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最終更新日: 2007/10/01
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プロの仕事研究
『プライド』と『使命感』をもち、カーエアコンの設計を完成させた制御設計のプロ。
技術系−電気・電子設計
技術推進本部 技術部 技術課
赤塚 昌隆 (26歳) Masataka Akatsuka
入社5年目 / 名城大学 理工学部 電気電子工学科 出身

プロフィール
大学時代に電気電子設計を学んだ赤塚は、その技術を活かせる職場を探していた。そんな彼が出合ったのが株式会社アテック。就職面談で、職場の雰囲気に魅力を感じた彼は同社へ就職する。入社後3ヶ月間の研修を経て、2004年6月から大手自動車部品メーカーでカーエアコンECUの設計開発に携わっている。

プロローグ
「いよいよだ!」
入社後3ヶ月間の研修を終えてついに“実践の場”に立つことになった赤塚昌隆。彼は、大きな希望に燃えていた。

彼が勤めるアテックは、自動車やデジタル家電、カーナビ等さまざまな製品の設計開発を行う技術系アウトソーシング企業。豊富なスキルをもつ同社のエンジニアが、日進月歩の勢いで進化する製品開発の現場を支えている。そんな同社に入社し、研修を通して基礎知識を身に付けた赤塚は、2004年6月いよいよ大手自動車部品メーカーで自動車部品の設計に携わることになった。

―― それから半年間。彼は先輩エンジニアとともにカーエアコンのシステム制御設計を担当する。温度や風力をパネル操作したときに、具体的にどう動くか等を設定することが彼らの任務。完成すれば、世界中で発売される自動車に搭載されることになっている。赤塚は、先輩からさまざまなことを学び、一つひとつ仕事を覚えていった。

「ようやく、仕事にも慣れてきた」。それは、彼がそう思い始めた2004年12月のこと。先輩エンジニアから突然の打診があった。「これからは、赤塚がこの仕事の責任者になりなさい」。赤塚は、突然の抜擢に驚きを隠せなかった――。

“責任者”としての重圧。 1
「それにしても、急な話だな…」。

赤塚の心は、不安でいっぱいだった。まだ入社1年目。この仕事を始めて半年も経っていない。そんな自分が、この大役をこなせるのだろうか…。彼には、その自信がなかったのだ。「責任者…」。その重圧が、赤塚の肩に重くのしかかった――。しかし先輩エンジニアは、そうは考えていなかった。「赤塚ならできる! もう一人で任せても大丈夫」。信頼を置く後輩だからこそ、赤塚にその任務を与えたのだ。こうして彼は、カーエアコンのシステム制御設計責任者となった。彼はこれから、たった一人で自動車メーカーからのニーズを聞き、それをもとにソフトを組むための仕様書を作成しなければならないのだ。

―― 「海外向けの自動車には、こういう設定も加えてほしい」。
―― 「この設計についてお伺いしたいのですが?」

その日から、赤塚のもとへさまざまな部署から問い合わせが入るようになった。彼は、すでにカーエアコンのシステム制御設計の責任者として他部署からも認知されている。「彼に聞けば、何でも分かる!」 赤塚の不安な気持ちとは裏腹に、周囲のスタッフは赤塚のことを責任者として頼りにしているのだ。

“答え探し”に走り回る日々が続いた。 2
「すみません…。調べて、すぐに報告します」。

責任者の赤塚は、他部署からの問い合わせに全く答えることができなかった。彼は、問い合わせが入るたびに上司に相談したり、参考文献を読みあさる等、“答え探し”に走り回る。そして問い合わせから数時間後、もしくは数日後に返答する。そんなことが毎日のように繰り返された。「情けないな。自分は、何をやっているんだ…」。赤塚は、悔しさを噛み締めることしかできなかった。

