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最終更新日: 2007/10/01
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プロの仕事研究
ノウハウゼロから出発し、ビジネスを成功に導いた携帯コンテンツ運用のプロ。
ソフトウェア系−システムエンジニア(オープン、WEB系)
ソリューショングループ/サブリーダ
佐野 純也 (33歳) Junya Sano
入社8年目 / 東海大学 理学部 数学科 出身

プロフィール
2001年入社。ソリューショングループに配属となり、3年目まで大手メーカー向けのルータ開発に携わる。その後、携帯コンテンツプロバイダをユーザーとしたインターネットデータセンターへのサーバ移行作業を手がけ、現在はマリノ初の携帯コンテンツ運用業務を担う。2005年よりサブリーダに昇格。

プロローグ
「大学では数学を学び、数学教師を目指していた」。佐野は理路整然とした口調で語った。だが、教育実習期間に親が病に倒れ挫折。佐野は企業への就職活動を開始する。「数学を活かすならコンピュータ関係がいい」。そう判断し、教師から一転、システムエンジニア(SE)を目指した。マリノに出会ったのは大学主催の会社合同説明会の席である。人事担当者の真摯かつフレンドリーな対応に好感を抱いた。マリノ本社に足を運ぶことでさらに好感度は増した。人事担当者ばかりではなく、一般の社員からも温かい声をかけられた。「ここなら、自分の力を発揮できる」。そう考えて入社を決めた。

職場環境重視。業務内容について実は明確に把握してはいなかった。だが、はじめに担当したC言語プログラミングによるルータ開発は面白かった。理論が先行する世界は佐野の性格に合っていた。しかし、転機が訪れる。マリノがこれまで手がけたことのない携帯コンテンツ運用業務を任されたのだ。社内にもむろん佐野にもノウハウがない中での船出。佐野はそこで何を学ぶことになるのか…。

携帯コンテンツ運用という初の仕事。 1
入社4年目の春、佐野は手がけていたプロジェクトを終え、ひと息ついていた。ある携帯コンテンツプロバイダのデータセンター移行作業。佐野が所属するソリューショングループ総出で取り組んだ長期プロジェクトだった。一般にコンテンツプロバイダはコンピュータサーバを大規模なデータセンターからリース、つまり借りている。リース契約の終了時には継続か、あるいはより高いパフォーマンスを求めて他のデータセンターと新しくリース契約を結ぶ。佐野が手がけたのは後者のケースだ。ただし、“移行”といっても単にサーバのデータを移し変えるだけではない。サーバのシステム環境が変わればそれに対応したプログラム開発も必要になる。プロジェクトは最終的に8ヵ月間を要した。達成感と開放感に佐野を含めソリューショングループの全員が浸っていた。

しかし、終わったわけではなかった。移行作業が成功裡に進行したことで、その携帯コンテンツプロバイダはソリューショングループに携帯コンテンツの運用そのものを委託してきたのだ。携帯コンテンツの運用はマリノとしてもこれまで例がない。むろん佐野にとっても初めての仕事だ。期待と不安が交錯した。

目の前の作業をこなすだけで精一杯。 2
初めての仕事だけに社内にノウハウがない。不安要因はそのことに尽きていた。携帯コンテンツプロバイダから運用を委託されたのは、フィッシングや雑誌情報のほか、携帯待ち受け画面などを提供するコンテンツが集まった情報サイトである。うまくいけばマリノの今後の事業拡大に結びつく。しかし、「最初の時点でつまずけば、業務委託の話は吹っ飛ぶ」。佐野にはそうした危惧があった。

大まかに分けて5つあるコンテンツはそれぞれが定常的に情報を更新する。また、利用者への無料画像提供など、キャンペーンにも随時対応しなければならない。更新素材はプロバイダから送られてくるが、更新のタイミングやプログラム仕様などはプロバイダ担当者との連携が不可欠だ。課題は山積していた。運用業務にアテンドされたのは佐野を含めて5名。円滑な運用を実現する体制づくりが急務とはいえ、業務は走りはじめている。当初は1つのコンテンツにつき一人が張りつき、目の前の更新作業をこなしていく他なかった。

