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情報・通信(ソフトプロダクト開発(パッケージ商品)) / サービス(専門コンサルティング(情報通信系)) / 情報・通信(情報処理サービス)
最終更新日: 2007/10/09
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プロの仕事研究
サプライチェーンマネージメントの大型案件を“人間力”で成約させたIT営業のプロ。
営業・販売系−営業(法人・ルートセールスが中心)
営業部
佐伯 寿雅子 (30歳) Sugako Saeki
入社8年目 / 淑徳大学 国際コミュニケーション学部 文化コミュニケーション学科 出身

プロフィール
2001年に入社。まずは大手家電メーカーの適正在庫分析システムコンサルティングを担当する。その後、電子機器メーカーの顧客分析システム構築や通信キャリアのセキュリティーシステム構築など、数々の大型案件を成約に導く。現在、若手トップ営業としての地位を確立し、後輩の育成にも尽力している。

プロローグ
佐伯寿雅子はこう表現する。「9時から5時まで野放し状態…」。入社1、2年目はそんな毎日が続いた。もちろん、遊んでいるわけではない。彼女に託された仕事は“新規開拓=飛び込み営業”だった。当時、営業の効率性など、まったく頭になかった。駅を降りたら目の前にあるビルへ入り、上から下まで各オフィスを訪問。受付で担当者につないでもらい、不在ならば名刺を渡し、連絡先を聞いてくる。さらに夕方になると、改めて訪問先にコンタクトを取る。無我夢中。それがプロの営業として認められるための、はじめの一歩だった。

そして入社2年目を迎える直前、佐伯に30社ほどの担当クライアントが与えられた。新規開拓に加えて、そのフォローと営業促進も仕事になる――忙しさが倍増した。ちょうどそんな頃、彼女は“その会社”と出会った。それは電子部品や樹脂製品、さらには半導体などの製造に欠かせない素材メーカーA社だった。いつものように、ビルの上から下までを巡った結果の訪問。だが、偶然の出会いがA社とのつながりを深くしていく。実は自社のグループ会社の営業スタッフもコンタクトを取ろうとしており、協力してトライすることになったのだ。

定石通りのアプローチで幕を開ける 1
訪問初日、A社の担当者に会うことはできなかった。ただし、佐伯は担当者の名前、グループ会社の営業はその電話番号をお互いに情報交換し、かつ営業活動を活発化させた。数日後、アポイントメントが取れ、彼女はA社へ行った。まずは定石通り、ビーコンITの紹介と自社製品のセミナーに関するパンフレットを渡した。ただし、この時点ではまだ手探り状態。挨拶を交わした程度で、A社から得られた信頼は皆無だった。

それから佐伯はA社を週に何度か訪問した。幸運にも担当者がいれば、許された時間での会話に集中した。だが、彼女の話はいわゆる商談ではなかった。まずは何気ない世間話で盛り上がる。自社製品の話など一切出ないこともあった。それでも礼儀をわきまえつつ、気さくで好奇心旺盛なキャラクターが受け入れられていた。先方の信頼度は次第に高まっていた。気づけば、A社の担当者が社内事情、特にIT関連の問題点を話すようになっていた。もちろん、その裏には佐伯の地道な努力があった。世間話に加えて、A社のビジネスについて、さらには仕事での苦労話に耳を傾けた上で、会話のイニシアティブを握ろうと心がけていた。新たな商談が始まっていた。

SCMの構築に向けた動きをキャッチしたが… 2
実はこの営業ノウハウは、当時の上司となる部長から伝授されたものだった。そして、この商談は着実、かつスピードを増しながら進んでいるように見えた。当時、A社では取引先となる大手半導体メーカーとの連携を深めるべく、サプライチェーンマネージメント(SCM)の構築に動き出そうとしていた。それをキャッチできたのも、佐伯が経営課題などあらゆる情報を引き出した結果。さらにここで彼女は製品に関する技術的な情報を自ら提供せず、自社のトップエンジニアに同行してもらい、商談の幅を広げた。まだ入社2年目の若手営業である。説得力には雲泥の差があった。加えて、このやり方は彼女にもメリットがあった。トップエンジニアの話を現場で聞くことで、自社製品の確実な技術情報を深められたのだ。そうして時は流れ、A社からRFP(提案依頼書)を手渡された。つまり、契約の意志があるということ。佐伯の顔がほころんだ。だが、この後に“契約”というハードルがいかに高いのかを思い知った。

