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情報・通信(ソフトウェア開発) / 情報・通信(ネットワーク・通信技術)
最終更新日: 2007/10/25
(マークの説明) 正社員 理系積極採用
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プロの仕事研究
衛星画像の位置を決めるモジュール開発に挑んだ、リモートセンシング技術のプロ。
ソフトウェア系−システムエンジニア(汎用系)
宇宙・情報システム事業
豊田 麻衣 Mai Toyota
入社4年目 / 環境科学研究科 環境科学専攻 出身

プロフィール
新人研修後、OJTで仕事を覚え、地球観測衛星のプロジェクトに参加。衛星から送られてくる光学データの幾何補正係数算出処理を担当し、リモートセンシング画像を作成するための一段階で重要な役目を担う。現在はこの入社以来携わってきたプログラムの最終チェックや修正に余念がない日々を送る。

プロローグ
地球の表情が分かるリアルな画像。それが『リモートセンシング画像』だ。地名で検索すれば詳細な地上の画像がネット上に現れる。これらは、地球を周回する衛星から地球を撮影したものだ。

地球観測衛星はさまざまな役割を持つ。植物の量、地上の温度、海面や雲の状態、地形など地球環境に関するあらゆるものを、人工衛星に搭載したセンサを使って計測している。こうして衛星から送られてきたデータを解析し、『リモートセンシング画像』として人の目に見えるように処理する。この画像によって、地球上にどれだけ資源があるかといったことや、気象現象を俯瞰して見ることができるのである。

「リモートセンシング画像の技術を追究する仕事をしてみたい」。地球環境の解析に関する技術を身に付けつつ、更に探求心を持ち続けられる仕事。豊田にとっては宇宙の世界であり、リモートセンシング画像の世界だった。更にはそのシステム作りに携わり、社会貢献したいという強い思いがあった。

学生時代はプログラミングの勉強をしたことがなかった。SEを目指すにあたってプログラミングに不安はあったが、「初心者でもSEになっている人はたくさんいる」と、前向きな心で挑んでいく。

基本から一歩ずつ歩みを重ね、知識と技術を吸収。 1
NEC航空宇宙システムの宇宙分野の仕事は、大きく衛星系と地上系に分かれる。豊田が所属するのは地上系。衛星管制や地上局管制、そしてリモートセンシングに関わる一連の開発などを手掛ける。

リモートセンシング画像グループに配属後、OJTで仕事の基本を覚えながら、社内に蓄積された技術資料を端からあさって、知識を吸収していく豊田。そのうちプログラムの改修を任される。修正した資料やプログラムのレビューを行い、設計思想やプログラミング技術について先輩が丁寧に説明してくれた。こうしてプロジェクトの概要や技術を覚えていくことができた。

豊田が入社した頃、社内では新しく打ち上がる地球観測衛星のプロジェクトが進んでいた。豊田が入社からこなしてきたのは、その練習といえた。プログラム改修を経験して技術が身に付いてくると、観測衛星プロジェクトに本格的に参加することになった。プロジェクトに携われる喜びと緊張感が豊田にわき上がってきた。

画像の位置を決める重要なプログラムを担当することになり、不安と緊張に包まれる。 2
豊田が属するのは、光学センサが撮影したデータを画像にする「光学センサ処理」開発チーム。光学センサ処理はいくつかの段階で構成され、豊田の仕事は「幾何補正係数算出処理」モジュールを作ることである。衛星から送られたデータの緯度・経度や太陽の方位角などを計算し、幾何的な情報として付け加える。この情報が正しくなければ、画像が示す位置と地球上の位置が違ってしまうのである。

このように、幾何学的な補正を高精度に行うことを要求される非常に重要なモジュールであり、プログラミング技術だけでなく、高度な数学的素養も要求された。更に、今回のプロジェクトの新規開発要素の中心となる部分にも対応する必要があった。「新人の私に任せて大丈夫だろうか。」豊田は不安だった。しかし大規模プロジェクトでそれぞれが責任ある仕事を抱えており、新人であっても甘えは許されない。豊田は自分のできる限りの力をもってその任に当たることを決意した。

