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メーカー(半導体・電子・電気部品) / 情報・通信(ソフトウェア開発)
最終更新日: 2007/10/01
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プロの仕事研究
ノウハウを自ら構築し、全国規模で販売される製品を手掛けたLSI設計のプロ。
技術系−電気・電子設計
技術本部 LSI設計3部 2課
小野 秀和 (31歳) Hidekazu Ono
入社6年目 / 京都大学 工学部 電気電子工学科 出身

プロフィール
大学の研究室でLSI関連の研究に携わり、「将来はLSI設計がしたい」と考えていた。入社後はLSI設計部へ配属。入社1年目の冬に、初めて設計に携わる。しかし社内にノウハウのない製品だったため、すべてが手探り状態。そんな中、責任感をもってやり遂げることで、大きな自信を得ることができた。

プロローグ
パソコン、薄型テレビ、HDDレコーダー、デジタルカメラ、携帯電話、ゲーム機、自動車…。これら電子機器の“頭脳”となるものが、LSI(大規模集積回路)である。これら電子機器は、指先に乗るほどのわずか数mm角の小さなLSIによって制御されていると言える。

電気電子工学を専門に勉強していた小野は、研究室でLSI関係の研究に没頭。そこで、街の至るところで見られる電化製品のほとんどには、“頭脳”として、日常生活では見かけることのないLSIが組み込まれていることを知る。「目に見えるモノをつくりたい」とつねづね思っていた彼は、“頭脳を創る世界”に自分の進むべき道を見つけ、三栄ハイテックスの門を叩いたのだ。同社はLSI設計に特化している企業であることが大きな特徴。もう一つは、独立系企業であるため、特定のメーカーだけではなく、さまざまなメーカーと取引できるのが強みだった。「いろんな製品の設計に携われる」。彼は期待に胸を膨らませ、入社初日を迎えた―――。

1年目にして、難易度の高い設計に携わることに…。 1
1ヵ月間の研修に参加した後、アナログ回路設計をメイン業務としているLSI設計1部3課に配属された。まずはシミュレーション補佐やプログラミングなど、先輩社員から学びながら、簡単な補助作業からスタート。徐々に仕事に慣れてきた同年冬、小野はある難しい案件と出会ったのだ…。

「ICタグの設計」。ICタグとは、無線でデータを読み書きできるICチップのこと。現在ICタグを利用したシステムとしては、社員証や入退出管理用ICカード、鉄道用の定期券にかわる専用ICカードなどが一般に知られているが、今後は次世代バーコードとして診察券やカルテを組み合わせた個人認証システムや、工業製品や食品のトレーサビリティシステムなど、業種・業界の枠を超えてさまざまなシーンでの利用が期待されている。今回の三栄ハイテックスへの開発依頼は、国内大手メーカーであるお客様からのICタグの設計であった。IC設計の場合、いくつかのブロックに分けて開発設計を進めていく。今回そのひとつである電源ブロック部の設計は小野が所属する部署で対応することになったのだが、部署内の誰もが慌しく仕事に取り組んでいた。そこで開発メンバーに抜擢されたのが、新人の小野だったのだ。すでにある回路をカスタマイズする経験はあったが、ゼロから考えて設計する仕事はこれが初めて。彼は意気込み、勇んだ。とは言え、この分野の設計は会社にとっても初めての経験。さらにお客様も初の試みとのこと…。納期は春まで。決して厳しい納期ではない―――これが、“初めてだらけ”のことでなければ。「これからどうしていけばいいんだろう…」。

製品化するためには、「消費電力を下げること」が至上命題。 2
まず小野は、お客様からの仕様書の検討から取り組んでいった。どんな機能や性質を求めているのか。お客様から要望があったのは、“超小型化”である。小さくすればするほど、生産コストを低く抑えることができるからだ。そこで小野は、顕微鏡を使用してギリギリ見ることができる、0.18um(マイクロメートル※1000分の1mm=1um)という単位の設計に挑むことになった―――。

難題だったのは、今回の製品が電池を内蔵していないタイプのICタグ(パッシブタグ)だったこと。このタイプのICタグは、専用機械から発する電波を電力に変換し、電源を「ON」にして専用機械(リーダー・ライター)と通信をする。この時、ICタグが電源「ON」にするための消費電力量と、情報を受信する専用機械との通信範囲は相反の関係にある。つまり、ICタグの消費電力が高いと、専用機械との通信範囲は狭くなってしまうため、専用機械にICタグを近づけても情報を読み取ってもらえない、というトラブルが発生してしまうのだ。「とにかく消費電力を下げなければならない…」。小野は設計のヒントを得るために、これまでの設計図や資料を読みあさった。

1本1本の電気回路を分析。時間と労力を費やす。 3
しかし小野はすぐに壁にぶつかった。何度設計しても、要求された消費電力が実現しなかったのだ。「一体、どうしたらいいんだろう…」。悩みに悩む。そうしているうちに、電気回路のシミュレーションを行っていた彼は、あることに気付く。「そうだ。もしかしたら、削れる回路があるかもしれない。もし回路の数が減れば、消費電力も低下するのでは…」。

そこからは、時間と労力を費やして、1本1本、電気回路の分析に取り組んでいった。シミュレーションの中で電圧を流し、“なくても動く電気回路”はすべて削っていくことにした。しかし、むやみに削っていくわけにはいかなかった。“設計図と実際のICタグは、同じようで違うもの”。必ずしもシミュレーション通りに実際にICタグが動くとは限らないのだ。そこで小野は、「納期までには、自分が納得できる論理を見つけ出したい」と、意欲的に取り組んでいった。時間のかかる作業ではあったが、彼は担当者としての責任を受け止め、大きなやりがいを見出していたのだ。

努力の結果、全国規模での販売が実現。 4
1本、また1本と電気回路を削っていく小野。それに比例して消費電力も下がっていき、確かな手ごたえを感じる。「いいぞ。何とかいけそうだ」。そしてついに、20本あった電気回路のうち、小野は数本の削減に成功したのだ―――。

その後、お客様によって試作品が完成した。「あぁ! ちゃんと動いてる…!」。初めて自分が設計したモノが、カタチとなって目の前で動いているのを見るのは感動的だった。1本の電気回路を削るにしても、きちんとした理論付けを行ってきた。そのときに考えたことが正しかったと証明され、大きな自信を得たのだ。その後試作品は、何度かの改善を繰り返し、ついに製品化され、お客様の新製品として、全国規模で発売されたのだ。「嬉しい!」。手探り状態でのスタートだったが、最終的にはノウハウを自ら構築することで製品化に貢献でき、小野は喜びを感じた。

エピローグ
現在は、携帯機器向けの電源LSI設計や、液晶ドライバLSI設計に従事している小野。初めて設計したモノが完成したときの感動は、今も忘れていない。

今後は、LSI設計の分野で新しいものを生み出していきたいと考えている。例えば、オリジナル製品や、IPなど。「より高性能な製品を手掛け、後世に残るモノづくりに携わりたい」。彼の夢は、大きく羽ばたいていく―――。
「設計に行き詰ったときは、自分の考えだけではなくて、周囲の先輩の意見も取り入れるように心掛けています」。

〜仕事で活かした学生時代の経験〜
分からないことは、手探りでも自分で調べ・考え・実践してみることを学生時代に学んだ。「LSI設計の仕事は、誰かに聞けば答えが出るものではありません。 まだまだ分からないことや、経験したことのない仕事に直面することが多い中で、前に一歩足を踏み出す手助けになっています」。
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