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最終更新日: 2007/10/01
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プロの仕事研究
顧客の信頼を深めながらサービス力を強化し、アフターブーケを世に広げた営業のプロ。
営業・販売系−営業(法人・新規開拓が中心)
株式会社カナックス 営業部/シニアマネージャー
坂本 正道 (36歳) Masamichi Sakamoto
入社13年目 / 帝京大学 法学部 法律学科 出身

プロフィール
1996年にカナックスに入社。3ヶ月間は制作以外の社内業務に携わりながら自社の事業内容を吸収する。その後、営業としてクライアントフォローと新規開拓を推進。現在もアフターブーケの販促を柱とした既存顧客への営業やクレーム対応、さらには結婚式場に対するアフターブーケの考え方を浸透させる営業を展開している。

プロローグ
今から約10年前、坂本正道は自らの将来に不安を抱いていた。大学卒業後、営業職として就職したものの、会社の方向性や営業手法に疑問を感じて退職。しかし、誇れるキャリアやスキルなどは皆無に等しく、再就職に向けた活動も膠着状態にあった。ある日、ふと手にした転職情報誌。そこに掲載されたひとつの募集広告に目が止まった。「アフターブーケで人々に幸せを…」。純粋に物珍しく、面接のアポイントメントを取ってみた。当日、社長が対応してくれた。社長席の横に座り、アフターブーケとは何かをその時、具体的に知った。(実に興味深くこれからのビジネスかも知れない―――)。商品やサービスが魅力的で、当時はまだ斬新だった。この頃のカナックスは成長過程にある若い会社だった。つまり、人材の数も乏しく、特に営業力の強化は重要課題。そこに現れた坂本の意欲が認められ、社長は採用を即決した。まさしく、運命の出会い。社長の人柄にもひかれた坂本は、人生のリスタートを決意した。翌日からさっそく出社。自社の事業について何の知識もなく、最初はオフィスでの雑用に追われる日々が続いた。約3ヶ月、坂本は自社のビジネスを肌で感じた。

右往左往しながらの営業活動が始まる 1
『アフターブーケ』とは造語であり、カナックスの事業で軸となる商品とサービスの名称である。端的には、結婚式で使用されたウェディングブーケをドライフラワーや押し花として再加工し、きれいな額やボックスで保存できるというサービスだ。坂本正道が入社した当時、その存在こそあったが、ビジネスとしては斬新。今後の成長が十分に予測できる未開拓のマーケットが広がっていた。そんな状況下、3ヶ月の研修を終えた坂本は、横浜などを担当エリアに営業活動を開始。当然のごとく、「成功したい」との意欲やモチベーションはピークに達していた。だが、実際に現場を訪問してみると、戸惑いの連続だった。前職での営業は主に個人が対象。一方、カナックスの営業先となるのは結婚式会場を持つホテルなどの施設。法人営業は勝手が違った。たとえば、名刺一枚のやりとりに新鮮な驚きを覚えた。前職では名刺どころか、電話さえも簡単に切られる始末…。反面、ホテルなどの企業を訪問すると誰もが笑顔で迎えてくれ、名刺交換から商談へといったセールスのプロセスはスムーズに進んだ。ただし、商談はシビアだった。理路整然。先方のメリットを熟慮したアプローチが欠かせなかった。

契約に執念を燃やした人気の結婚式会場 2
入社から半年が過ぎた頃、坂本は「Win-Winの関係構築」といった法人営業の基本を吸収し、営業活動を本格化させた。大小を問わず、横浜周辺のホテルや結婚式会場を訪問。積極的なコミュニケーションで信頼の輪を広げようと尽力し、その中で「どうしてもここは何とかしたい」と思えるクライアントに巡り会った。場所は横浜中華街の近く、1000人規模の披露宴も可能な施設を持つA社。つまり、人気スポットに位置し、A社は年間1000件以上の結婚式を開催する有名結婚式会場だった。今でこそ、カナックスはアフターブーケのマーケットでは他社の追随を許さない事業基盤を築いている。しかし、この当時はマーケット自体が混沌とし、いくつもの会社が頂点を目指してしのぎを削っていた…。「初めまして、カナックスの坂本と申します」。対応してくれたのは若手の担当者。笑顔を絶やさず、物腰のやわらかさも感じられた。事実、カナックスのアフターブーケに大きな興味を示しているようだった。それから頻繁に顔を出しつつ、自社のアピールを続けた。この頃、現在ほどに商品の差別化は図れなかったが、坂本の人間味溢れる対応が商談を上昇気流に乗せた。

