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最終更新日: 2007/10/01
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プロの仕事研究
総勢2000人を率い、全国規模での一斉拡販をコントロールした営業企画のプロ。
営業・販売系−営業(法人・ルートセールスが中心)
人事部/採用グループ
滝崎 亮一 (31歳) Ryoichi takizaki
入社10年目 / 明治大学 理工学部 建築学科 出身

プロフィール
1999年入社。大学で学んだ建築の技能を活かせ、また人とコミュニケーションをとりながら働ける職種である営業企画を希望する。担当商品は内装収納関係、また担当エリアは営業拠点9ヵ所、スタッフ100人弱という首都圏を任される。商品の売上実績で数々の社内記録を打ち立て、2005年より人事部に異動となる。

プロローグ
「エリア担当者は全国の営業所にすぐ連絡を取るんだ」。
営業企画部に、滝崎の声が響いた。
「代理店、工務店も動かし、全国一斉拡販を始めるぞ」。

ミッションは、建築基準法の改正による需要の高まりが予想された『手すり』のシェア確保。滝崎が動かそうとしていたのは、全国に散らばる代理店、工務店の営業を含めた2000人もの営業部隊である。売上目標は、通常の単月の倍以上である5億円に設定された。
「滝崎がやるというなら、おれもやろう!」。
営業企画チームは、一丸となって全国の担当エリアへ通達した。北海道、東北、関東、中部、九州、そして滝崎自身が指揮を執る首都圏。全国を舞台に大きな波がうねりだした。

物語はいったん遡り、4年前の1999年。滝崎は、就職活動をする中で耳にした「ものをつくる前に、人をつくる」という松下幸之助の言葉に、強い共感を覚えた。小学校3年生から鍛錬を続けてきた、剣道の教えに通じるものがあったのだ。「この会社でなら、自分をもっと成長させることができるはず。ここで働くことしか考えられない」。若き日の滝崎、決意の瞬間はこのときだった。

一歩一歩着実に昇り始めた階段。 1
「営業企画をやらせてください」。入社直前になって滝崎が自ら申し出て配属を叶えたこの職種は、商品の売上に貢献するために企画を立て、プロモーションを展開することが任務。営業力、企画力、商品に関する知識はもちろん、市場をいち早く捉える力も欠かせない。140人いた同期の中でも配属は3人という、高い能力が求められる職種だ。配属される決め手となったのは、建築学科で学んでいた経験と、20年以上学び続けている剣道により養われた人間性だった。

内装収納商品の営業企画が、滝崎に与えられたステージだった。滝崎の才能はここで遺憾なく発揮された。カウンターの月売上を2倍にし、遮音シートを2ヵ月連続で1万本出荷した。これらはいずれも社内の新記録だった。エリア、そして商品という二つの軸をコントロールし、めまぐるしくも華々しい成果を挙げていく滝崎。そして3年後、部内でエースと目される人物のみが担当を許される首都圏エリアの担当に任命された。同時に、やはりエース級が任されるという手すりや階段といったシステム建材を担当商品として、一任されることとなった。「やっとここまで来たか」。滝崎は一つ、達成感を噛み締めた。

このチャンスを活かさない手はない! 2
滝崎が首都圏エリアとシステム建材を担当することになってすぐのこと。あるニュースが耳に届いた。「建築基準法が…改正される? 建築物の階段に手すりをつけなくてはいけない、か」。滝崎は考えた。「現在の手すりの売上は月に約1億8000万円。建築基準法の改正を機に、拡販に結びつけることができるはずだ」。即座に営業企画のメンバーを集め、打ち合わせの場を設けた。そこで滝崎が示したプランは、「手すりの全国一斉単月拡販をする」というもの。そして、こう付け加えた。「売上目標は5億円だ。仕掛けるのならすぐじゃなければ意味がない。今から1ヵ月で企画を完成させ、この目標数字を達成しよう」。決して無謀な要求ではなかった。滝崎の頭の中には、すでに明確なプロセスが浮かんでいた。「まず、各エリアの担当者は営業所に指示を。その先の代理店、工務店にまで一斉拡販のことを伝えるように。費用応援だってする、魅力的な企画を考えよう」。こうして、滝崎を中心としたプロジェクトが始動したのだ。

