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サービス(レストラン・フードビジネス)
最終更新日: 2008/04/14
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プロの仕事研究
“ホスピタリティ”がテーマの店舗で新規事業を成功させた事業開発のプロ。
営業・販売系−店舗開発
事業開発部 クイズノス事業グループ/マネージャー
篠原 敬徳 (34歳) Yoshinori Shinohara
入社10年目 / 千葉商科大学 商経学部 経済学科 出身

プロフィール
ドミノ・ピザでのアルバイトを経験し、メンバー全員で目標に向かって取り組む姿勢に惹かれる。マネジメントする側として「良い店舗をつくりたい」「自分の力を試してみたい」という想いから入社を決意。ドミノ・ピザの店長を2店舗務めた後、事業開発部へ異動。『クイズノス・サブ』1号店である銀座店の立ち上げに携わる。

プロローグ
篠原がドミノ・ピザで一番学んだことは“店長がその店の基準になる”ということだった。発言や行動その一つひとつが従業員たちの手本となり、モラルとなる。ドミノ・ピザは声で伝達する仕事が多く、そのトーンや大きさだけでも時には店全体のモチベーションに繋がることもある。忙しくても、疲れていても周囲を鼓舞し、笑顔で楽しく全力で仕事ができる環境づくりをすること。それが店長の仕事であり、篠原が店舗づくりにおいて何より気をつけていたことだった。

ドミノ・ピザで現場を経験した篠原が、新しいキャリアステップを踏むことになったのは2005年4月。新規事業であるサンドイッチチェーン『クイズノス・サブ』日本1号店の店長として、立ち上げのメンバーに指名されたのだ。篠原は正直なところ悩んでいた。ドミノ・ピザでの仕事が好きで、もっと店舗づくりを追求したい気持ちは強い。しかしこんなチャンスが滅多にないことも分かっていた。「今、自分の成長に必要なのはどちらだろうか」と真剣に考え、篠原は新しいフィールドへ飛び出すことを決意したのだった。

本国アメリカへ1ヶ月間の研修に旅立つ。 1
新規事業へ参加を決めた篠原はある決心をした。それは、「この事業がもし失敗したとしてもドミノ・ピザには戻らない」ということ。

2005年8月の1週目までドミノ・ピザに在籍し、2週目からは本部の事業開発部に異動。そして3週目には研修のため、クイズノス・サブ本社があるアメリカにいた。周囲の状況が急変し、不安も大きかったが焦らず目の前のことに集中して取り組んでいった。まず約3週間、通訳を介してレシピを全て覚え、実際の店舗でスタッフとして働いた。注文を受けてからパンをトーストして具材を挟んでいく工程や、店舗の営業手法を学んでいく。そして残り1週間は経営理論などの座学に費やし、約1ヶ月間徹底的にクイズノス・サブのノウハウを蓄積させていった。

この研修の中で篠原が注目したのは、気さくにお客様と話をする従業員の姿だった。日本のファーストフードの店ではなかなか見られない、友人を家に招いたようなフランクな対応。お客様との距離が近いサービスに憧れを抱くと共に、それは篠原がつくりたいと思っている店舗の姿だった。

“ホスピタリティ”――日本店独自のブランドイメージを提案する。 2
研修を終え、9月半ばに帰国した篠原を待っていたのは怒涛の毎日。グランドオープンのためにやるべきことは山のようにあった。

世界で5000店舗を展開するクイズノス・サブの日本1号店であり、会社としても初の『イートイン形式店舗』への挑戦。篠原は今後の展開を考え、最初にブランドイメージの確立を行なった。元々、レストランよりも手軽で早い『ファーストカジュアル』、より健康的で質の高い味を目指す『ワンランク上のファーストフード』といったコンセプトがあった。篠原はそこに日本独自のブランドイメージを加えようと考えていたのだ。

他社の戦略やコンセプトを研究しながら、結果的に篠原が提案したのは“ホスピタリティ”だった。ヒントはアメリカ研修での店舗経験。ただ接客をしたり、サンドイッチをつくる“作業”を行なうのではない。商品がお客様の口に運ばれるものだということ常に認識する。毎朝、肉や野菜を一枚ずつ丁寧にスライスし、お客様の要望に柔軟に応えながら、心を込めてサンドイッチをつくる。決められた枠を超えたサービスが提供できる店舗にしたいと篠原は考えていた。

