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最終更新日: 2008/01/31
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プロの仕事研究
本社の施策とは異なる、新たなマネジメント方法で目標を達成した店舗運営のプロ。
営業・販売系−店長
第一営業本部 営業開発部/首都圏エリアマネージャー
大谷 明弘 (39歳) Akihiro Otani
入社16年目 / 専修大学 法学部 法律学科 出身

プロフィール
大学時代、ゴルフサークルに所属していたことからゴルフ関係の仕事を希望。プロになった周囲の人たちが本間ゴルフの製品を使用していたこと、人事社員の対応が良かったことから同社に惹かれ、入社。6年間、販売に従事し、その後は副店長、店長を経験。現在は首都圏エリアマネージャーとして、6店舗の運営を統括している。

プロローグ
「『用賀店はやりません』と、本社で啖呵を切っちゃいました。もうあとには引けません。みなさん、よろしくお願いします」。用賀店店長である大谷の言葉にクラブアドバイザーたちは、全員うなずいた。

大谷が用賀店に異動してきたのは9年目のこと。その時は副店長としての赴任だった。入社以来、5店舗でクラブアドバイザーとして接客業務、そして2店舗で店長として店舗運営などを経験。店長経験がありながらも、副店長の役割を担うのには理由があった。一つは、用賀店の立地条件。高級住宅街から近いことで、顧客単価は全店舗の中でもトップ。社内でも一目を置かれる店舗での勤務は、自分をさらに成長させるステージとして相応しいと感じた。もう一つは、クラブアドバイザー時代に出会った店長が用賀店の運営を行なっていること。100人のお客様がいれば、技術レベル、好みの商品、性格も100通りで、その店長は、それぞれのお客様に合わせた接客を行なっていた。店舗運営、クラブアドバイザーのマネジメントと並行しながらも、お客様からの支持も高い店長は大谷の目指すべき存在。その店長のもとで再び働きたいという思いも理由の一つだった。

店長に惚れ込んだ常連のお客様たち。 1
本間ゴルフのクラブアドバイザー業務は、製品の販売業務に止まらず、お客様が持つ悩みをヒアリングし、最も適した商品やアドバイスを提供すること。だからこそ専門知識や、コミュニケーション能力は不可欠。それは店長、副店長にも当然求められるスキル。もちろん大谷も長年の接客経験から自信はある。しかし用賀店のお客様は、想像以上に店長に惚れ込んでいた。

「あいにく店長は不在でして、私がご対応させていただきますが」 「そうですか…。また来ます」。副店長に就いてから店長の不在時に備え、常連客に日頃から挨拶をしていた。しかし代わりにアドバイスを行なおうとしても、お客様はそのまま店を後にしてしまう。そんな状況下でも大谷は「時間が経てば、解決するだろう」と大きく構えていた。そして異動から約1年が経過するころ、大谷に転機が訪れる。

店長を引き継ぐが、お客様からは落胆の声が…。 2
「店長を任せたいのだけど」。閉店後、事務所で店長から告げられた。店長の海外赴任が決まり、後任に店長経験のある大谷が最適とのことだった。以前から噂は耳にしていたが、正式に打診されると自然と体が緊張する。用賀店の売上は、この店長に支えられていることは承知している。しかし1年間、常連客を紹介してもらい、何回かアドバイスを行なった経験もあることから大きな不安はない。「分かりました」。大谷は大きく頷き、店長職、そして常連客を引き継ぐことを快諾した。

「異動したんですか?」。大谷が店長として勤務し始めて、多く聞くのは常連客の落胆した声。引継ぎ業務で、常連客が抱く悩みや癖などは把握している。しかし大谷が対応しようとすると「他の人を頼む」と、異動から1年しか経っていない大谷より、以前から勤めているクラブアドバイザーを要望されることが多かった。売上が落ち込むことを懸念し、大谷は改善策を模索し始める。

