を聞ける機会もそうない」。こうして開業医販路で経験を積んでいく船見。転機は入社から7年目にやってきた。

開業医販路から病院販路に異動。全く異なる営業方法に戸惑う。 1
一つの営業所で7年も経てば立派なベテランである。そんな船見が7年目にして異動したのは病院販路。大病院や大学病院などを担当する文京支店である。開業医とは異なり、一つの病院での取り扱い金額は非常に大きい。だが、船見を戸惑わせたのは額の大きさではない。病院に対する営業の手法が開業医に対するものと全く異なっていたことだった。

医師や薬剤師に直接会い、医薬品の説明を行って買ってもらうのが開業医販路での営業方法。医師との結びつきは密接であり、商品知識が豊富であることが必須条件だった。それに仕事のことだけではなく、趣味の話やちょっとした雑談からきっかけを掴むことも多かった。しかし病院は全く違う。MSが訪ねるのは医師ではなく、事務局など薬の購買を担当する部署や医療事務課。ここでは薬の知識よりもっと重要視されるものがあった。それは情報収集であり、医療行政の知識。だがそんなことは全く知らない船見は、事務局を訪れても、自分がどうすればいいのか分からなかった。最初は課長に同行し、会話を聞くことで学ぼうとしたが、内容は薬ではなく医療行政などの話。「今までの仕事と全く違う――」。船見は不安に襲われた。

大病院との関係づくりに必要なのは“情報”だと気づかされる。 2
会うのは医師ではなく事務長ら。そして求められているのは医薬品の知識そのものではなく、医療を取り巻く様々な状況や情報。MSが引き出さなければならないのは、病院の置かれている状況から病院の経営方針。具体的に、今後どういう体制を取り、病院経営を進めていくのか、という情報を得なければならない。そこで初めてどんな薬を売り込めばいいのかが分かり、医薬品メーカーにも病院の情報を流すことができる。医薬品メーカーはMSの情報をもとに、大病院に求められている情報を流す。大病院では薬の開発から採用に至る一連の流れの中で“情報”が大きな役割を担っていることを、船見は知った。

だがその情報を引き出すためには、刻々と移り変わる医療行政などの知識が必要だ。医療行政が変われば病院の体制が変わる。体制が変われば使う薬も変わる可能性もある。情報の重要性は分かったが、開業医販路を担当していた際はそれほど意識していなかった分野だけに、何をどうすればよいのか全く分からなかった。一口に情報と言ってもほとんど知識がない。最初は訪問しても「忙しいから」と相手にしてもらえなかった。病院側は必要な情報を持っていないMSの話に耳を貸すほど暇ではない。事務長から「あれ知ってる?」と言われても答えられない、悔しい日々が続いた。

「医療行政について誰にも負けないようになる」ことを目標に勉強を続ける。 3
船見は医療行政など、必要と思われる事柄について猛烈に勉強を始めた。医療行政の専門紙を読み、厚生労働省で新しい動きはないかを常にチェック。厚生労働省主催の説明会に出かける社内のコンサルティング部門からも小まめに話を聞くようにした。

だがこうした勉強はすぐに数字には直結しない。しばらくはピンと来ない日々が続いた。かといってやめる訳にはいかない。「きっとこういう勉強は理屈じゃない。とにかく覚えるだけ覚えていくことが大切なんだ」。そう自分に言い聞かせ、日々情報を仕入れていく。そして異動して1年がすぎる頃には、医療行政や医療を取り巻く環境のことが分かるようになってきた。病院が力を入れている経営方針について話ができると、担当者の反応もよくなってくる。時には、「あれを調べてよ」と頼まれることもあった。

そんなある日、船見は担当している一つの病院から、病院の機能評価についての相談を受けることになった。

事務長から相談を受けることは、MSとして認識されること。 4
病院の機能評価は病院の機能や医療、アメニティ(快適性)、セキュリティなど様々な部門を第三者機関が評価し、認定するもので、病院の総合評価として利用者にもアピールできるものだ。病院の任意でチェックが受けられ、機能を満たしていれば認定される。「機能評価をやりたいんだよね。他の病院はどうやっているのか教えてくれないか」。そんな話を事務長から聞き、船見はすぐさま答えた。「社内にその分野を担当するコンサルティング部門があるので、是非紹介します」。

会社に帰るとすぐに社内で話を進め、担当者を病院へと連れていった。評価を得るためにどの部分の整備が必要なのか、売店、掲示板、カルテの整備や分煙などはどう行われているのかなど、病院からは様々な質問があがった。評価に関する相談に答えるのはコンサルティング部門の担当者だが、そうした相談を受けたことは船見にとって大きな進歩だった。これは、少しずつ蓄積していった知識が花開いた瞬間だった。経営や方向性の相談を受けるということは、その病院に関われるということだ。そこから自分の提案が受け入れられれば数字につながる。ここに来るまで勝手の違う世界に悩むこともあったが「ようやく認められた」と、船見はそう感じることができたのだった――。

エピローグ
「病院の力になれているか」「病院に頼られているか」――病院担当となって以来、常にそれを考えながら営業活動を続けてきた。細心の情報をやりとりし、病院から相談されることも増えた。そのために日々怠りなく情報を仕入れ、必要なところを必要とされるところへ伝えるという毎日が続いている。

そして2007年10月から、課長に昇進した船見。営業として今まで以上の結果を追求し、また部下の育成方法についても考える日々を送っている。「医療行政は日々変わっていきます。だから、何もしないとすぐに置いていかれるんですよ。毎日が勉強ですね」。船見はこれまでと変わらず常に病院にとって最適のパートナーであるべく、努力を続ける。
営業車に乗り、得意先のチェックにも余念がない。薬の配送は担当者に任せるが、時には車に積み込み、一緒に届けることもある。

〜仕事で活かした学生時代の経験〜
近所の年長者が年少者の面倒を見るような、人間関係のつながりが深い下町で育った。船見も中学生の頃、近所の年長者に海へ連れて行ってもらい、サーフィンを教わった。この下町で学んだ礼儀や人間関係の築き方は、社会人となった今でも活きている。
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