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メーカー(インテリア・建材・住宅設備) / 商社(専門商社(インテリア・建材))
最終更新日: 2008/03/10
(マークの説明) 正社員 老舗
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プロの仕事研究
配送センター時代の経験を武器に、和歌山県のマーケットを切り開いた提案営業のプロ。
営業・販売系−営業(法人・ルートセールスが中心)
営業課/所長代理
桜井 聡 (33歳) Satoshi Sakurai
入社15年目 / 東大阪市立日新高校 普通科 出身

プロフィール
約6年にわたる配送センターでの経験を経て、大阪支店営業課へ異動。商品の流れや伝票管理を行ってきた経験が武器となり、お客様に対する迅速な対応で徐々に頭角を現す。そして、広島営業所へ異動し、所長代理に就任。現在は、プレイングマネージャーとして課員の指導・統率から第一線の営業まで幅広く活躍している。

プロローグ
「何を言うてんねん。この若造が」。

言葉を浴びせられた刹那、彼は相手に飛びかかっていた。“年齢が自分よりも若い”という理由で軽く見られたことが、どうしても許せなかったのだ。桜井聡、入社3年目、21歳の夏のことである―――。

総合水道用品メーカーである同社に入社して以来、桜井は自社製品の物流拠点である『配送センター』で製品管理の仕事に奔走していた。与えられた仕事だけでなく、物流に関わる全ての業務に対して貪欲に学ぶ姿勢を崩さなかった彼は、3年目に大きなチャンスを掴んだ。先輩社員を押しのけ、3名体制で管理されている『配送センター・分室』の責任者に抜擢されたのだ。「何もかも自分でやるねんぞ」。上司に責任者としてのミッションの重大さを伝えられ、俄然、意気込んだ桜井。だが、分室での仕事は決して容易なものではなかった。

これは、血の気の多かった桜井が、培ったすべての経験を活かしビジネスパーソンとして成功を収めるまでのサクセスストーリーである。

「年齢は関係ない! 能力で判断してほしい!」。 1
同社において『配送センター』とは多種多様な製品を管理し、発注書に基づいてお客様のもとへ届ける重要な拠点。中でも、桜井が任された分室は、たった3名で大量の製品を管理している厳しい環境だった。異動して間もなく、若干21歳の彼は早速壁にぶつかっていた。責任者というポジションは、電話応対から、伝票整理、品だしにいたるまで、すべて自分が率先して行わねばならない立場。これまで、クレーム対応の電話などは上司に任せっきりだった彼だが、分室ではすべて自分にその電話が回ってくる。業務内容の幅広さに手を焼きながらも、彼は一つひとつ仕事を整理し、確実に与えられた責任をまっとうしていった。ところが、そんなある日、彼のそうした気のはやりが、大きなトラブルを引き起こすことになる―――。

ことの発端は、“配送ミス”からだった。配送を外部の物流業者に依頼していた桜井は、無事に製品が取引先のもとへ届けられているものだと思い込んでいた。しかし、分室にその取引先からクレームの電話が入った。「まだ頼んだ製品が届いていない」。確認を急いだところ、配送を担当していた男性が桜井への報告なしに問題を処理していたことが判明したのだ。「どうして報告してくれなかったんですか!?」。彼はその男に詰め寄った。だが、一向に反省の色はなく、自分より年下だった桜井に対し、逆にこう言ったのである。

「何を言うてんねん。この若造が」。

―――桜井の理性が弾け飛んだ。

本当は、ずっと営業がしたかった。 2
―――物流業者とのトラブル以来、桜井は己の自制心の無さに気づき、社会人として精神的に成長するべきだと考えるようになった。「どんな時も冷静に物事を判断せな、分室の責任者は務まらん」。その後の彼は、四方八方から飛んでくる問題に対して常に冷静な対応を心がけた。そして1998年。2年間分室の責任者としての責務をまっとうした彼に、配送センターへ戻るよう指令が下った。分室での業務を通して、あらゆるスキルを磨いた彼は、センターで唯一の“オールラウンダー”として、製品出荷から在庫管理にいたるすべての仕事を任された。それから1年後。彼に再び大きな転機が訪れる。

「桜井。営業をやってみないか?」。

実は、これまで何度か営業職への異動の話があった。彼自身、営業職に関心を持っていた。しかし、彼はそのオファーを受け入れなかった。『配送センター』は重要な仕事である上に、製品の流れを理解するには絶好の職場。「まずは物流の仕事をしっかりと身につけるのが先決。営業はそれからでもできる」と、考えていたのである。そして6年間、彼は様々な仕事を通して学んでいった。