数日後、彼女はA社に電話した。すると、衝撃の事実が伝えられた。「実は他も検討したいと考えていてね…」。それは競合他社とのコンペを意味した。現実の厳しさを痛感した。

長期的な視野に立ったソリューションの提案 3
SCMの構築。それはスケールの大きな話であり、ビッグビジネスになることは容易に想像できた。そこで佐伯らビーコンITは製品単体で勝負するのではなく、SCMで活用可能な6製品を組み合わせたソリューションの提案に力を注いだ。そして、佐伯自身は営業として、他社の動きをA社からキャッチしようとした。

この頃すでに「いつでもお茶を飲みにいけるような関係」にまで、A社とのリレーションが発展していたからこそ、確かな情報を入手できた。たとえば、他社が提示した金額は、ビーコンITよりも安かったこと。一方、大きなソリューションとして提案したビーコンITの提案内容に、A社は大きな興味を示していた。そこで彼女はA社の経営課題などを見据え、より深く切り込んだ交渉に力を注いだ。ポイントは『他社よりも高いが、将来的な拡張性はある』。SCMを構築した後、大幅なリプレイスとなった時に、どちらにメリットがあるのか――それを重ねて強調した。拡張性に長けた自社のソリューションならば、後々のリプレイスに費やすコストを抑制することは可能。だが、他社の提案はそれが難しかった。今を見るのか、将来を見るのか…。選択すべき答えは決まっていた。

案件自体が頓挫したものの… 4
4社いた競合は2社にまで減っていた。ビーコンITもその中に残り、契約獲得に向けたラストスパートが始まろうとしていた。しかし…急転直下な出来事が佐伯を襲った。何とA社の社長が海外支社のインフラ整備を優先したことから、案件自体が頓挫したのだ。まさしく、鶴の一声。それでも、彼女は冷静に現状を分析し、次の手を打とうと考えていた。ひとつなくなったのだから、新しい案件を探せば良い――後ろを振り返ることなく、これまで通りにA社を訪問した。頓挫したからすべて終わり…そんなことは考えもしなかった。

いつものように訪問してはお茶を飲み、世間話に花を咲かせる。SCMの案件が頓挫してから1年近くも続いた。そして、案件自体を忘れかけていた頃、まさかの展開を呼んだ。「佐伯さん、あの件を覚えている?」。先方の担当者が告げたそのひと言に、眼を輝かせた。SCMの構築が再浮上し、1年半後のリリースを目指して推進されることが決定。しかも、競合はおらず、ビーコンITの提案内容が支持されたのである。颯爽と自社へ戻った佐伯は、開発エンジニアの招集とスケジュールの調整に動き出す。その表情はプロの自信に満ち溢れていた。

エピローグ
受注後、大変だったのは開発エンジニアたちだった。1年半後のリリース。大規模なシステム構築だからこそ、毎日のように遅くまで作業は続いた。その中には佐伯に技術的な知識を教えてくれた上司もいた。全社一丸。そんなチームワークの高さを再認識し、彼女は全力を投入するスタッフに厚い感謝の念を抱いた。この案件は結果として、数千万円の売上を記録した。だが、佐伯自身は売上規模よりも、自らの人間力で契約を勝ち取ったことに大きな達成感を得ていた。その後、彼女は名実共に若手営業のトップに駆け上がっていく。そして今、尽力するのは後輩の育成。自分の経験を存分に伝え、ビーコンITの新たな飛躍に貢献したいと考えている。
人と人との触れ合いからビジネスチャンスを広げる佐伯。今後も人間力を最大限にアピールし、お客様からの信頼を獲得していく。

〜仕事で活かした学生時代の経験〜
学生時代、アジアを中心によく海外旅行をした。また、アルバイトではアパレルなどの接客業、さらには障害者のボランティアにも参加した。これらの経験でいろいろな人々の考えに触れ、意見交換することで『人と会うことの楽しさを感じる』という自分の価値観を確立できた。これが現在の営業職で大いに活かされている。
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