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情報・通信(ソフトプロダクト開発(パッケージ商品)) / 情報・通信(ソフトウェア開発) / サービス(専門コンサルティング(情報通信系))
最終更新日: 2008/03/10
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プロの仕事研究
入社2年目にして新会社の目玉商品を作り上げたソフトウェア開発のプロ。
ソフトウェア系−システムエンジニア(オープン、WEB系)
システム部
栗田 由久 (40歳) Yoshihisa Kurita
入社16年目 / 千葉商科大学 商経学部 商学科 出身

プロフィール
1992年、株式会社テクリードの前身の企業に入社。1年後の1993年6月、栗田の所属する事業部が独立する形でテクリードを設立。創立メンバーのひとりとなった栗田は、図面出力プログラムの開発、運用、維持を2年間担当し、その後、鉄骨などの総量を積算する積算用ソフトの開発、維持作業を務める。

プロローグ
日本が泡沫の夢に酔った10年のバブル経済が終わりを告げて1年余、“バブル期の大学生”を謳歌していた栗田も、社会に出るべき時期にきていた。「これからの時代は技術職だ。それも情報技術に強くなることが必要だ」。そう考えた栗田が選んだのは、とあるソフトウェア開発を手がけている企業だった。

「これまで以上に面白い、波乱万丈な毎日が過ごせるはずだ」。その予感はまもなく正しかったことが証明された。1992年に栗田が入社しその1年後には、栗田の所属する事業部がそのまま独立して新会社を起こすことになったのだ。テクリードの誕生である。創立メンバーのひとりとなった栗田だが、その当時はシステム開発のことはほとんど分からず、指示されたことをこなすだけで精一杯だった。大学でプログラミングを勉強していた同僚にまるでかなわず、悔しい思いをする毎日。しかし栗田は持ち前の粘り強さで、少しずつ要領をつかんでいった。そして新会社となって2年目。会社の命運を握るある新商品の開発が、栗田とその上司に託された。会社に貢献する千載一遇のチャンス。長い戦いの始まりだった。

新会社の命運を握るプロジェクトが発動した 1
商経学部商学科に所属していた栗田が就職活動を通して選んだのは、ソフトウェア開発を手がける企業だった。これまでに勉強してきたこと、身につけてきたことが、ほとんど役に立たないであろう世界。この選択には理由があった。「これからは技術職だ。それもITに強くならなければ社会で戦っていけない」。独立系のソフトウェア会社であること。それが栗田の就職活動のベースだった。

新会社の設立から、1年が経とうとしていた1994年6月、会社の命運を分けるべき新商品の開発プロジェクトが立ち上がった。鉄骨総量積算のシステム、『SALTUS-E』の開発プロジェクト。その開発要員として、栗田とその上司のふたりに白羽の矢が立ったのだ。“近頃伸びてきた新人”と、その同い年の上司。新会社の行く末を担うべきふたりに、命運は託されたのだ。

プロジェクトの成功がそのまま会社の今後に繋がる 2
直属の上司からプロジェクトの話を聞いたとき、栗田は単純に嬉しかった。周囲から一人前と認められてきた証拠と思えたからだ。しかし、プロジェクトの背景を考えると、喜んでばかりもいられなかった。創業間もないソフトウェア会社にとって何よりも欲しいもの。それは実績であり、安定して供給できる新商品だ。事業部のころから引き継いだシステムの維持作業だけでは成長はない。つまり、このプロジェクトの成果がそのまま会社の今後に繋がる。そんなプロジェクトを任されたという事実は、喜びと共に大きなプレッシャーも連れてきた。

新システムの内容は、建築に使用する鉄骨総量の積算用プログラムだ。従来は手計算で行われていた建築図面上の鉄骨総量の計算を、図面を引くことによって自動入力と自動処理が行えるようにするもの。もともと大手ゼネコンをメインの顧客とした、鉄骨を使った建造物建築工程の支援システムの開発・維持を手がけているテクリード。その新たな目玉商品として期待された。

