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最終更新日: 2007/10/01
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プロの仕事研究
開発期間と苦闘しながら、会社の明日を担う検査装置を完成させた技術開発のプロ。
技術系−電気・電子設計
検査機技術2課/主任
曽我 亮一 (31歳) Ryoichi Soga
入社9年目 / 千葉大学 工学部 電気電子工学科 出身

プロフィール
新卒採用を行っていないにもかかわらずニレコの選考を希望した曽我。その事業内容に惹かれただけでなく、どの企業よりも親切な対応をしてくれたことから、ニレコへの入社を決意。特例的に入社を果たし、以降、オンライン色差計、基板検査装置、無地検査装置の開発など、メーカー向け各種検査装置の開発に活躍中。

プロローグ
好きな電気・電子機器の開発ができる会社に就職したいと、曽我はさまざまな会社の情報を集めていた。企業情報が載っている本を見て、「この会社もいいかも」と思った。それがニレコだった。早速連絡を取ってみた。すると、全く予想外の返事が返ってきた。「今年は新卒採用の予定はないんです」。採用情報ではなく、企業情報だけで探していたため、曽我はうっかり採用予定がないニレコにアプローチをしてしまったのだ。ところが、ニレコの人事担当者は言った。「でもせっかく連絡していただいたことですし、一度会社を見に来られますか」。

もちろん、曽我は喜んで会社を訪問した。担当者は親切だった。社内の各部署を案内してくれ、面接もした。垣間見る社内の雰囲気も良さそうに思えた。「こんな雰囲気の中で仕事をしたい」と曽我は思った。とはいえ、新卒採用はないと言われていたため、半ばあきらめかけていた。しかし、数日後意外な連絡が曽我のもとに来た。「もう一度正式な面接を行いたいので、来ていただけますか」。そして、面接を終えた曽我にまたもや知らせが来た。「内定」。特例的に採用されることになったのだ。曽我は喜びに浸った…。

奇跡の入社を果たした曽我は、さまざまな製品の検査を行う機器の開発に取り組む。 1
入社した曽我は、早々にオンライン色差計の開発に当たることになった。壁紙など、常に同じ色調を保たねばならない製品の色を分析し、正しく色調が出ているかを計測する物だ。カメラで取り込んだ画像を数値化するのだが、RGBで表される画像の色は、人間の目で見る色調とは多少の誤差がある。だから、人間の目で見ている色調の数値に変換する必要がある上、分析する素材に当てる光源の劣化などに伴う視覚的な色の変化を察知して、誤差を修正するなど、繊細な作業が必要なものだった。

そもそも「製品開発をしたい」、と思っていたので、すぐに開発現場に入れたことはとてもうれしかった。大学時代に専門として学んでいた電気回路ではなく、コンピュータを利用しての開発ではあったが、学生時代にソフトウェア開発会社でアルバイトをした経験が活きた。画像処理などはもちろん経験はないが、新しい技術に触れて開発を行えることは面白く、曽我は厳しい開発の現場でも、楽しみながら仕事を行うことができたのだった。

入社5年目を迎えた曽我は、かつて経験したことがない重要なプロジェクトに参加。 2
夢中で仕事に取り組むうち、いつの間にか入社から4年の月日が流れていた。曽我は画像処理と検査機開発の専門家となっていた。

──2004年。曽我は、かつて経験したことのない大きなプロジェクトに参加することになった。無地検査装置の開発である。これは、透明なフィルムや半導体を作る時に使用する銅箔など、無地の薄い膜状のシートに、小さなゴミが混入したり、ピンホールと呼ばれる小さな穴が開いたりしていないかを検査するものだった。これも、カメラで画像を撮って解析をする。

この無地検査装置は、すでに一世代目の製品が送り出されており、売上実績も良かった。その分、さらに処理能力を上げ、コストも下げる二世代目の製品にかかる期待は大きい。これから先、会社を成長させていくために必要な事業、という使命感をひしひしと感じた。「このプロジェクトは必ず成功させなければならない!」。曽我は、重圧の中で、開発に着手していった。