最も注力すべきアルバイトの研修が、他の業務と並行することに。 3
アメリカ本社のマニュアルやメニューが基本だが、様々な飲食店のサンドイッチを食べ、日本人が好む味や材料を研究し、独自のレシピを開発。出店場所を決めるためファーストフード各社の1号店が軒を連ねる東京・銀座を中心に、新宿、渋谷と多くの不動産会社を訪れ、自分の足で実際に物件を見て回った。

場所は銀座に決まり、2006年5月に店舗の工事が着工。9月半ばのグランドオープンに向けて始まる従業員の研修に合わせて、6月頃からアルバイトの募集を始めた。篠原が約100名近い応募者一人ひとりをじっくりと面接していく。ホスピタリティに溢れた店舗をつくるには、お客様とのコミュニケーションが第一。日常会話をするように面接を進めながらも、問いかけに対するレスポンスの速さ、言葉の言い回し、仕草、表情を読み取り、その人の中身を知るように心がけ、25人を採用した。食品を発注し、食器などのアイテムを選んでロゴを入れる場所を指示する、といった細かな仕事も疎かにせず、篠原が責任を持って担当した。

本当に全てがゼロからのスタート。予定通りに進まないことも多く、実際に一番力を入れたいと考えていたアルバイトの研修は、忙しさのあまり他の業務と並行することになってしまった。やりたいことが思うように上手くできない。「これでいいのだろうか」と準備を進めながら不安と苛立ちが募る毎日だった。

忙しさの中で忘れていた、大切なこと。 4
「店長、あと少しです。いつものように笑顔でがんばりましょう!」。

悶々としていた篠原をハッとさせたのは、同じドミノ・ピザの店舗で働いたことがある副店長の言葉だった。そのとき初めて、自分の態度が圧迫感を生み出し、アルバイトたちを不安にさせていることに気がついた。『笑顔で仕事をする』という基本を忘れてしまっていたのだ。“ホスピタリティ”溢れる店舗は、アルバイトたちにとっても笑顔で楽しく仕事ができる場所でなければならない。

篠原はすぐに自分の目指す店舗づくりをきちんと伝え、アルバイトたちと接する時間を多く持つようにした。毎日の店舗運営で大切なことは横のチームワーク。全員が同じようにサンドイッチづくりにこだわりと楽しさを見出せるよう、篠原自ら場を盛り上げながら進めていく。やるときはやる。騒ぐときは騒ぐ。メリハリをつけることで飽きさせないよう研修を行なっていった。

篠原のやるべきことは変わらず多かったが、周囲の協力を得ながら着々と準備は進んでいった。そして2006年9月。採用したアルバイト25名は一人も欠けることなく、無事クイズノス・サブ1号店はグランドオープンを迎えることができたのだった。

エピローグ
クイズノス・サブ立ち上げ以降は、本部スタッフとしてマネジメントや人材育成などに携わっている篠原。現場と本部。両方の立場が分かっているからこそ、一歩引いた目線で物事を捉え、事業を円滑に進めるための重要な橋渡しができるようになった。この視点を活かし、これからクイズノス・サブをより活性化させていくことはもちろん、別の新規事業があればどんどん挑戦していきたいと考えている。

そのためには、外食業界に関する知識をもっと増やしていくことが必要だ。他社の商品や戦略を分析し、流行を先導するような新しい事業を生み出していく。その前向きな姿勢が良い店舗をつくり、会社を変え、自らを成長させる原動力となっている。
「誰か」ではなく「自分がやる」という意識が大切。どう動くかを常に考え、周囲を巻き込みながら協力体制を構築していく。

〜仕事で活かした学生時代の経験〜
旅行会社の添乗員のアルバイトを経験。3〜4泊という短期間の旅行がほとんどだったが、どうしたら旅行という一大イベントでお客様に良い思い出をつくっていただけるかを考え、積極的にコミュニケーションを取るように心がけた。この経験が、多くのお客様と接する機会の多い現在の仕事に役立っている。
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