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情報・通信(ソフトウェア開発) / 情報・通信(ネットワーク・通信技術)
最終更新日: 2007/10/01
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プロの仕事研究
3000ある支店の統合を、半年で滞りなく完了させたネットワークサービスのプロ。
ソフトウェア系−ネットワークエンジニア
システムサービス事業部 SS二部 部長代理
水野 浩一郎 (34歳) Koichiro Mizuno
入社14年目 / 神奈川情報文化専門学校 情報処理科 出身

プロフィール
入社して1年ほどデータ入力業務などを経験し、その後ネットワーク一筋でキャリアを伸ばしてきた。エンジニアとして8年間現場の最前線で働き、様々な案件を経験した後、2006年部長代理に昇格。技術者から管理者へとステップアップした。大きく成長した部を統括し、社内でも若くして確固たる地位を築いている。

プロローグ
ネットワークはこの10年で急速な進歩を遂げた。水野は自らが歩んできた道を振り返り、それを強く実感する。以前は東京本社にあるパソコンから大阪支社のパソコンの内容を書き換えたりはできなかったが、今はできる。かつて信じられなかった超速スピードで技術は進化している。水野はその発展の過程をつぶさに見て、ネットワーク一筋で会社でも若手のトップとして部を率いるまでになった。

しかし水野にも新人の時代はあった。先輩が行なうプレゼンの資料を作ったり、プログラミングをしたり、雑用からスタートした。最初は自分に何ができるのか見えないことがつらかった。自分が本当に役に立っているのか実感できることが少なく、覚えることの多さに辟易する。しかもコンピュータ相手の仕事は無機質で、張り合いが持てなかった。

しかしそうした道は誰もが一度は通らなければならないもの。時間が経ち、知識やテクニックを身につけネットワークが理解できるようになると、次第に仕事の達成感が得られるようになっていった。

遅れている企業統合に関する作業を引き受ける。 1
こうして8年間、ネットワーク技術者として第一線で働いていた水野。仕事の需要は多く、部も大きくなっていく中で、途中からはチームリーダーとなって案件をまとめる立場となった。

ネットワークSEとして7年目のこと、水野は当時常駐していたクライアントからSOSを受けた。あるプロジェクトの作業が遅れていてこのままでは間に合わない。助けて欲しいと言うのだ。それは大手企業の経営統合のプロジェクト。統合期日は世間にも発表されており、決して伸ばすことはできない。水野は二つ返事で引き受けた。これまでもいろんなプロジェクトを経験しており、なんとかなるだろうと考えたのだ。

水野が関わったのは資産の有効活用に関する部分。2社が統合されるに当たり、これまで同じ地域にあったそれぞれの支店をどうするかという問題が出てくる。ターミナル駅があるような都市部で、それぞれ顧客の多いエリアはそのまま2つの支店を残し、小規模のエリアは1つの支店にまとめる。すると、余ったパソコンやその他機器をどうするか考えなければならない。もちろんネットワークの統合や整理も必要だ。水野が担当することになったのは、こうした機器などを整理し、統合された支店のネットワークを正しくつなぎ直すことだった。

3000の支店を半年で統合するという気の遠くなるような作業。 2
最初はそんなに大変だと思わずに引き受けた水野だったが、詳細を聞いて絶句した。両方の企業を合わせて支店は3000。期日までに支店の引っ越しからネットワークの接続まで終わらせなければならない。全てのネットワーク機器には会社内で番号(IPアドレス)があり、統合するとなると全店舗のマシンに再びIPアドレスを割り当てる必要がある。それは全社合わせると何百万台という数にのぼる。また、統合してもこれまでの業務が両社別々に残る場合もある。それぞれのシステムに合うように、ネットワークも設定しなければならなかった。水野に残された時間はあと半年ほどしかなかった。

水野は部下を6人と7人のチームに分けた。水野が担当するのは統合された支店のレイアウト配置から引っ越し、接続作業までをオペレーションするセンター業務。3000ある支店を50に分けて、1週間ずつで作業していくことになった。

