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最終更新日: 2008/04/21
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プロの仕事研究
経営改善を繰り返し、社員に“働きやすさ”をもたらした企業経営のプロ。
営業・販売系−店長
ASA鶴が台 ASA赤羽根/店長
齋藤 龍弥 (39歳) Tatsuya Saito
入社9年目 / 成城大学 法学部 法律学科 出身

プロフィール
大学卒業後、コンサルティング会社に就職。その後、飲食店でアルバイトをしながら整体の学校を修了し、整体師となる。2000年、朝日新聞経営研究センター入社。配達スタッフやブロック長サポート、ブロック長、主任を経て現在は鶴が台と赤羽根、2店をまとめる店長として活躍している。

プロローグ
大学卒業後、コンサルティング会社や飲食店でのアルバイト、整体師など、さまざまな仕事を転々としていた齋藤。2000年7月。「人と接する仕事がしたい」と出会ったのが、朝日新聞経営研究センターだった。面接で社長と話した齋藤は、そのキャラクターに驚いた。自分の意見を強く主張するのではなく、物腰は非常に柔らか。今まで出会ってきた、どの経営者とも似ていない。フラットな視点を持ち、どんな意見も受け入れてくれそうなその雰囲気に、齋藤は興味を持つ。そして一緒に働きたいと強く思うようになる。「仕事は大変だ。でも、僕は、キミに来てもらいたいんだ」。…社長からその言葉が出た瞬間、入社の意思を固めていた。

入社後、寒川店に配属された齋藤を、あわただしい日々が待っていた。業務内容は、新聞配達、集金、営業。深夜から朝方に朝刊を配り、休憩し、夕方になると夕刊を配る。空いた時間は集金や営業にまわる。一人に任せられているエリアには500件のお客さま。本当に忙しく、疲れてやめてしまう仲間も多かった。「何とかならないものか」と、齋藤はもどかしさを感じていた。
…このときはまだ、自分が起こす変革のことなど知る由もなかった。

入社1年目、変革の兆し。 1
朝日新聞経営研究センターは、ただの新聞販売店ではない。朝日新聞本体と連携し、販売店の経営者となる人材を育成・輩出する役割を果たす。だから現場は、常にあわただしい。ただでさえ体力を使う仕事なのに、次期経営者となるスタッフが巣立つたびに大量のお客さまデータを引き継がなくてはならないのだ。アナログな方法を使った場合、引継ぎには数ヶ月もかかってしまう。経営者になる以前の段階で疲れ果て、会社をやめてしまうスタッフも多かった。次の仕事も決まらないまま去っていく仲間たちを、齋藤は見送ってきた。心の中では「この状況をどうにかしたい…」と悔しい想いを抱きながら。

入社1年目のある日のこと。スタッフの一員だった齋藤に、この環境を変えるチャンスがめぐってきた。これまで店長クラスしか参加できなかった品質向上会議に、一般社員も参加させてもらえるというのである。品質向上会議とは、朝日新聞経営研究センターの経営改革の取り組みの一環。社長の「業界の枠に収まりたくない」という想いのもと、外部から経営コンサルタントを招き、抜本的な改善プロジェクトを走らせている。「もしかしたら、会社を変えられるチャンスかもしれない。そして何より、社長と一緒に仕事ができるチャンスだ」。齋藤は真っ先に手を挙げていた。

変革1、労働環境の整備。 2
経営改革は、評価と改善の繰り返しで実現される。会社全体を「リーダーシップ、人材、社会貢献」など8つの軸で評価。改善点を洗い出し、改善案を考え、実行する。まず出てきた改善点は、労働環境。独立などにより欠員が出るたびに業務が多忙を極め、結果的に残ったスタッフも疲れてしまう。「新聞配達は、経験と勘と根性がなければできない仕事」…業界にこびりついたそんな風土を変えない限り、人は定着しない。

まず、情報システム「アサシス」を運用することにした。アサシスとは、顧客の在宅時間や購読時期などの顧客データを一括管理できるもの。システム自体は以前から存在したが、実際に現場で運用されていなかった。そこで齋藤が率先して「どうすれば運用できるか」を考え、システムを整備。簡単に引継ぎができるようにした。

