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最終更新日: 2008/03/17
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プロの仕事研究
“システムの意味”を考え、大手スーパーの宅配管理システムを作り上げた開発のプロ。
ソフトウェア系−システムエンジニア(オープン、WEB系)
業務プロセスソリューション&サービス
岡出 達明 (33歳) Tatsuaki Okade
入社11年目 / 東京工科大学 工学部 情報工学科 出身

プロフィール
大学時代は情報工学に携わるも、プログラミングの実習などは苦手だった。「IT企業でやっていけるのだろうか」という不安を抱きつつも、「専門性を高めたい」と入社を決意。現場で経験を積み、徐々に力を身につけチームリーダーに。顧客とも良好な関係性を築き、安定性の高い仕事ぶりを見せている。

プロローグ
「システムには、役割によって必ず意味がある」。
入社1年目の時に受けた先輩の言葉が、岡出のエンジニアとしての礎を作っている。岡出たちが作るシステムは、人が使うもの。どのような場所で、どのような目的で、誰が使うのか。一つひとつのシステムの役割をきちんと把握し、「どんな機能が必要か」「どのようにすれば使いやすくなるのか」を考えることが必要だ。現場で経験を積み、顧客とシステムの仕様について話し合う場が多くなって、より先輩の教えの重要性を噛み締めている。

現場で経験を積み、プロジェクトリーダーとして3名のチームメンバーを率いている岡出。後輩たちには、自らのエンジニアとしての心得を伝授している。客先にて、システムを使う人の声を直接聞くことができるオープンリソース。だからこそ、使う人の立場に立ってシステムを作ることがオープンリソースのエンジニアには求められる。しかし、岡出も入社1年目の時には、指示されたものをそのまま作るだけであった。そんな岡出を変えたのは、入社時から師事していた先輩の言葉と、システムを使うエンドユーザーの声だった…。

システムの一番大事なところを作れば、全体がわかる。 1
「岡出に任せたい案件があるんだ」。
先輩から声をかけられたのは、研修を終え、開発現場でプログラミングなどの作業に奮闘していた頃だった。入社以来、面倒を見てくれていた先輩は岡出にとって憧れの存在。入社4年目ですでにマネージャーとしてプロジェクトを牽引し、常に冷静な判断を下す姿に「自分もあんなエンジニアになりたい」と自らの将来像を重ねていた。そんな先輩から誘われ、岡出は二つ返事で答えた。

今回のプロジェクトは、大手スーパーの宅配管理システムの開発である。エアコンやテレビなど家電製品を購入した際の、配送業務を支えるシステムだ。「いつ・どこに・いくらで」という配送伝票の情報をシステムに入力すると、配送や発注業務が一つの画面上で行なえるものである。既存のシステムを刷新し、業務を効率化させることが目的だった。岡出には入力画面が任された。システムを使うエンドユーザーが触れることになる、一番重要な役割である。「自分にはまだ早すぎるんじゃないか…」と不安を抱く岡出。「はじめにシステムの重要なところを作れば、全体が見えてくるだろう」という先輩の狙いは知る由もなかった。

システムは、作って“終わり”ではない。 2
「データベースって何だ?画面を作るってどうすればいいんだろう…」。
プロジェクトに参加してから、岡出はわからないことの連続だった。システムをイチから作るのは、はじめての経験。先輩の作った設計図をもとに、プログラムを組み立てていくのだが、初歩的なことでつまずいてしまう。足踏みをする岡出を助けたのは、先輩の配慮だった。画面のサンプルを参考例として作ってくれていたのだ。岡出はそれを参考にして、画面を作り上げていく。思考錯誤しながらもわからない点は先輩に尋ね、徐々にシステムはカタチとなっていった。

「お前が画面を作ったんだから、責任を持ってお客さまに説明しろ」。
入力画面を作り上げてほっとしたのも束の間、先輩から新たなミッションが与えられた。システムは、作って“終わり”ではない。出来上がったシステムが要望通りのものかどうかを、先方の担当者と確認する必要がある。岡出は、はじめて客先でシステムの説明を行なった。緊張で指先が震えるなか、一通り説明を終える。「とりあえず、稼動させて様子を見ましょう」。担当者の言葉に、安堵した。

誰に向けて、システムを作っているのか。 3
岡出たちが作ったシステムが、いよいよ客先に導入された。今後は、実際の業務で使われるなかでシステムに改良を加える。システムを利用するのは、宅配業者の社員たち。彼らの「こんな機能があったら」「これは必要ない」という声を聞き、より業務に即したシステムにする。しかし、担当者からの連絡は、岡出にとっては身を切られるような内容だった。

「帳票の合計が合わないんだけど…」「登録したデータが消えてしまって…」。
担当者からの連絡は、システムの不具合に対する修正依頼だった。「とりあえず、現場を見なければわからない」という先輩の指示のもと、岡出は現場へゆき、何が問題なのかを調べていった。一つひとつの原因を調べていくうちに、岡出の作った機能が、現場にとっては不必要な機能になっていることに気がついた。「ユーザーのためを思って作ったのに…」。岡出の疑問に、先輩が答えた。「お前は、お客さまの立場になってシステムを作っていないんだ。システムの意味をちゃんと考えろ」。

システムには、それぞれ意味がある。 4
先輩の言葉は、岡出にとって新たな気づきを与えた。岡出は、金額や日付など入力した情報をチェックする画面に自動計算機能をつけていた。しかし、チェック画面は手打ちで入力しなければチェックの機能を果たさなくなってしまう。システムにはそれぞれの目的に合わせた機能があり、そこには必ず意味がある。ユーザーがシステムに何を求めているかを考えれば、必要な機能を把握できる。岡出には、ユーザーの立場に立ってシステムの意味を考えるという視点が欠けていたのだった。

先輩の言葉で、自らに足りていなかったものを自覚した岡出。それ以降は、客先でも「こういう理由だから、この機能が必要だ」と使う人の立場になって考えるように心がけた。何度かのやり取りを経ていくうちに、「業務がはやく済む」「こんなことができるんだ」という声が客先から上がるようになった。自ら作ったシステムが、人の役に立っている現場を目の当たりにし、大きな成功体験を積んだ岡出。その後も、新たな要望に応えるための機能を作り、信頼関係を築き上げる姿には、オープンリソースのエンジニアに必要な“使う人の立場に立つ”視点が身についていた。

エピローグ
1年目でシステムをイチから作り上げ、顧客とのやり取りまで経験した岡出。同期よりも早く成功体験を積んだ岡出は、その後数々のプロジェクトを経て、リーダーとして後輩の指導にあたっている。

「ユーザーに近い立場で仕事ができるからこそ、システムに何を求めているのかを考える必要がある」と語る岡出。現在では、プロジェクトをはじめる前には必ずシステムを使う人に「何に困っているのか」を聞くことからはじめるという。そして、いくつかの改善策を提示し、システムを顧客とともに作っていくスタイルを貫いている。多くの取引先から「岡出さんでなければ」と指名される岡出は、オープンリソースのエンジニアへの信頼を高めている。
「後輩に聞かれたことは、たとえわからなくても自分で調べてから答える。これも先輩の受け売りなんですね」。

〜仕事で活かした学生時代の経験〜
大学時代は4年間パチンコ店のアルバイトをしていた。当時のアルバイト仲間はとても仲がよく、プライベートでもよく遊んでいた。仲間意識を持つことで、楽しみながら仕事をするという意識が身についた。仕事場では、チームのメンバーにも楽しく仕事をしようと働きかけるなど、ムードメーカーとしての役割も果たしている。
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