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金融(銀行・信託銀行)
最終更新日: 2007/10/01
(マークの説明) 正社員 理文不問 No.1
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プロの仕事研究
経営者と共に企業の将来を見つめることで、大型融資を勝ち取った法人営業のプロ。
営業・販売系−営業(法人・新規開拓が中心)
新宿西口法人営業第二部/部長代理
川路 毅 (37歳) Takeshi Kawaji
入社15年目 / 法学部 出身

プロフィール
先輩社員を見て、「こんな人になりたい」と思ったことが入社を決めるきっかけに。公私にわたり、バイタリティを感じる雰囲気に惹かれた。1994年4月入社。窓口、融資、営業を務め、その後本部へ異動。5年間事務効率化等の企画業務に携わり、2002年7月、念願の法人営業部に着任。現在、営業の第一線で活躍中。

プロローグ
「この状況をどうにかしなければ…。かじりついてでも、営業を続けたい」。
2002年7月。5年振りに営業現場に着任した川路毅は、大きな壁にぶち当たっていた。

法人営業の仕事に、入社前から憧れていた川路。三鷹支店に配属されて以来、法人営業部員として活躍する自分の姿を想像しては、「いつかは…」と機が熟するのを待ち続けた。念願叶って一度は営業職に就くが、3年で本部への異動が決まる。その後5年間、営業の第一線から退いていた。「どうしても法人営業がやりたい」。その想いを訴え続けた入社8年目の夏、チャンスは訪れた。

だが戻ってみると、営業現場は大きく変化を遂げていた。個人、法人の境目なく行なっていた営業は、支店・法人営業部に組織が分かれて専門特化するようになっていた。それに伴う新たな業務も増えている。「分かってはいたけど、今のままでは…」。ゼロからの出発は、“成果を出すこと”が求められる中堅の川路にとって、厳しいものだった。川路は年度末の3月を迎えても、融資先を見つけられずにいた。もう、時間はない。「今年度は諦めるしかないのか…」。何もできない、悔しさだけが込み上げる。

そこへ、一本の電話が入った―――。

社長は、安易な提案には応じない。 1
電話の主は、着任当初から付き合いのある大手サービス業社長。前任者からの引継ぎで、担当することになったお客さまだ。業績好調の優良企業。事業拡大のため、新店を出す計画をしていた。融資をしたいのは他行も同じ。「難易度は高そうだ…。でもこの企業なら、数十億円規模の融資も可能なはず。なんとか社長に認めていただける提案をしなければ」。引継ぎの挨拶を済ませると、川路は笑顔で話し始めた。「社長にお薦めの提案がございます。ご覧ください」。提案内容に目を通した社長は、すぐに顔を上げた。「…川路さん、これは興味ないなぁ」。

融資が決まる気配のないまま、3月を迎えた。 2
社長は、安易な提案には応じない。川路はその日は引き返し、2週間後、再び訪れた。「最近いかがですか? まだ2週間しか経ちませんけどね」。こうして2週間に1度、川路は社長のもとを訪問し始めた。60分のミーティングの内、50分は事業の話。残り10分が商談。たった10分の提案では、もちろん納得してもらえない。それでも川路は、この形を崩さなかった。なぜなら、社長の想いに耳を傾けたかったから。社長は事業に大きな夢を抱く人物だった。その魅力に、川路は引き込まれていた。「夢の実現に少しでも貢献できるような提案をしたい」。それが、融資を決定付けるポイントだとも悟っていた。

2週間に1度の面談に向けて、川路は社長の求めるエリアを見て歩いた。それは、より社長の懐に入った提案をするためだった。50分の豊富な事業話の中からヒアリングした要素は、「場所は渋谷」「決め手は動線」。社長は特に、動線に関してこだわりがあった。人の流れのない場所は、集客も見込めない。商売人としてそれだけは妥協できない。そんな社長の強い想いを知るため、川路は混み合う渋谷の街を歩きまわった。

「先週、渋谷に行ってきました。私なりに、人の流れを分析してみました」。2週間後、川路は社長に切り出した。しかし、社長は納得していない。「…少し違うんだよ。人の流れは、もう少し西寄りなんだよな」。新しいヒントを得て、社長と同じ“目線”で街を歩く。2週間後、また提案する。だが社長はなかなか首を縦には振ってくれない。季節は巡り、もう3月。初めての挨拶から7ヶ月が経とうとしていた。「諦めるしかないのか…」。この案件に全力を傾けていた川路は、落胆していた。

熱意が、チャンスを引き寄せた。 3
そこへかかってきた社長からの電話。弾まない気持ちをどうにか隠しながら、川路は電話に出た。「お電話を頂戴するなんて珍しいですね。いかがいたしましたか?」。少し間を置いて、社長は口を開いた。「川路さん、融資頼むよ」。

驚きで声が出なかった。「返事がないが、大丈夫かな? 期限は2週間。時間はありませんよ」。会社は優良企業、取引銀行も数多い。融資を依頼する銀行は社長が決める。つまり、社長は川路を“選んだ”のだ。「…ありがとうございます! やらせていただきます!」。融資額は13億円。川路にとって初めての大型案件。「こんなに大きな金額、責任を持って動かすことができるのか…」。融資が決まり、次のステップへ進む。ここまで営業活動に集中していた川路は、案件を動かすことの「恐れ」は考えていなかった。しかし、いざ冷静になってみると、経験値が足りないことは明らか。川路は不安に襲われていた。通常、1ヶ月はかかる大型案件。川路は急いで稟議書の作成に入った。

お客さまに尽くすことを忘れなければ、結果は必ずついて来る。 4
融資の成約に必要な稟議書を作成するためには、「返済できる」という確証を得る必要がある。返済の見通しが立たない事業に、融資をするわけにはいかない。それは、どんなに業績の良い企業であっても同様であった。事業計画の評価と検証を行ない、最終判断をするのは審査部門。その基礎データをまとめるのは、川路の仕事である。会社全体の収益から1店舗あたりの売上、集客状況、同業他社の動向……7ヶ月間の営業の中でも得ることのできなかった詳細情報を集める。判断材料を増やすために、川路は限られた時間の中で情報の収集・確認作業に奔走した。

―――そうして迎えた、3月末日。川路は無事に、融資を成約できた。

「運は、掴みに行く者にだけ与えられるものなのかもしれないな……」。社長からもらったチャンスは、それまで地道に営業を続けてきた川路へのご褒美。社長と同じ“目線”での熱心な取組が、実を結んだのだ。「お客さまに尽くすことを忘れなければ、結果は必ずついて来る」。法人営業・川路の表情は自信で満ち溢れていた。

エピローグ
「お客さまにとって、納得感のある営業をすること。そして、“この会社はどうしたら大きくなるか”ということを、経営者と共に真剣に考えること。これが、信頼を築く秘訣のように思います」という川路。法人営業担当として最も大切なことを“教えて”くれた社長に、川路は感謝の念を抱く。

その後、社長は着実に事業を拡大し、川路に語っていた夢を次々と実現させていった。それによって必要となった追加融資は、まず川路に相談がくる。川路は今も、社長と同じ夢を見続けている。
商談の際、川路はお客さまの利き腕側に座る。お客さまを安心させるための工夫。細かい配慮の積み重ねが、信頼の獲得につながる。

〜仕事で活かした学生時代の経験〜
「法人営業の仕事は、“企業のお手伝い”。決して自分が主役ではありません。だから、人のサポートをすることを好まなければ難しいでしょうね」。学生時代、塾の講師や家庭教師のアルバイトをしていた川路。「誰かを支えることの喜び」を実感できたことが、今の仕事を続ける動機になっている。
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