開発期間は1年。異例の短さに「本当にでき上がるのか…」。不安に駆られる曽我。 3
開発開始からさかのぼること半年、曽我はこの検査装置に使うことになる画像処理プロセッサの検証を行っていた。この二世代目の製品では大部分の画像処理をそのプロセッサで行うことになる。だが、データ上の機能をもとにいきなり開発に入り、その後充分な機能を持っていないことが判明しては大変だ。そのため、開発以前に、処理能力はどうか、データのやり取りをする時の転送速度は充分か、必要な機能を盛り込めるかなどを検証したのだ。

そしてついに開発が開始された。プロジェクトチームはリーダー、ソフトウェア担当に加え、ハードウェア担当の曽我の3人。電気的な部分の開発は基本的に曽我に一任された。開発を始めた曽我は、不安を抱えていた。事前の検証は十分積んだつもりではあったが、実際に作ってみないと、本当に必要な性能を満たしているかがわからない。しかも、開発期間は1年と定められていた。新規製品の開発には、通常なら2〜3年を要する。早く市場に送り出すため、非常に短期間の開発が要求されていたのである。

技術者としては、細かな問題点もすべて解決しながら完璧に開発を進めたい。だが、それでは間に合わない。曽我は、まず最も重要な枠組みを完成させることにした。「細かなところは後で調整すればいい。まずは形にしなければ」。しかし、それでも進捗には問題が起きた…。

ギリギリの日程。問題が起きると、それはすぐに工程の遅れとなった…。 4
画像データのプロセッサへの転送がうまくいかないのだ。1週間程度で直せると思ったが、解決には3週間近くかかってしまった。限られた工期である。毎月の開発予定は事前にかなりのところまで詰めてあり、予想外の遅れが出ると、全体のスケジュールに支障が出る。懸命に遅れを取り戻そうとしたが、結局、予定は1週間ほどずれてしまった。

月末には進捗の報告会がある。それが近づくのが嫌だった。遅れないことが前提であるが、だからといってその場で責められるわけではない。それでも、「自分のせいで遅れた」ということを報告するのがつらかった。だから、その後の曽我は、工程に遅れが出ないよう、わき目も振らず開発に取り組んだ。他の業務によって遅れた分は、意地になって取り戻した。その月の予定をクリアしても、「良かった」と思う間もなく、次の段階に入らなければならない。

そうして怒涛の1年が過ぎた。ついに、無地検査装置は完成した。その後の売上も好調だった。そして2006年10月、曽我ら無地検査装置のプロジェクトチームは、その功績により、社長賞を授与された。それはもちろんうれしい。だが、限られた厳しい開発期間の中で、市場での競争力が充分にある製品を作ることができたことが何よりうれしかった。その苦労が開発者・曽我を、大きく成長させたのだから。

エピローグ
「時間をかければできる開発は、いつかは必ずできるため苦しくはない。一番苦しいのは、本当にできるかがわからない開発」と曽我。この案件の場合も、開発開始当初は見えない先行きに苦しんだ。だが、これをやり遂げたことで、曽我は大きなプロジェクトを効率的に進める手法を学ぶことができた。

ニレコは、無地検査装置の開発のため、フロアの半分を占める巨大なクリーンルームを作った。10ミクロンという微小なゴミを検査するものだけに、完全にクリーンな環境でないと正しく評価ができないからだ。「それだけの投資に応えて、この無地検査機をより良い製品に作り上げていきたい」。その目標に向かい、曽我は今日も開発を続ける。
無地検査装置の試験機を動かす曽我。幾度も検査を行って、仕様通り正しく動くかを検証する。

〜仕事で活かした学生時代の経験〜
大学時代、ソフトウェア開発会社のアルバイトで、コンピュータプログラミングの面白さを知った。入社後もコンピュータを使用した機器を開発することが多く、この経験が役に立っている。また、スポーツ誌や音楽誌をよく読んでいたため、一流のアスリートやミュージシャンの言葉から、目標への進み方を学ぶことができた。
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