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最終更新日: 2007/12/25
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プロの仕事研究
検証・分析結果に基づく提案により、コンビニの店舗開発を成功へ導く地盤設計のプロ。
技術系−建築・土木技術者
株式会社サムシング/技術部 設計担当
佐藤 公一郎 (32歳) Koichiro Sato
入社4年目 / 秋田大学 鉱山学部 資源・素材工学科 出身

プロフィール
新卒で地質調査や地下水調査などを事業とする企業へ入社。公共工事の地下水調査などを主に行なった。業績が伸び悩んでいたことなどから転職を決意。企業としての成長性に惹かれて(株)サムシングへ入社した。現在は地盤改良工事や杭工事の設計等をメインに担当している。

プロローグ
専門書を紐解いて、学ぶ。知識を蓄積しては、仕事に活かす…。
佐藤が専門とする地盤設計の仕事は、日々この繰り返しだ。いつも新しい発見の連続。ひとくちに地盤と言っても、数メートル場所が違えば全く性質が異なってくるもの。数年仕事を続けただけで網羅できるものではないのだ。根気を要するが、突き詰めれば専門性を手にする仕事であり、それが面白くて佐藤はこの仕事に魅せられている。

地盤設計は建設時に必要となる工程の一つ。まず安全な建物を作るために、土台となる地盤の状態を調べる「地盤調査」をして、もし建物を建てるのに充分な安定性がないと判断された場合、「地盤改良」という土台固めを行なう。その際に行なうのが地盤設計である。

調査や設計の結果を工務店やハウスメーカーなどのお客様へ分かりやすく伝えるのが佐藤の仕事。建築物を作る際、土台となる地盤が安定しているか否かを専門家として答えている。その佐藤が担当として任された仕事の一つが、全国に1万店舗以上を展開する大手コンビニA社からの依頼。「今後開発する店舗の地盤調査を全てサムシングに依頼したい」という、会社にとっても大きなビジネスチャンスだった。

地盤の専門家として。 1
「A社の仕事、佐藤にもメンバーとして入ってもらうから」。部長から告げられたのは、2006年の夏。コンビニ業界でも店舗数がトップクラスのA社との仕事を任されることとなった。

コンビニを建てる際、建物自体を設計するのは、設計事務所の仕事。佐藤が任されているのは、A社の専属として建設地の地盤がコンビニの重さを支えるだけの強さがあるかどうかを調査・報告すること。A社はサムシング1社に調査を依頼することで、土台の安定性を図る一定の基準を設けたいと考えていた。全国に支社を持つサムシングならば、各地の調査を1社で受け持つことが可能だからだ。

こうして、A社が依頼する全国の設計事務所から佐藤の元へ質問が寄せられるようになった。「◎◎店を設計するにあたって、地盤調査のデータがほしいのですが」「△△店の場合、どんな地盤補強の工法が必要ですか」――設計事務所は設計のプロだが地盤に関しては佐藤のほうがプロ。数々の質問に対応する日々が始まった。

佐藤の元に届いた、一通のメール。 2
「お世話になります。新しく作る店舗の地盤改良の件でご連絡しました。設計事務所から店舗の基礎仕様設計図が届いたのですが、地盤改良はここまでする必要があるのでしょうか。ご検討願います」。

A社からのメールだった。「どういうことだろう…」。サムシング側から地盤調査の結果を設計事務所へ託していることまでは佐藤も知っていた。だが、その後は設計事務所が検討した内容で、地盤改良の設計プランが立てられていたため、図面を見るまで佐藤も状況を把握していなかった。

A社の意見は「もっと低コストでかつ安全な工法があるのではないか検討してほしい」というもの。地盤に関して知識豊富な佐藤へ依頼が寄せられたという経緯だった。佐藤は早速図面に、目を落とした。「調べてみないことにはハッキリしないけれど、確かにここまでのスペックは必要ないかもしれないな…」。

求められるのは、綿密なデータ検証と分析。 3
佐藤はまず、地盤調査のデータを見ながら建物の荷重や大きさの把握をした。その上で次に、設計事務所が作成した地盤改良のための設計済み計算書に目を移した。

「この地質なら他の杭でも十分代替がきくんじゃないだろうか」。
佐藤が注目した“杭”は、地盤改良に使われる建材の一つ。地盤が軟らかく安定しない場合、杭を地中にいくつか打ち付けることで強度を増すことができるのだ。

また杭にも色々な種類がある。設計事務所が選んでいたのは、高強度なタイプの杭だった。高強度な杭は安全さは確かかもしれないが、その分コストはかかってしまう。杭の選び方で建設費用は変わってくるため、本当にその強度や本数が必要か吟味する必要があった。

「この杭でなければ、何を選ぶのがベストなんだろう」。
調査データから地質を見て、佐藤は専門書を開き始めた。いくつもの分厚い書籍を紐解いては、建設地の地質に適用可能な杭の種類と長さを選び出すため、計算に入る。そして、国に定められている指針と照らし合わせながら検証を重ねていった。

導き出した結果とは。 4
「鋼管杭ならコストも抑えられるし、安全性も保てる。うん、やっぱりこれだ!」。

佐藤の計算一つが建物の安全性に関わるため、とにかく慎重に進めていった。そうして、一つの答えにたどり着いた。鋼管杭は鉛直・水平方向からの衝撃にも耐えられる強さを持っていることに加え、施工がしやすい材料。杭の本数も建物の荷重を考えた上で綿密に計算し、導きだした結論だった。結果的に、佐藤の出した見積では設計事務所のものと比べて大幅なコストダウンにも成功していることが分かった。

後日、佐藤は早速A社に報告。説明をすると、すぐに納得してもらうことができた。そして、佐藤の設計が採用されることになり、新店舗の出店計画は無事に進められることとなったのだった。

エピローグ
「入社して2年経ちましたけど、今でも質問を受けるたびに専門書を紐解いていますよ」と佐藤は語る。「想定外の質問をされることもありますが、その都度本を調べて勉強します」。それくらい、地盤設計の仕事は奥が深い。

「毎回調べて、徐々に知識が蓄積されていくこと自体、面白い。逆に言えば、常に新しいことを学んでいく知識欲がなければ、大変でしょうね」。

建物の安全を守る、とはいえ普段は目に付かない地中での話。目立つ仕事ではないが、この仕事なくして日本の安全な建設は成立しない。佐藤の目には、その誇り高い仕事の意義が確かに見出されている。
「正確な情報を提供することは当たり前。でもだからこそ専門性が問われるし、日々勉強して知識が身につくことは、面白い」。

〜仕事で活かした学生時代の経験〜
学生時代は家庭教師のアルバイトをしていた。学力のレベルも、タイプもさまざまな子どもを担当していたため、相手に合わせて教え方、ものの伝え方を選ぶようにしてきた。この経験を原点に、「お客様に合わせて分かりやすい技術提案をする」という佐藤の考え方が確立されている。
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