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インフラ(鉄道・航空・海運・運輸)
最終更新日: 2008/05/29
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プロの仕事研究
“東京−鹿児島”線の就航に向けて、ダイヤ調整を手掛けた経営企画のプロ。
事務系−経営企画
企画推進本部 経営企画室
田中 文明 (30歳) Fumiaki Tanaka
入社7年目 / 立命館大学 経済学部 経済学科 出身

プロフィール
地元・宮崎の発展に貢献したいという想いからスカイネットアジア航空に入社。宮崎で営業に従事した半年を経て、宮崎―東京線の就航を機に東京に異動する。営業、羽田空港でのカウンター業務を経験。現在は、経営企画室で航空会社間のダイヤ調整、国土交通省との対外折衝、さらに沖縄線参入に向けたプロジェクトに携わる。

プロローグ
『9月1日を目処に、“東京―鹿児島”線を就航いたします』。

このニュースが各メディアを通じて全国にリリースされたのは、2007年3月。スカイネットアジア航空の事業計画に基づいた、新航路を開設する新たなプロジェクトだった。このリリースは、社内のプロジェクトが動き始める合図でもある。これを機に、各部署の動向は慌ただしさを増していった。

「田中、路線開設のプロジェクトを引き受けてくれないか」。この上司の発言が事の始まりだった。田中はその場で、上司の依頼に了承。路線開設プロジェクトに携わることが決まった。これまで田中が入社して以来、宮崎線、熊本線、長崎線が開設されてきたが、就航業務を担当するのは今回が初めて。右も左も分からない状態からのスタートだった。しかし田中の気持ちの中では、不安よりも期待が勝っていた。「俺が会社の新しい歴史を刻むんだ!」。企業の歴史に名を刻む事業に携われることが、嬉しくて仕方がなかった。それは同時に、田中にとっての誇りでもあった。そんな想いを胸に秘め、田中は“東京―鹿児島”線の就航に向けて走り出した。

路線開設の実現は、田中の手に掛かっている。 1
今回の路線開設プロジェクトに名を馳せるメンバーは、田中を含め総勢5名。それ以外のメンバーは、運送本部や営業本部など各部署の部長で構成されていた。このチームで田中が果たすべき役割は、プロジェクトの進捗管理や計画書の作成、ダイヤ調整など多岐にわたる。ひとつの失敗や納期遅れも許されない。路線開設に向けて、想像を遥かに超える厳しい道のりが田中を待ち受けていた。

路線開設を実現するためには、まず国土交通省から認可を得なければならない。例えば、航空機を運航するにあたり、上空のルートに基準が設けられている。このような申請を含め、路線開設に至るまでの資料を提出する必要があるのだ。他にも、地上にある航空機を引っ張るためのトラクターを何台必要とするのかといった、事細かい内容の確認が求められていた。資料に必要な事項を各メンバーで割り振りながら対応していく。それらの統括を行なうのが、田中の役目でもある。逐一、各部署とのコミュニケーションを取りながら、一つひとつの問題をクリアしていった。

プロジェクトの山場となる、各航空会社とのダイヤ調整。 2
全ての事柄において順風満帆とは言えなかったが、資料に必要な情報を次々に取り揃えていった。そして、プロジェクトが始動して2ヶ月が経ったある日のこと。田中は、大きな山場を迎えた。それは、各航空会社とのダイヤ調整である。新たな便が誕生するということは、それに合わせて発着時刻を設定する必要があるということ。このダイヤ調整が、路線を開設する上で最も重要になる局面。プロジェクトの成功を占うといっても過言ではなかった。航空機を運航するには、様々な人員を要している。航空機に燃料を補給する人、到着する空港で航空機を受け入れる人、さらに航空機を操縦するパイロットなど、航空機に携わる人々は全てダイヤに合わせて配置されている。そのためダイヤが決まらない限り、計画を確定させることが出来ない。

ダイヤ調整会議には、空港を利用する全ての航空会社が集結する。田中は会社の代表として、会議に参加。予め社内で検討されていた希望ダイヤを会議で提示したのである。「当社は羽田発8時台の便を検討しています」。