宇宙に思いを馳せつつ、設計・製造作業に挑戦。 3
まずは設計作業。緻密な設計がなければ良いモジュールはできない。豊田は処理の基本を完璧に理解する気持ちで、過去の資料を読み込み、それを土台にモジュール設計を固めた。更に、先輩が検討している新技術を理解し、設計に追加し、設計を磨き上げていった。

幾何補正係数の算出では、衛星のセンサの1点が地球上のどの地点を撮像しているかが重要な要素となる。衛星は決められた軌道を刻々と動きながら、その姿勢を制御しつつ、地球の姿を撮像する。画像処理だけでなく、衛星自体やその運用についても知識が求められる。「宇宙技術は奥深い!」豊田の好奇心をくすぐる題材は山のようにあった。

設計の最終段階に入ると、「プログラムをイメージしながら設計すること」とアドバイスを受ける。しかし、まだ練習段階を終えたばかりの新人SE。オブジェクト指向プログラミングをこなせるか、試行錯誤が続いた。そして、いよいよ製造作業に入った。品質の高いモジュールを目指して、開発チームで会議や勉強会が頻繁に開かれた。豊田も、曖昧な点を先輩と議論して製造する日々。新人の力でまかなえない技術は、先輩が二人三脚の作業で豊田の技術力アップに協力してくれた。タイトなスケジュールであったが、自分が設計したモジュールが形になっていく嬉しさがあった。

出来上がったモジュールを単体でテストしてみると問題ないように動いた。「良かった。」そう安堵した豊田だが、結合テストではバグが頻発。プログラムが算出した値が、想定した精度をわずかに満たしていない。豊田はその結果に唖然とした。想定した値とのずれがアルゴリズム上、発生し得るのか、完全一致すべきものなのかを明らかにする必要があった。

品質の高い「リモートセンシング画像」を目指して。 4
原因は、設計段階での知識不足だった。「まだ見落としている箇所がありそう。」と豊田は不安に駆られた。開発チームは、この事態の対策として、作業を分担し、相談役となる人を豊田につけてくれた。頻繁に頼れる人を得られて豊田も安心する。テストする課題にどう取り組むか相談しつつ作業を進めた。テスト項目も豊田が考えていたよりもっと詳しい内容をアドバイスしてくれた。作業以外にも仕事に優先度をつけてスケジューリングし、マネジメントすることを豊田はその人から学ぶことになる。それまで自分の目の前しか見えていなかった豊田の視界が、パッと開けたように思えた。

こうしてなんとか作業も軌道に戻り始めた。「バグを出すのも仕事だ」。テストの早い段階でできるだけのバグを出して潰すことも大事と先輩から心強い言葉をもらう。そうした助けを受けながら問題を一つずつクリアしていくうち、豊田にようやく自信がついてきた。

そして光学センサ処理以外の部門と合わせて総合的なテストが行われた。各担当者が息を呑んで見つめる中、豊田の作ったモジュールも無事起動、画像が現れた。豊田はその画像を眺め、いつまでも感動を味わっていた――。

エピローグ
その後も豊田の戦いは続いた。テストは成功したものの、納期は間近に迫っている。得られた画像があらゆる状況に対して正確であることを実証しなければならないため、今も作業が続いている。

作業が思うように進まず、悩んだこともあった。しかし困難な状況を乗り越えていくたびに、先輩に密に報告するようになり、積極的に相談するようになった。そうして自分を導いてくれる先輩たちに感謝し、よい刺激を与えてくれる仲間がいる職場に、自分の活躍の場を見出している。

システムが現地で稼動するのはもう少し先だが「これからその楽しみを味わえるよ。」先輩にそう言われ、自分が関わったプロジェクトの画像が、社会で役立つ日を心待ちにしている。
「自分がリーダーになった時に最先端技術を把握しつつ、問題の対処がスムーズにできる技術者でいたい」。豊田の目指す頂は高い。

〜仕事で活かした学生時代の経験〜
修士課程では、人工林の荒廃状況を現地で測定し、測定データとリモートセンシング画像データの関連性を解析する研究に力を注いだ。研究の方向性を決めるだけではなく、先生や仲間に相談し、マネジメントしてスケジュールを進める力も必要とされた。そこで得た手法や課題への取り組み方は、仕事を進める上で役立っている。
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