「宅配便じゃ無理だな…」のひと言に沈黙 3
それからしばらく時が過ぎると、坂本は現実の厳しさを味わった。商品力、自身の人間味だけでなく、A社へ対して支払われる中間マージンといった現実的な話も含め、担当者の反応は常に良好。契約に向けて、商談は順調に進んでいるようだった。この波に乗って他社への営業にも力が入り、充実した毎日を過ごしていた。だが、契約が近づいたと思われた頃、重要な事実を知った。具体的な契約内容を煮詰めるべく、上司が商談に同席した。担当者からは「挨拶程度で…」と言われ、契約に関する最後の詰めになると予感した。名刺を交換し、改めて詳細を説明した。特に表情を変えることもなく、先方の上司は話に聞き入っている。「どこで切り出そうか…」。契約をどこで取り付けるのかを頭に浮かべると、上司はひと言こう告げた。「宅配便じゃ無理だな…」。唖然としながら先方の顔を見つめた。脳裏では疑問符が浮かび、何が起こっているのかを瞬時に理解できなかった。まず、これまで商談を続けてきた担当者は若手だからこそ、最終的な決裁権を持っていなかった。加えて、アフターブーケのやりとりに先方の上司が難色を示した。理由は単純明快。「面倒くさい」だった。

サービス力の整備を全社的に進めた結果… 4
契約成立というゴールがひと言で吹き飛んだ。さらなる手も打てず、とりあえずは引き上げた。社に戻り、社長の下に駆け寄った。「社長、実は…」。もはや、坂本自身の力では埒が明かなかった。ただし、「面倒くさい」と言われた営業先はA社だけではなかった。前述したように当時、ブーケのやりとりは宅配便で行われていた。結婚式終了後、ブーケが担当セクションに届けられ、それを式場のスタッフが箱に梱包した上で宅配便に引き渡す――このプロセスを手間と感じ、契約を拒まれた。そこで社長からの指示により、全社的な改善として新たな体制作りが始まった。自社で専門スタッフを用意し、彼らに商品の梱包と引き取りを担当させる。コスト面などリスクもあったが、坂本のA社に対する熱意がこの懸念材料を払拭した。「何としても契約を取りたいんです」。そして後に、彼と会社の起こしたアクションが大きな収穫をもたらすことになる。坂本はA社の理由を覆し、見事に契約を成立させた。さらに引き取りまで行うサービス体制が功を奏し、横浜だけでなく、千葉県などのエリアにまで事業が急速に拡大。坂本の情熱が原動力となって自社の飛躍は本格化したのだ。

エピローグ
まさしく、独自のビジネルモデルが確立した案件となった。実はこれ以前にも東京都内では、自社による引き取りサービスを実施していたという。だが、当時の企業力ではその幅を広げるリスクは大きく、難しい問題。それを乗り越えて実現したことにより、新たなお客様との信頼が次々に育まれていった。今はシニアマネージャーとなった坂本。それでも、あの頃の気持ちを忘れずにさらなる躍進を目指す毎日だ。時にはアフターブーケを依頼したお客様から感謝の手紙が届くこともある。それに目を通してはお客様の笑顔を頭に浮かべ、「幸せになって欲しい」との気持ちを認識する。「それこそがこの仕事に取り組む上で最高のエネルギーだ」と考えている。
営業の最前線で活躍する坂本。アフターブーケという商品を日本中に広げ、多くの人々に笑顔と幸せを提供したいと考えている。

〜仕事で活かした学生時代の経験〜
大学時代、バンド活動や多種多様なアルバイトを経験。その際に「何事にも楽しんで取り組むこと」を常に心がけ、充実した時を過ごした。それは今も仕事の大切なスタンスとして活きている。また、アルバイトを通して出会った人々との交流で、コミュニケーションスキルを培うこともできた。
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