赤塚は問い合わせに奔走しながらも、本業であるカーエアコンの仕様書作成も行わなければならない。そのカーエアコンが搭載される自動車は世界中で販売されることになっている。国ごとによって気候やハンドル位置等が異なるため、それに合わせて複数の仕様書が必要になる。複数の案件を抱えた赤塚は、日々の仕事をこなすことがやっとだった。それぞれの仕様書の納期は迫っている。後工程を考えると、どれも遅れは絶対に許されない。「自分が仕様書を作成しないと、次工程の担当者がソフトを組めない。そうすると自動車の完成予定日が遅れてしまう危険性もある。それだけは、絶対に許されない」。そんなプレッシャーが、彼を突き動かしていた。そして彼は、何とか一つ目の仕様書を仕上げたのだ。

「君は仕様書を書くのがヘタだな…」。 3
「仕様書の通りにやっても、ソフトが組めません!」

仕様書を見ながらソフトを組んでいく担当者から、次々と問い合わせが寄せられた。仕様書から、30ヶ所もの不備が見つかったのだ。「君は仕様書を書くのがヘタだな…」。上司も、彼の仕様書を見て呆れていた。責任者になって3ヶ月。いつしか他部署から赤塚への問い合わせは「○○を教えてください!」というものではなく、「○○について分かる人はいますか?」というものに変わっていた。また問い合わせに応じても、「君は何を言っているのかよく分からないよ」と言われる始末。「君は技術についてしっかり理解していないから、相手にうまく伝えられないんだよ!」 上司から言われたその言葉が、彼の胸に深く突き刺さった。

「どうしたらいいんだ。まだスキルがない入社1年目の自分には、やっぱり無理だったのか…」。彼は、自分自身が恥ずかしくて仕方がなかった。自分は本当に必要な存在なのだろうか…と、一晩中考える日もあった。そして――。

赤塚を支えたもの。それは――、『プライド』と『使命感』。 4
「やっぱり自分がやるしかない!」 それが、考え抜いた末に彼が出した答えだった。「入社年数も今のスキルもエンジニアには関係ない。自分は、一人のプロとして活躍することが期待されているんだ。6月からこれまで、ずっとこの仕事に携わってきた。ここで逃げ出すわけにはいかない。できるのは、自分しかいない!」 その瞬間、彼の目つきが変わった。

「同じ失敗は繰り返さない!」

赤塚はその後、これまで以上に上司に相談したり文献を読みあさり、着実に知識を増やしていった。そうすることで、他部署からの問い合わせに返答するまでの時間も徐々に短くなっていったのだ。また並行して、習得した知識を活かして仕様書作りにも尽力した。高度なスキルが必要になるため、ときには一日中考えても一歩も前に進まない日もあった。ときには、夜遅くまで仕様書作りに明け暮れた日もあった。仕様書の納期は、次々と迫ってくる。こうした厳しい状況の中で、彼を支えたもの。それは、エンジニアとしての『プライド』と責任者としての『使命感』に他ならなかった。こうして、ついに数百枚にものぼる仕様書をほとんどミスなく書き上げたのだ。

そして――、2005年12月。複数のシステム制御設計を完成させ、エンジニアとして一回り成長した赤塚の姿があった。彼の顔は、大きな自信に満ちていたのだった。

エピローグ
「赤塚君。ちょっと教えて欲しいんだけど…」。

いつしか彼への問い合わせは、“責任者”になった頃と同じようなものに戻っていた。それは、赤塚が先輩エンジニアと同じくらいのスキルであると周囲が認めた証なのだ。現在、これまでの経験を活かし違う車種のカーエアコンを担当することになった彼は、「新たな領域の開発設計にもチャレンジしていきたい」と目標を常に高いところに置いている。

入社1年目に、赤塚がさまざまな困難を乗り越えて作成した仕様書。それをもとにでき上がったカーエアコンが搭載された自動車は、発売日目前。「世界中で乗られる自動車に、自分の技術が活かされている」。彼はそう考えるだけで、嬉しい気分になるのだ。
「相手が理解しやすいように、論理的に話すこと」。エンジニアには、こういったコミュニケーション能力も求められる。

〜仕事で活かした学生時代の経験〜
中学校、高校時代から数学が得意だった赤塚は、大学で理工学部に進学する。そこで、電気電子という分野に出合った。この分野で得た知識は、今の仕事に大いに活かされている。また、卒業研究を1年以上かけて仕上げるといった根気強さも、エンジニアには必要な能力だと彼は言う。
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