「これがあれば、きっと、人が欠けても効率的に仕事ができるはず」、齋藤は膨大な量のデータを整理していった。もちろん、配達など日々の仕事と並行しながら、だ。ときには徹夜もした。すべてが完成するまで、3年もかかった。そのころには労働環境が改善され、以前より仕事がしやすくなった。短絡的な理由で会社を去る社員も、心なしか減っていた。

変革2、仕事を楽しめる環境づくり。 3
次の課題は、社員満足だった。いくら業務の効率化が図れたとしても、普段の業務が多すぎると「お客さまに喜ばれる仕事をする」余裕が生まれない。喜んでもらえなければ、やり甲斐は半減してしまう。

「一人ひとりが心から仕事を“楽しい”と思えるにはどうしたらいいだろう?」
考えた結果、それまで全面的に一人で配達、集金、営業を手がける体制だったのを、一部、分業制も取り入れる“部分分業制”にした。誰に何を重点的に任せるかは、個人の長所を重視して決める方針にする。分業化により、単に新聞を配達するだけではなく、地域の様子にも目が行き届く。営業数字だけでなく、お客さまとの関係性を築こうとする。社員たちは、仕事のやり甲斐を多く感じられるようになった。また、他にもメリットがあった。これまで隠れていた一人ひとりの個性が見えてきたのだ。実はイラストが得意な人がいたり。情報処理に詳しい人がいたり。個性に合わせて仕事を任せてみると、長所がぐんぐん伸びていき、スタッフたちの表情も明るくなった。齋藤の方針が功を奏したのだ。

変革3、顧客満足の追求。 4
「次は、顧客満足度をさらに高めなければ。目指すは、“飲食店並みのサービスができる販売店”だ」。
手がけることにしたのは、「声の拾い上げ」と「評価軸の設定」。お客さまアンケートなどの実施により、社員やサービスへの率直な意見を拾い、意見を経営に活かし、褒めていただいた部分は社員の評価要素にも加える。評価された社員は、もっと頑張ろうと思える。そうすれば、お客さまからの企業評価もさらに高くなる。理想的なスパイラルだ。

アンケートを定期的に実施することにし、返ってきたアンケートのコメント一つひとつに、目を通す。たとえば、玄関先に置いていた古新聞を配達スタッフが処分してくれていた、という喜びの声だったり。元気のよい挨拶へのお礼だったり。読んでいるうちに、熱い気持ちがこみあげてくる。後輩が褒められることが、自分が褒められるよりもうれしいと、齋藤は知った。

お客さまの声は、そのまま評価に反映。一方的に会社側から評価を押し付けるのではなく、客観的な意見や本人の声も拾えるようにした。これにより、スタッフたちはさらに顧客満足への意識を高め、お客さまからの喜びの声は増える。少しずつではあったが、会社は、確実に姿を変えていた。

エピローグ
入社して8年、変革に加わってから7年以上。変革の結果、個性を受け入れられる企業になった朝日新聞経営研究センターには、さまざまなメンバーがいる。たとえば、遠くに引っ越すことになったメンバーは営業専任として朝から夕方までの勤務に切り替えた。また、マネジメントをしていたメンバーは「現場が好きだから」とあえて降格を希望し、会社もそれを許可。みんなが、自分らしく楽しく働ける場。それが現在の朝日新聞経営研究センターだ。

かつてスタッフの一人だった齋藤は2店舗をまとめる店長になった。今後の目標は、社内システムをさらに効率的にして、会社を変えていける人材を育てること。今日も齋藤の挑戦はつづいている。
仲間たちとの何気ない会話から、経営改善のヒントが生まれることもある。(写真左が齋藤)

〜仕事で活かした学生時代の経験〜
学生時代は、学生に下宿やアルバイト先などを斡旋するクラブの部長を務めた。学生時代から100名もの仲間たちをまとめた経験は、現在、店長としてリーダーシップを発揮しながら“適材適所”を考えたり理想的な組織づくりをしたりする上で、大いに役立っている。
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