「ミスの重大さを一人で受け止めろ」。 3
当初の2ヵ月間はそれでも順調だった。プロバイダの担当者が多忙ゆえになかなかつかまらず、更新直前になって仕様が固まるなど、紙一重の状況が頻発したもののトラブルには至らなかった。しかし、「運用を任せても問題なし」とプロバイダに信頼されれば、当然、依託されるサイト数の増加につながる。だが、佐野らにそれだけの業務量をこなす余裕はない。いつかパンクするという不安が常につきまとっていた。

不安が現実になったのは、3ヵ月目に入って間もなくのことだった。それは佐野の担当していた待ち受け画像提供サイトで生じた。プロバイダ担当者との連絡の不手際も重なり、佐野は間違った仕様のまま情報を更新してしまった。結果、一時的にではあるがサイトがダウンした。ノウハウの不足、知見の不足が露呈した。復旧が早かったため深刻な問題にはならなかったが、佐野は大きなショックを受けた。さらに追い討ちをかけたのが、上司の次の言葉だった。「今回はあえて叱らない。お前が成長するにはミスの重大さを一人で受け止める必要があるからだ」。これまで佐野は“叱られ”ながら仕事を覚えてきた。それは反面、上司や先輩のバックアップがあるという安心感につながっていた。だが、今回は、「あえて叱らない」と宣言された。突き放された気がした。

一人で問題に立ち向かう“力”を養成した。 4
しかし、佐野は考え直した。たしかに、あの局面では、叱られたほうが楽だった。だがそれでは、一人で問題に立ち向かっていく力が養われない。佐野は上司の宣言から、「これからは一人で考えていかなくてはならない立場になる」というメッセージをくみとっていた。そのときから佐野は変わった。

佐野のミスもあり、グループ内で緊急の会議が開かれた。テーマはトラブルを未然に防止する円滑な運用を実現するための体制づくりだった。佐野は業務を通じて抱いていた危機感をもとに、率先して意見を述べた。結果、さまざまなプランが実行に移されることになった。プロバイダの担当者と週に一度、定例ミーティングの席を持つこと。誰もが業務に入れるよう運用の手順をドキュメントに残し、極力マニュアル化すること。メーリングリストを介して担当者それぞれの情報を共有することなどである。これらにより一人が1つのコンテンツに“張りつく”のではなく、場合によっては一人が2つのコンテンツを担当し、もう一人はプロバイダ担当者との打合せに専念するといった臨機応変な対応が可能となった。佐野が運用実務を指揮するサブリーダに昇格したのは翌年のことである。彼は仕事を通じて、一人で考えていける力を身につけたのだ。

エピローグ
携帯コンテンツ運用業務はその後、順調に軌道に乗った。現在ではスタート時の3倍の15名にメンバーも増え、運用を担当するコンテンツ数も今や約40。人員は3倍、コンテンツ数は約8倍。本来であれば人員も8倍にしなければ間に合わないが、3倍の人員で問題なく業務は進行している。佐野らの『体制づくり』が成功した証である。

課題はさらなる後進の指導とモチベーションの維持だ。システムトラブルに対応する運用業務においてトライ&エラーは許されない。だからこそ、「後進の教育指導に心血を注ぐ必要がある」と佐野は語る。その言葉にはプロフェッショナルとしてのプライドが通っている。
今や誰にも身近な携帯コンテンツサービス。それを支えているという自負が佐野にはある。

〜仕事で活かした学生時代の経験〜
大学時代、家庭教師や運送会社、パチンコホール、居酒屋など、さまざまな職種のアルバイトを経験し、多種多様な人々と会話することで無意識のうちにコミュニケーション力が磨かれた。現在の業務においてコミュニケーション力は欠かせない。アルバイト経験は確実に仕事の中に活きていると感じる。
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