ケーブルをどこに挿すかまで細かく指示をする、資料作りに明け暮れる。 3
平日の昼間は、新しい店舗に何を配置するかといった作業の指示や資料をひたすら作成。実際に現地に飛んで店舗を見てくることもあった。そうしてどこに何を配置し、ケーブルはどう這わすのかといったことを決めていく。作業を行うにはネットワークを一旦遮断しなければならず、昼間には行なうことができない。移動や作業は深夜に行われるのが常だった。

移動や接続は業者に頼むのだが、ネットワークに精通している人物が行う訳ではない。そのため、作業の指示書作りが大切になった。例えばサーバーやルータには何百というケーブルが挿し込まれているが、一度抜いたものをどこに挿すか、1本1本に指示が必要だった。最初は作業している人物も分からず、水野はセンターから電話をして1本ずつどこに挿すか指示を出した。もし間違ってネットワークが遮断してしまうと、水野の方からはアクセスできない。慎重さが要求されたが、それでもトラブルがあって急遽現地に飛ぶことも珍しくなかった。

こうして急ピッチで作業を進めていったが、作業の厳しさに比例するようにメンバーが疲弊していくのを水野は感じていた。「このままではマズイ」。リーダーとしてなんとかしなければならなかった。

メンバーのモチベーションを保つために、雰囲気作りを心がける。 4
作業は厳しかったが、意識的にそうしている部分もあった。後半になってバタバタするのは好ましくないと、前半に作業量を増やしていたのだ。それもあって、部下たちの疲れも相当なものだった。水野は昼夜が反転しているような時は朝みんなを誘って銭湯へ出かけたり、コミュニケーションを心がけたりして、普段の仕事の雰囲気を保つように気を配った。また、「この日は絶対に早く帰る」と決めて、メリハリをつけることも忘れなかった。こうした水野の努力もあって、スタッフはなんとかついてきてくれた。水野自身もなかなか家に帰れず苦しい日々だったが、これまで何度もこうした厳しさを乗り越えてきた。リーダーとしての自分に迷いはなかった。

統合まであと1ヶ月となって、作業量は次第に減っていった。最初にスピードを上げていた効果ははっきり表れてきた。運送などの作業員も同じ作業を繰り返すうちに手際が良くなり、接続のミスも減った。センターの業務も少しずつ楽になっていた。

統合の前日、全ての作業が無事完了しネットワークは問題なく接続された。しかしこうした達成感以上に水野を感動させたのは、メンバーの誰も離脱せずに作業を完了させたことだった。厳しい案件にも関わらず、全員がついてきてくれたことに感謝するばかりだった。

エピローグ
「つながって当たり前」という感覚が通信にはある。しかしその裏では、水野らネットワークエンジニアが縁の下の力持ちとなって働いている。日々加速する技術に追いついていかなければならない世界に身を置くことは厳しくもあり、追う楽しさもあると水野は言う。色々な場所に出張して作業するが、どこかとどこかがつながる楽しさをいつも味わっている。

今は部長代理として、何十人という人間を動かす水野。案件の管理や部下の指導が業務の中心になったが、バイタリティのある若手の登場を望んでもいる。「“www.の世界”に探求意欲のある人材が伸びていける」と言う水野は、自身もまた飛躍的に発展するネットワークの海をこれからも泳ぎ続ける。
部長代理としてSS二部をまとめ、部下の質問に答える水野。ざっくばらんな口調の中にも管理職としての厳しさも垣間見える。

〜仕事で活かした学生時代の経験〜
情報処理の勉強をしていたが、社会に出てみてそれより大切なのはむしろ、部活のキャプテンとして得たリーダーシップや仲間との遊びでのまとめ役だった経験であると感じる。ヒューマンスキルの強さが、プロジェクトをこなしたりチームをまとめたりという面で役立っており、今は上司として新人にもそうした強さを望んでいる。
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