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メーカー(鉄鋼・金属・非鉄金属) / 商社(専門商社(機械・電気・金属))
最終更新日: 2007/10/01
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プロの仕事研究
提案内容の糸口を執念で探し出し、取引額を5倍まで伸ばした営業のプロ。
営業・販売系−営業(法人・ルートセールスが中心)
営業1課
前木場 雄介 (27歳) Yusuke Maekoba
入社5年目 / 近畿大学 生物理工学部 基素機械工学科 出身

プロフィール
業界を絞らずに就職活動を行う。そんな時、何気なく足を運んだ宮脇鋼管の会社説明会で全社員が元気のいい挨拶で迎えてくれたことに感動を覚える。また、成果主義を取り入れている点にも魅かれ、「ここで働きたい」という意思を固めた。入社後、研修を経て営業に配属。現在、トップセールスを誇る同社期待の若手社員である。

プロローグ
「あ、また来たの? でも君とは何も話すことはないよ」。
いつもと変わらないお客様の対応に、前木場は肩を落としていた。鉄スクラップとして処理される鋼管を加工し、製品として新しい命を吹き込む宮脇鋼管に営業として入社した前木場には、闘志がみなぎっていた。「こんなところで挫けるわけにはいかない」。それもそのはず、前木場にとって初めてとなるお客様だったのだ。

――2005年10月。研修期間を終え、営業として独り立ちする時を迎えた前木場は、上司に連れられ、鋼管などの鉄製品を専門に取り扱う商社を訪れていた。以前から宮脇鋼管との取引はあったものの、取引額はわずか。深く入り込むことができずにいたのだ。そんなお客様を、キャリアも実績もある上司から前木場に引き継ぐという。お客様と上司が楽しそうに言葉を交わす横で、愛想笑いをするしかなかった前木場。そんな彼に、より強固な関係を構築し、取引額を伸ばすというミッションを課せられることになろうとは、この時は知る由もない。

上司、会社からの期待に応えるため、奔走する毎日。 1
「あのお客様は伸びるぞ。近年、業績が好調だ。その分、製品の仕入量も増えているはず…。これはチャンスだぞ、前木場!」。人生初となるお客様に挨拶に行った帰り道、何も知らない前木場は、真剣な表情を見せる上司を見て身が引き締まる思いがしていた。「難しいお客様かも知れない。でも、これはチャンス。頑張らなくては…」。そう言い聞かせ、次は自分から話のきっかけを作れるようにと上司から情報を収集する。必死な行動を見せる前木場に、上司は「頑張れよ!」と全面協力してくれた。大きな期待に応えるため、前木場の挑戦がスタートを告げた。

電車で片道2時間を要するお客様先に向かう前木場。降車駅が近づくに連れ、大きな緊張の波が押し寄せてくる。何度も商品の資料を見返し、心を落ち着かせた。長くもあり、短くもあったこの2時間は、自分の考えをまとめるいい時間だった。ついに最寄り駅に到着した前木場は、気合いを入れる。「よし、きっと大丈夫だ!」。前向きに考えれば考えるほど、お客様先に向かう足取りは軽くなっていく。むしろ、どんなやり取りをすることができるのかと楽しみになっていた。

初訪問は、ほんの数分。 2
元気に挨拶をし、社内に足を踏み入れる。だが、「見ての通り忙しいんだ。今日は帰ってくれないか」と到着して早々、追い帰されてしまった。滞在時間は、ほんの数分。というのも、商談相手となる担当者は仕入れた鉄製品をメーカーに卸す業務も並行して行っているため、忙しさは半端ではなかったのだ。慌しく電話をかけ、指示を飛ばす担当者。その姿を見た前木場は諦め、その場を後にした。

駅のホームで電車を待つ前木場に、何とも言えない虚無感が襲う。「お客様と話がしたい」。一瞬で終わってしまったやり取りを思い出すと、感情はいつしか悔しさに変わっていく。「まだ始まったばかり。これからなんだ。取引を絶対に伸ばしてやる!」。