チームのメンバーが退室をする際、滝崎に声を掛けた。「お前のために頑張るよ」。滝崎は微笑み、力強く頷いた。

全国を舞台にしたプロモーションの幕が上がる。 3
すでに市場に出回っている商品の売上を急伸させるプロジェクト。手すりのプロモーションならば、新しい商品を開発し市場に投入することで、売上を伸ばすという手段もあった。しかし、滝崎は既存の商品にこだわった。その理由は一つ。早急にシェアを確保したかったのだ。

「首都圏は私の担当だ。すでに営業に行き渡らせた。北海道はどうだ? 九州は?」。いずれも順調だった。首都圏のプロモーションとして、滝崎はこの年できたばかりのテーマパークのチケットをセットにした。そういった企画はすべてエリアの特性で変えざるを得ず、スポーツ観戦チケットや旅行など、様々なアイディアが滝崎の元に届いた。「よし、それで行こう」。滝崎の判断は早かった。全国各地にある営業所に対し、営業企画部は大阪にある本社からその指示を行う。ここでも、スピードは問われていた。

暑くなり始めていた。「夏が来るな」。滝崎は激務の合間、部署の窓から空を見上げて呟いた。その背中には、今や全国の営業所、代理店、工務店に所属するスタッフおよそ2000人を動かしている男の自信が満ちていた。1ヵ月が過ぎ、全国一斉単月拡販が始まった。

ついに打ち立てた金字塔。 4
ついに幕開けた勝負の月。定期的にミーティングを開き、すべての進捗状況を把握した。予想通り売上は好調だった。しかし、半月が過ぎた頃だ。「やばい」と滝崎は思った。岐阜にある工場の生産規模を見逃していたのだ。「このまま発注数が伸びれば、生産が追いつかなくなる。そもそも手すりは1種類ではない。色は7タイプもあれば、ランクだってあるのだ」。滝崎はすかさず既存のデータをひっくり返すと、生産シミュレーションを開始。発注数の予測を立て、直接工場に出向いて生産の指示を出した。「申し訳ないが、フル稼働してほしい。ここが山場だ」。まさに、総力戦だった。

ミッション最終日が訪れた。営業企画チームは、パソコンの前に集まりデータが算出される瞬間を見守っていた。「いけ、いけ」と全員が繰り返した。「…き、来たぁ!」。最終日も午後になり、残り時間が迫ってきていたとき、ついに目標数値に到達したのだ。滝崎は、体中が熱くなっていることに気づいた。一方その頃、普段は交通量の少ない岐阜工場の周辺は、手すりを全国に送り出すトラックで渋滞となっていた。「トラックが動きません!」。嬉しい悲鳴だった。滝崎は、またしても社の記録を塗り替える仕事を成し遂げた。そしてその瞬間は、一人の人間がさらに大きく成長した瞬間でもあったのだった。

エピローグ
滝崎率いる営業企画のチームは翌年、創業式典で社長表彰を受けた。やり遂げた仕事は、社を挙げて讃えられるに相応しい成果であったのだ。

2005年。滝崎は人事部採用グループに異動となった。「営業企画の次は、きっと現場を知るために営業部に異動になるだろう」と考えていた。まさに意表をつかれた形だ。営業企画部から人事部への異動は松下電工において異例のこと。今も人材採用、募集告知など、かつて営業企画部で得た経験を存分に活かし、変わらぬ活躍を続ける。その根底には、滝崎のすべての源になる理念が変わらず強く輝いている。「人を、つくる。そうだ、自分自身の人としての成長を止めることはしない」。
人生のすべてを学ばせてくれた剣道は、今も実業団で続けている。どれだけ多忙であれ、剣道で得る教訓は欠かせないものなのだ。

〜仕事で活かした学生時代の経験〜
小学校3年生から剣道を始めて、すでに21年にもなる。現在5段。長年、“道場”という神聖な場で学んだことは、滝崎が仕事をする上で、また人として生きる上で大いに活かされている。常に成長と人間形成をテーマに掲げ、前進できる力はすべて“道場”の中で培ったものだという。
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