「ミスは取り返せばいい」、その一言で救われた 3
気がつけば新システムは、小システムとも言えるプログラムのかたまりが、全部で15個以上もある大規模ソフトに成長していた。それらをひとかたまりずつ、フロー作成、コーディング、テスト、連結テストと、地道に、しかし確実に進めていった。『SALTUS-E』の“売り”である“自動入力・自動処理の迅速さ” “積算確認画面の出力による処理の最適化”のほか、重要な機能も含めて上司と手分けしながらじっくりと進めた。当初予定していたスケジュールは、開発半ばにして既にひっ迫していた。それでも栗田は、時間をかけてでも“喜ばれる商品”を作りたかった。

二人三脚で開発を進めていく中で、大きな山場が訪れた。ある部分に関して、栗田の考えていた作り方が根本的に間違っているのではないか、と指摘されたのだ。従来の商品から流用することで実現できると思っていた機能が、ハードの容量の問題で流用できないことが発覚したのだ。多少は慣れてきたとはいえ、未だ一人前とは言えないレベルなのか…。周囲の目も、そう言っているように思えた。

しかし、直属の上司の見方は違った。「ハードの容量の問題を見落としていたのは、彼にとって初めてのケースだからやむを得ない。ただしその部分を除くと、彼のシステム構築方法の方がより理にかなっているじゃないか」。上司には、その本質が見えていた。「ミスは取り返せばいい」。その一言で、栗田は救われた。

2年を超える開発作業が報われた日 4
ミスを取り返すべく、栗田のモチベーションはさらに上がっていった。顧客とも営業担当者とも積極的に会い、情報や要望の収集、その反映を自ら提案していった。新システムの全容が見え始めたころには、“一人前のシステムエンジニア”として社内でも認められる存在となっていた。

そして15個以上あった小システムは、最後のひとつのテストを残すのみとなった。手分けして行っていた開発作業をここでは上司とふたりがかりで行い、トラブルを解決していった。最後のテストランニングが終わり、リリースの体制に入ったのは1996年夏。プロジェクトのスタートからすでに2年を超える歳月が経過していた。完成ソフトを手持ちのハードにインストールしながら、栗田はそれまでの2年間を思い返していた。

その1号機が最初に売れたのは、同年8月のこと。リリースを待ちきれないかのように、某大手ゼネコンが購入していった。初めて自分がゼロから開発したシステムが、誰もが名前を知るような大企業で使われている。報われたという思いとむずがゆいような気持ちが半々だった。しかし、感慨にふけっている暇はなかった。リリースしたその日から、バージョンアップのためのメンテナンス作業、情報収集に入らなければならなかったのだ。「リリースがゴールじゃない。ゴールなんてない。あえて言うなら、1日1日で最良の結果を出すべく動くこと」。焦りもなければ緩みもない。システムエンジニアとしての栗田がここに誕生したのだった。

エピローグ
「当時のことについては、ほとんど楽しかったことしか覚えていません」。しかし、飛車角落ちの将棋のごとく、開発作業中は“負けて当然”の毎日だった。「負けては原因を探り、克服して次の段階に進む。最終的に完成品が“最強の戦士”となれば、それでいいんです。それは、とにかく売れるシステム。ただ作っただけでは自己満足で終わってしまいますから」。

開発から運用、保全維持の作業まで、すべて自社内で行っているから、顧客の声も直接開発担当者に届いてくる。それだけに顧客に喜ばれるシステムを作ることに栗田の意識は集中している。『SALTUS-E』はバージョンアップを繰り返し、10年近く経った今も主力商品となっている。
積算プログラム維持・開発の実質的責任者として、寡黙に、しかし愛情を持って栗田はわが子(システム)の面倒を見続けている。

〜仕事で活かした学生時代の経験〜
高校時代は軟式テニス部に所属。厳しい練習にも負けない忍耐力と根性、及び上下関係を学んだ。進路を選ぶ際に“これまでに経験したことのない世界”に飛び込むことができたのは、このころ培った自信があったからだという。大学でもテニスサークルに所属し、人間関係の面白さや難しさを学んだ。
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