ダイヤに生じる各社との利害関係。 3
このダイヤを設定したのには、理由がある。今まで同社は、“東京―熊本”、“東京―長崎”を6往復運航していた。それを4往復ずつに減らし、空いたダイヤに鹿児島線を3往復入れたのだった。今回、田中が提示したダイヤは、元々羽田9時発の熊本行きに使用されていたダイヤ。しかし、路線によって飛行距離は異なる。当然、飛行時間にも多少のズレが生じてくる。鹿児島は熊本よりも飛行時間を要するため、8時台に早める必要があった。

当然、田中が提示したダイヤによって、他社の運航にも影響が生じる。「ウチだって8時台に飛びたいんだよ!御社の都合で変えないでくれ!」。他社からは、不満の声が続出。ダイヤを変更することは、事業計画を変えることにもなる。人員の勤務実態を改める必要性など、そこには利害関係との繋がりがあった。

「今まで通り羽田を9時に出発したら、到着時刻が伸びることになってしまう。それでは、お客様にご迷惑を掛けてしまうんです!」。田中は必死に説得を続けた。ダイヤを受け入れてもらえなければ、路線開設が困難になる。田中は重要な局面を迎えていることをひしひしと感じていた。

しかし、この日のダイヤ会議は話が平行線を辿ったまま、終わりを迎えた。その後、毎日のように会議が行なわれたが、話が進展することなく、時間だけが過ぎていった。

“東京―鹿児島”線の就航を成功させるために。 4
ダイヤ調整会議の開始から1ヶ月。路線開設の時期も差し迫り、田中は焦りすら覚えていた。社内では着々と予定のダイヤで、路線開設に向けた計画が進められている。会議でダイヤが通らなければ、最悪の事態を招くことにも繋がる。田中は決死の思いで、交渉を続けた。

「お願いします!予定のダイヤで運航させてください!」。懇願する田中に、ある航空会社の担当者が口を開いた。「分かりました。ウチがダイヤを変更します」。田中の固い意志と熱い想いが受け入れられた瞬間だった。最終的に鹿児島線の3便とも予定していたダイヤで運航することが可能になった。

ダイヤが決定したことによって、プロジェクトは大きく前進。その後は、空港施設の工事や人員の配置、必要な機材の確認など最終調整の段階に入っていた。資料も完成し、国土交通省に提出。後は認可の決裁を待つのみだった。

そして就航の1週間前――。田中の電話が鳴った。電話の相手は、国土交通省。自ずと受話器を持つ手が震える。「今回の路線開設の件ですが・・・」。田中の緊張は最高潮に達していた。「無事に認可が下りました」。その言葉に、田中の緊張は一気に解放され、天にも昇る気持ちでいっぱいだった。自身に与えられた役割を、最後まで諦めずに完遂させた田中。こうして路線開設の一大プロジェクトは、最高の形で幕を閉じたのである。

エピローグ
ついに、2007年9月1日。“東京―鹿児島”線は、就航の時を迎えた。羽田発8時35分の初便に搭乗する田中。お客様が笑顔で乗っている光景を目の当たりにして、新たな感動を味わっていた。そして、出発の時。上空に飛び上がる機内で、田中は改めてこの仕事の醍醐味を肌で感じていたのである。

現在、田中は2009年2月に就航予定である沖縄線開設のプロジェクトリーダーとして活躍している。田中が見据える先にあるのは、“お客様の笑顔”。それが田中の原動力にもなっているのだ。

さらに今後は国内に留まらず、世界各国へと路線を拡大することが田中の大きな夢。その夢に向かって、田中は走り続ける――。
仕事柄、国土交通省や株主、自社の経営陣と接する機会が多い田中。それだけ社内で重要な役割を担っている証拠と言える。

〜仕事で活かした学生時代の経験〜
現在の仕事で最も重要なのは、人と人との連携。なぜなら、飛行機一機を無事に飛ばすには、数多くの人との関わりが不可欠だからだ。連携を重要視するようになったきっかけは、野球やソフトボールの部活動。様々な垣根を越えた人との絆が、自分を成長させてくれた経験からだ。
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