「そろそろ営業の勉強にとりかかってもええ時期かな」。
1999年11月、彼は初めて首を縦に振った。23歳、新たなるチャレンジ。営業職への異動だった。

“売れない”のか!? それとも“売ろうとしていない”だけなのか!? 3
「…ハイっ! おそらく今配送センターで出荷をしている最中ですから、御社のエリアでしたら本日の夕方にはお届けできると思います!」。

大阪支店営業課に異動した桜井は、配送センターでの経験を最大限発揮して営業活動に挑んでいた。既存顧客の多い同社にとって営業社員に求められる資質は、“スピード”。取引先からの依頼や問い合わせに対して、いかに的確かつ迅速な対応をするかで、信頼度が左右されるからだ。“どの製品がいつ、どのように配送されるか”という製品の流れを、6年もの月日をかけて学んだ桜井。営業社員の中で、対応力に関して彼の右に出るものは誰もいなかった。そして大阪市内のルート営業で高い評価を得た桜井は、すぐに上司から新たなミッションを告げられることとなった。“和歌山全域のマーケット開拓”、つまり新規営業である。

同社の営業活動には、大きく2種類がある。一つは大手ホームセンターを対象にバイヤーと交渉する営業活動、そしてもう一つは管材店や工務店が対象の営業活動だ。桜井の担当は後者であった。彼は、和歌山県というフィールドをより深く理解するため、それまで担当していた先輩社員や既存顧客にマーケットの動向を聞いて回った。すると、洗面所や台所などで使われる水回り器具については高い売上である一方、スプリンクラーなどの庭で使われる水回り器具はまったく売れていないことが判明した。「需要が無いからなぁ」。そんな先輩社員の言葉に、彼は疑問を抱いた。

「本当に需要がないからなんだろうか…。提案できていないだけなんじゃないか…!?」。

その発想が、常識を覆した。 4
「―――スプリンクラーなども扱っているんですけど、庭回りの工事で使えませんか?」。

翌週、桜井は早速車で和歌山へ向かい、県内の工務店を訪問していた。庭の草木に水を供給するスプリンクラーなど、庭用の水回り器具の需要は、施工業者などにもあるのではないかと考えたのだ。しかし、何社か訪問を繰り返すうちに、工務店では庭回りを施工するノウハウを持っていないため、造園業者に外部発注をしているケースが多いことに気づく。「工務店に需要はないのか…?」。あきらめるべきかと考えた桜井。ところが次の瞬間、あるアイデアが閃いた。

「そうや! 俺が提案すればええんや!」。

気持ちを入れ替え、彼は再びある工務店に飛び込んだ。水道用品についてヒアリングすると、案の定、ここでも庭回りについては造園業者に頼んでいるという。それを聞いて、彼はすぐさま切り返した。「御社で施工してしまえばいいじゃないですか! 商品は当社が提供しますから!」。常識を覆す発言に、呆気に取られた担当者。「いや、カクダイさん。設備の取り付け方も分からんのにできる訳ないですよ」。

「カンタンですよ! 外部発注しない方が無駄なコストを削減できるでしょう? 私が現場で設置方法を説明しますよ。ただし、一度しか言いませんからね。覚えてくださいよ!」。桜井は自信満々だった。「間違いない。工務店はウチの商品を知らなかっただけだ。取り付けのノウハウさえ提供すれば、きっと県内のマーケットは広がる!」。その日の帰り道、夜の高速を飛ばす彼の目は、鋭く輝いていた―――。

エピローグ
彼の思惑どおりだった。後日、現場で設置方法を直接指導して以来、庭回りの水道用品の取引が成立したのである。

「桜井クン、あれなら私達にもできるわ! ありがとう!」。

担当者は、彼を“カクダイさん”ではなく、名前で呼んでくれるようになった。そして別の工務店にも次々と飛び込んでいった桜井。庭回りの器具の設置方法を指導しながら和歌山県下で最も売れていなかった製品のマーケットを拡大することに成功したのだ。

「僕の強みは、配送センター時代に培った“行動力”です。思いついたら、和歌山県であろうと滋賀県であろうと、現地へ行って実践してみる。そしてお客様の要望には迅速に応え、信頼関係を築き上げる。そうした努力をずっと怠らなかったことが、今回の成功に繋がったのだと思います」。次なるマーケットの拡大に、彼は再び目を輝かせている。
上司や同僚に相談しながら新たなマーケット開拓に挑む桜井。大阪支店はにわかに活気づいている。

〜仕事で活かした学生時代の経験〜
高校時代の3年間、野球部で毎日厳しい練習に耐えてきた桜井。部活動で身についた忍耐力や精神力、上下関係は、社会人となってからも活かされた。お客様に対する丁寧な接し方や、ひたむきに新規営業を続ける姿勢の基礎には、高校時代の経験がある。
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