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サービス(レジャー・アミューズメント) / マスコミ(放送) / メーカー(機械・工作機械・ロボット)
最終更新日: 2007/10/01
(マークの説明) 正社員 理文不問
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プロの仕事研究
トラブルを乗り越え生放送を成功させた、テレビ番組特殊美術のプロ。
専門職系−マスコミ専門職
業務部
武野 友之 (32歳) Tomoyuki Takeno
入社10年目 / 湘南工科大学 工学部 機械工学科 出身

プロフィール
学生の頃よりテレビ・舞台の美術の仕事を志望し、新卒でテルミックに入社。テレビの番組収録で使用される電飾・機械装置の設営・操作に従事する。現在は電飾や特機の分野で現場チーフを務める番組も多く、後輩を指導しながら、より良い番組作りのためにスタジオで手腕を発揮する。

プロローグ
子供の頃からとにかくテレビが好きだった武野。高校在学時にはテレビの世界へ進もうと決意を固め、大学での勉強のかたわら、テーマパークでアルバイトとして照明の操作を担当するなど、裏方として知識を積み上げていった。テレビや映画の美術製作にかかわる企業に的を絞り、就職活動をする中でテルミックに出会った。

クリエイティブな業界は時間も不規則で厳しい、とは覚悟していた。本番に向けて、限られた時間のなかで徹夜をしてでもセットを完成させなければならない。しかし、自分の手で「一度限りの番組を最高のものに仕上げる」という喜びは、ほかに代えることのできないものになるはず。武野はそう信じ、日々努力と経験を重ねていった。

仕事の魅力にのめり込んだ。 1
入社して初めて任せられた仕事は、ドラマやバラエティー番組を宣伝する1時間番組。アナウンサーのバックで電飾を光らせるというものだが、配線から設営、そして、その電飾をどのようなイメージで点滅させるかまでを担当した。武野は早くもその魅力にとりつかれた。初めは先輩社員の指示をこなすこと、また独特な業界用語を覚えることなどで精一杯だったが、武野は念願だったテレビ業界で働けることに喜びを感じ、また持ち前の好奇心で自分から積極的に先輩に質問するなどして、日々仕事の進め方をどん欲に吸収していった。

業界用語で言う“てっぺんを回る”(午前0時を過ぎること)は当たり前。徹夜が続くこともしばしばで、正直「キツイ」と思うことも多々あった。それでも自分の手がけた機械装置や電飾が全国にO.A.されることを思うと、そんな苦労も疲れも吹き飛んでしまう。とにかく「やっていて楽しい」と純粋に思える日々だった。

有名クイズ番組の特殊美術を担当。 2
2年目になると、武野はあるクイズ番組を担当することとなった。その番組は1分間にどれだけ正解できるかを競うもの。電飾を多用し、洗練されたセットだ。正解が少ない回答者はイスがくるくる回るが、それを設営・操作するのも、司会者に対して、問題を出すきっかけを与えるのも武野の仕事。1秒でも狂えば番組が台無しになってしまう。極度の緊張感が武野を襲った。

無事収録が終われば、今度は丸1日以上をかけて作りあげたセットの撤収が待っている。それが終わるまで気の休まる暇はない。しかし、終始ハイテンションで番組を進行するタレントのプロ意識、またディレクター達も徹夜で番組制作に携わっているという連帯感が、武野にもひしひしと伝わってくる。タレントが笑顔で番組に出演するために、多くの人達が真剣にそれぞれの役割を果たしていること、そしてその一員となっていることに、武野は誇りを感じていた。

そうして経験を積み上げていった入社3年目の秋、武野は音楽番組の特機セクションの現場チーフに任命された。今度は後輩達を指導するだけでなく、ディレクターなどとも打ち合わせをし、立ち上げ段階から番組作りに参加。武野はよりいっそう気を引き締めて業務に励んだ。

有名音楽番組の特機セクションのチーフとして、多くのスタッフを動かしていく。 3
歌手が歌う曲のイメージに合わせて考えられた空間演出を可能にするために、自社工場への発注から準備、設営、本番、撤収と多くの人を使って、スケジュールを進行させていく。道具の仕上がりが遅かったり、急な変更があったりした場合にはその段取りを変更するのも武野の役目。生放送を無事成功させるためには、休みを返上したり、徹夜で作業をすることもよくある。失敗は許されない。武野はそんなプレッシャーに毎回さらされながらも、着実に実力を伸ばしていった。

そして、番組の1年を締めくくる集大成といえる、年末の音楽特番の時期がやってきた。武野は30人近いスタッフをまとめ上げ、何としてでも番組を成功に導かなければならない。中でも5m近い高さの上で歌手が歌うという演出では、そのために用意したリフトを事故なく組み上げ、動かすことが必要とされた。一つ間違えば大けがをする危険性があるだけに、武野は細心の注意を払って準備に奔走した。

トラブルを乗り越えて生放送を成功に導いた瞬間。 4
しかし、それでも予想外の出来事は起こってしまった。リハーサルでリフトが動かなくなってしまったのだ。本番直前でのトラブルに、会場に緊張が走る。「どうして動かないんだ!」。無線からはディレクターが大声で「早く直せ!」と叫んでいる。しかし、あわてた様子を見せては全体に影響してしまう。武野はスタッフを集めた。そして、冷静に原因を突き止めた上で指示を出し、最小限の時間で修理することに成功した。

本番で武野は複数の舞台装置を操作。歌のイメージと完璧にシンクロした素晴らしい演出に観客も大いに盛り上がり、生放送は完璧な形で終わった。番組収録が終わり、ディレクターが握手を求めてきた。「君達がいたから番組が成功した」。武野はがっちりとその手を握りしめた。全てのスタッフの努力が結実した証だった。素晴らしい高揚感が武野を包む。番組作りに携わるものとして最高の瞬間だった。

しかし、武野はその次の瞬間にはテルミックの現場チーフとして、素早く気持ちを切り替えた。すみやかに事故なくセットを撤収するところまでが美術スタッフの仕事だ。素早く的確に指示を出す武野。そこにはまさにプロフェッショナルの姿があった。

エピローグ
現在も多くのキー局の番組を担当している武野。スタジオにこもったり、徹夜が続くなど忙しいが、クリエイティブなこの仕事の面白さはそれを上回って余りあるものだと感じている。今後はより多くの大きな番組の特殊美術を担当し、視聴者に素晴らしい感動を提供したいと日夜研鑽を重ねる。

予定通りに進まないことの方が多く、厳しい仕事ではある。それだけに、真剣に仕事に向き合う後輩達には、自分が築いてきた技術や考え方をしっかりと教えていきたいと考えている。そのセットが番組で使われるのが一度限りだからこそ、その印象は人々の記憶に永遠に残るもの――武野はそう信じて、これからも最高の空間を演出するために全力を注いでいく。
体力的にもきつい仕事だが、それを上回って余りある魅力があると感じている。

〜仕事で活かした学生時代の経験〜
学生時代はテーマパークでアルバイトをし、裏方の世界の知識を少しでも深めようと努めた。また、工学部で学んだことで、電気や機械の基礎知識を一通り取得。それは今の仕事においても、メカトロニクスを扱う部分でたいへん役立っている。
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