本社の施策を取り入れず、自分の考えを突き通す。 3
「大谷、どういうことだ?」。前任の店長が抜けたことにより、売上は2割も減少。月1回、本社で行なわれる店長会議で理由を問われた。「しばらくお待ちください。必ず売上はもとに戻します」。売上を回復させる方法を考えた末、大谷は一つの案を思い付き、実行し始めていた。

用賀店には、大谷より年上のクラブアドバイザーが多く、他の店舗と比較しても長いキャリアを持っている。そこで前任の店長のように大谷が自ら接客をするのではなく、常連客をクラブアドバイザーに引継ぐことを決めた。クラブアドバイザーと常連客の年齢、性格などを考慮したうえで、各担当を決定し、接客をしていた。また大谷も、本間ゴルフ契約のプロゴルファーを訪れ、新製品をアピールし、その周囲のゴルファーへの営業活動も行なう。それは、これまでとは全く異なる店舗運営方法だったが、ほんのわずかながらも売上は回復の兆しを見せていった。

そんな矢先、店長会議で売上が落ち込んでいる店舗に対して、本社からある施策が出された。内容は、クラブアドバイザーを接客以外の業務にあたらせ、減少した売上を補填するというもの。それを聞き、大谷は異議を唱えた。「待ってください。用賀店は他の店舗に比べ、時間をかけて商品を吟味するお客様がいらっしゃいます。だからクラブアドバイザーは減らせません」。売上が大きく冷え込んでいる大谷の思わぬ発言に、会議に出席していた他の店長や上司の視線が集まる。それは大谷にとって、冷ややかに感じられるものだったが、常連客とクラブアドバイザーが信頼関係を構築している最中に、店舗運営方法は変えたくなかった。

徐々に伸びる売上。そして3年後には、記録を塗り替える。 4
「『用賀店はやりません』と、本社で啖呵を切っちゃいました。もうあとには引けません。みなさん、よろしくお願いします」。大谷はクラブアドバイザーたちに店長会議の内容を伝えた。その言葉に全員が頷いてくれた。このメンバーなら、前任の店長が出していた売上を超えられるという自信が湧いてくる。

そして1年後、目標売上に近づいたが届かなかった。もちろん店長会議では、施策を取り入れるように促され続けている。しかし必ず達成するという言葉で、譲らなかった。2年後、確実に伸びている用賀店の売上に、本社の上司たちも何も言わなくなってきたが、やはり目標は達成できず。

そして3年目の年度末。「ありがとうございます!みなさんのおかげで、達成しました」。閉店後、クラブアドバイザーたちを集めて、年間の売上を大きな紙に書き出し、発表した。ついに念願の目標額を達成。しかもその数字は、前任の店長が出したものを上回っている。クラブアドバイザーとお客様の相性を考え、焦らずに結果を待ったおかげで、売上記録の更新に成功した。大谷も、クラブアドバイザーたちも地道に続けてきた努力が、結実したことに喜びを噛み締める。お客様がいなくなった用賀店では、その日、割れんばかりの拍手が鳴り響いた。

エピローグ
本間ゴルフの製品は全てが手作り。だから店舗を訪れるお客様もこだわりを持った人が多い。特に用賀店は、そのようなお客様が訪れる代表格であり、相談に乗るクラブアドバイザーの存在は欠かせない。大谷が考えた店舗運営方法は、本間ゴルフの製品を愛するお客様のことを考えてのものであり、その思いが大きな結果をもたらした。

用賀店で大きな目標を達成した大谷は、その年に6店舗の運営管理を行なう首都圏エリアマネージャーに抜擢された。入社以来培ってきた接客方法や、店舗運営のノウハウを活かしながら、現在も本間ゴルフの製品を多くの人に届けている。
連日、各店舗を訪れる大谷は、店長と売上や販売方法の確認と併せて、最前線で働くクラブアドバイザーとの会話を大切にしている。

〜仕事で活かした学生時代の経験〜
工場での生産ライン管理や年賀状配達、キャディ、墓地清掃、教材販売など、多種多様なアルバイトを行なってきた学生時代。その中で培ってきたコミュニケーション能力は、多くのクラブアドバイザー、お客様と接する機会が多い、現在の仕事に活かされている。
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