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最終更新日: 2008/03/10
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プロの仕事研究
クライアントのIT理解を促進し、開発仕様を取りまとめたシステム開発のプロ。
ソフトウェア系−システム開発(マイコン、ファームウェア、制御系)
IT部
金井 暁 (36歳) Akira Kanai
入社13年目 / 朝日コンピュータースクール OAシステム科 出身

プロフィール
ITの専門学校を経て、社員数300人程度のソフトウェア会社に入社。4年間勤めた後、1996年7月アンフォルムに転職。PC系機器のプログラミング技術に長けていたため、即戦力として入社後すぐ、多数のプロジェクトに携わる。現在はエンジニアの研修担当として、新入社員の教育にあたる。

プロローグ
中学生の頃からITに興味を持ち、コンピュータに親しみを持っていた金井暁。空き時間を見つけては、パソコンの前に座り、画面の先に無限に広がる世界を楽しんでいた。「もっと知りたい、もっと詳しくなりたい!」。ITに対する気持ちは、高ぶるばかり。しかし、「とにかく好き」という思いばかりが先行し、将来の職業として捉えることはできなかった。「ITに関わる仕事って、どんな感じなのかなぁ…」。そんな好奇心を抱き、高校に進学した金井が出会ったのが、汎用機を使用してのプログラミング体験。「仕事にしてみるのもいいな」。金井の人生は、決まった。卒業後、迷わずITの専門学校に進学した。

プログラマになった金井は、「このシステム、僕がつくったんだ」と言いたくてたまらなかった。「自分の仕事に誇りを持てる会社を探したい…」。4年勤めたソフトハウスから飛び込んだのが、アンフォルム。金井は、やわらかい口調で「当社に来てくれ」と言った社長の笑顔が忘れられなかった。「ここでならきっと、やっていける」。金井は希望に満ちていた。

日々、新しい経験を積み重ねることで得たチャンス。 1
前職でパソコンのMS−DOS上で動くシステムの開発を行っていた金井。ネットワークとの接続がないスタンドアローンで動くシステムをメインに開発していた。プロジェクトに携わるのは自分1人、多くても2人程度の少人数。多数のプログラマと一緒にプロジェクトを進行させていくような経験はなかった。自分のキャリアに不安を抱いていた金井だったが、入社後すぐの頃から様々なプロジェクトに関わり、経験を積むことで自信を積み重ねていった。ひとつの案件が終了すると、また次の案件へ移る。製薬会社の治験薬情報管理システムの開発から始まり、鉄道会社の人事管理システム、放送会社の支払システム開発、航空会社の路線収支システムの開発……。ネットワークやデバイスの使用、多数のエンジニアとのコミュニケーションなど、日々新しい経験をして知識を吸収する金井は、著しい成長を遂げていた。

そうして入社から5年が経ったある日、金井にチャンスが訪れる。それは、あるアパレル企業の生産管理システムの受託開発。「金井、生産管理システムはいつもとちょっと具合が違うが、おまえならできるはずだ。やってみるか?」。断る理由はなかった。「はい、やらせてください!」。

初めて立った、真っ白なスタートライン。 2
クライアントのアパレル企業は、製品の製造工場を持つ。そこで使用されている材料の生糸や、ボタンなどの付属品の在庫管理をするシステム開発が、このプロジェクトのミッションだった。このシステムは、製品がつくられる際に、どれだけの糸を使い、どれだけの付属品を使ったのか、そして原価はいくらになるのか、ということを計算するもの。在庫管理を徹底し、製品製造におけるコスト計算をする上で、重要な指標となるシステムだった。

金井は内心、不安だった。生産管理システムの開発に携わったことはあったが、基本仕様を決めるところからのスタートは初めて。「真っ白の状態から形づくることが、本当にできるのか…」。自分の可能性に賭けるしかない。しかも、クライアントがエンドユーザーとなる今回の案件。ユーザビリティを常に問われる環境におかれた金井は、大きなプレッシャーを感じながら、クライアントとの初めてのミーティングに臨んだ。先輩に相談をし、一生懸命つくり上げた資料を震える手で渡す。その資料に目を通したクライアントが発した言葉に、金井は拍子抜けした。

「デバイスって何ですか?」。

ITへの拒否反応が、仕様理解を阻む。 3
製造業一筋で事業を行ってきたクライアントにとっては、IT用語は希有な存在。金井たちにとっては日常的に飛び交う言葉も、簡単に理解することができなかった。金井は驚きと同時に、相手に配慮した表現の重要性に気付いた。言葉につまづいていたら、内容の理解など到底できない。それでは、ユーザーであるクライアントにとって有益な仕様のシステムを生むことはできないのだ。金井は、再び先輩の意見を仰ぎながら、分かりやすい表現をすることに注力していった。

会議の議事録を持参し、再びミーティングに臨む。内容を読み上げ、納得してもらえたら判をもらうのが正式な形だが、すんなり承諾はしてもらえない。「分からないです」。2回目も3回目も、いつも、そう言われ続けた。「分かりやすくしたつもりだったのに…これ以上、どうしたらいいんだ……」。金井は、「分からない」と言われるたびに修正に対応した。しかし、どう直せば分かりやすくなるのか、正直分からない。時間ばかりが過ぎゆく中で、仕様決定の期限も目前に迫る。「早く理解をしてもらわなければ、開発が間に合わない」。気持ちははやるが、現状は足踏み状態。金井は困惑していた。

解決の糸口は、第三者視点。 4
悩む金井に一筋の光を与えたのは、先輩やメンバーのさりげないフォロー。どんなに忙しいときでも、第三者視点で内容に目を通してもらい、意見をもらうことで金井に新たな気付きを与えたのだ。それらの意見を柔軟に取り入れ、試行錯誤することで、内容は非常に手の込んだつくりになっていった。専門用語がどうしても必要な場合は、必ず注釈を入れる。詳細な説明が必要な場合は、別途、解説資料も作成する。それは、本当に理解をしてもらうための、最大限の配慮。渾身の作をもって、金井は再びクライアントのもとへ訪れた。

「金井さん、判押しておきましたから」。軽い口調でかけられた言葉に、金井は耳を疑った。「え、OKってこと?……やった!」。クライアントのことを常に考え、工夫を凝らした金井の資料は、ついに受け入れられた。「これで、開発へスムーズに移行できる」。プロジェクトの達成を確信した金井は、すぐに次のステージへと目を向けていた。

エピローグ
仕様決定に大きく時間を割くことになったため、開発は急ピッチで進められた。それでも最初の納期に間に合わせることは難しく、金井は開発期間の延長を打診。メンバーの助力を得て、交渉後の納期には間に合わせることができた。リリースまで、2年近く携わることになったこのプロジェクトで得た知識やノウハウは、その後の仕事に大きな影響を及ぼし、金井を成長させた。

現在は、プログラミング未経験者の研修担当を務める金井。「人に教えるスキル磨きには、相手が理解しやすい表現を選んできたこれまでの経験が活きるんです」と言う。エンジニアを育てる原動力を培った金井は、新たな目標を目指して邁進する。
クライアントとの交渉力に自信がついた金井。今後は社内のリソースであるエンジニアの理解を深めるために全力を尽くす。

〜仕事で活かした学生時代の経験〜
専門学校時代、ホストコンピュータ上でテストをしているときに、プログラムを暴走させたことがあった。その影響で、クラスメイトのプログラムの実行速度が遅くなり、大きな迷惑をかけてしまった。このとき感じた、プログラム開発やテストの怖さは、プログラミングの際には確認を怠らない自分のスタイルの確立に通じている。
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