悔しい思いを吹き飛ばすかのように、再びお客様先には前木場の姿があった。たとえ、「君と話すことは何もない!」と言われたとしても、諦めることなく1週間に2日は担当者のもとを訪れる。「○○さんが帰ってくるまで待ってますよ!」。「一緒にお昼にいきませんか?」と声をかけ、自分から逃げることはしなかった。決してめげない前木場に、お客様先の社員たちは徐々に心を開き始め、“前木場さん”と声をかけてくるようになっていた。

やっと見つけた、担当者とのコンタクトの糸口。 3
肝心の担当者との関係性は、以前と変わらないまま。片道2時間をかけて訪問しても、商談時間は10分。そのせいか、宮脇鋼管の営業として、お客様のために何を提案できるのか全く検討がつかない。そんな状態が3ヶ月間も続いていた。「距離は確実に近づいてきている…」。いつ、どんなチャンスが訪れるか分からないと、前木場は新しい情報を得ようと必死だった。

その時、お客様先の倉庫に一台のトラックが到着。「競合だっ!!」。そのトラックには、宮脇鋼管でも取り扱っている鉄製品が積み上げられていた。「お客様には、こんなニーズがあったんだ!」。担当者とのコンタクトの糸口を見つけた前木場は、その鉄製品について隅から調査を開始すると同時に、お客様先の社員たちからも詳細情報を仕入れるため聞き回った。

「御社では、この製品を仕入れていらっしゃいますよね? 当社の特殊切断技術を使って、御社が一番必要とするサイズに加工できます。一度、お見積書を確認していただけませんでしょうか」。いつもと変わらない、10分間の商談。これまで前木場の言葉に耳を貸すこともなかった担当者の表情が一変。興味を示しているようだった。

これまで目にしたことのない、文字がぎっしりと書かれた注文書。 4
さらに前木場は続けた。「当社の場合、24時間体制で配達サービスを行っています。そのため、御社からメーカーさんへの納品スピードを上げることが可能なんですよ」。順調に商談は進んだものの、時間が来てしまった。「考えておくよ」。それだけを言って、忙しそうに普段の業務に戻っていく担当者の後姿を見て、前木場は確信していた。「絶対に、注文をくれるはずだ」と。

数日後、前木場宛てに一枚のFAXが届いた。それは、担当者からの注文書。以前からも、1行、2行しか書かれていない寂しい注文書は届いていた。だが、今回の注文書は賑やかだった。文字がぎっしりと埋められ、空欄がない状態。「なんだ、この注文書は…」。初めて目にする真っ黒な注文書を手にした前木場の頭の中は、これまでの担当者とのやり取りが走馬灯のように駆け巡っていた。嬉しさのあまり、すぐに担当者に電話をする。「よろしく頼むよ!」。いつも通りそっけなかったが、担当者のその言葉から大きな期待を感じていた。

そして、あれから半年が過ぎた頃には、取引額は当初の2倍にまで膨れ上がっていた。上司や会社からの期待、そして、お客様からの期待にしっかりと応えた前木場は、大きな自信を掴んで離さなかった。

エピローグ
2006年10月。営業の全社員が集まる営業会議で、前木場は大きな拍手に包まれていた。ついに、トップセールスとなったのだ。同時に、取引伸び率も発表されるのだが、前木場が初めて担当したあのお客様の社名が上位にランクイン。「それが一番嬉しかった」と、前木場は話す。

現在、多くのお客様を担当し、以前のように訪問することは難しくなった。だが、見積書がなくても発注してくれるまで、強固な信頼関係を構築。さらに、5倍まで取引額を伸ばしている。「お客様から、たくさん営業として大切なことを学んだ。だからこそ、今の自分がいる」。トップセールス・前木場は、どんな困難にも立ち向かう強さを武器に、突き進んでいくのである。
「お客様から頼られることはもちろん、引っ張っていくという気持ちが大切」と語る前木場。それが、自分の成長に繋がるという。

〜仕事で活かした学生時代の経験〜
中学・高校とテニス部に所属。責任感の強さから部長を務めていた。部長として部員一人ひとりに目を配り、コミュニケーションを図ることで、チームの団結力を強化。さらには、勝つことへの執念を持ち続けた。この経験が、営業活動の際にどんな窮地に立たされたとしても、簡単には諦めないことの大切さを教えてくれたという。
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