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最終更新日: 2007/10/01
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プロの仕事研究
自作の検索エンジンで日本有数のアクセス数を支える、新システム開発のプロ。
ソフトウェア系−プログラマ
開発部 研究開発グループ/リーダー
平林 幹雄 (30歳) Mikio Hirabayashi
入社3年目 / 立命館大学 政策科学部 政策科学科 出身

プロフィール
学生時代からプログラミングに没頭。CやPerlを使いこなし、自作の検索エンジンをオープンソースとして公開していた。それがミクシィ社長、笠原の目に留まりスカウトされる。以降、mixiの各コンテンツに欠かせない検索システムの全面改良に着手。億単位のアクセスを支える開発スペシャリストとして活躍中。

プロローグ
ユーザー数:1110万人。月間PV数:118億件。月間滞在時間:3時間25分…。

それらの数字は、いわばサイトの『実力』を表したもの。人気のあるサイトになればなるほど、訪れるユーザー数は天文学的な数字になり、システムにも負荷が掛かる。磐石なシステムやサーバなどを擁し、サイトを支える土台が強固なものでなければ、それほどのアクセスを支えることなど到底できない。そして、ユーザーをより惹きつけていくためのサービスの拡充スピードも、mixiの持つ高度なシステムによって成し遂げられている。

mixiが提供するSNSサービスの特徴の一つに、全てのコンテンツに検索機能が付いていることがあげられる。日記、コミュニティ、ミュージック、ニュース…。1110万人ものユーザーが記す日記や視聴した楽曲などが、サイトに反映された瞬間から即座に検索できる。膨大なデータ量とトラフィックにおいても、ユーザーがストレスを感じることなく欲しい検索結果を提供する。それを可能としたのが、mixi研究開発グループの平林幹雄である。

ミクシィが平林を求めたワケ。 1
2006年、mixiのユーザー数は爆発的に伸びていた。同年3月では300万人だったその数は、2007年1月に800万人を突破。同年5月には1000万人の大台を超え、勢いは止まることを知らない。渦中、社内では議論が活発化していた。増大するユーザー数、次々にリリースされる新サービスにより、現状の検索エンジンでは精度が維持できないと判断。新検索エンジンへの切り替えが急務とされた。

一方、平林は経済産業省(IPA)の“未踏ソフトウェア創造事業”で、自ら開発した検索エンジン“Hyper Estraier(ハイパー・エストレイヤー)”が認められ、技術者の間で注目が高まっていた。技術は産業界からも高く評価され、ビジネス化の話も舞い込んだ。魅力的な話も多く平林は迷う。しかし、『検索エンジンの精度は、ユーザーが実際に検索して評価されるもの』と考えていた平林は、自身の検索エンジンがユーザーと密接に関わる環境を求めていた。

そんな折、ミクシィ社長・笠原から平林の元に一本のメールが入る。
「平林さんの開発した検索エンジンが当社に必要なんだ。力を貸していただけないだろうか」。話を聞いた平林は、これまでにない興奮を感じた。「自分の検索エンジンの実力を試すのは、ここしかない。日本有数のユーザー数とトラフィックを処理してみせる」。こうしてミクシィ平林幹雄が誕生した。

尋常ではないトラフィックに圧倒される日々。 2
笠原から求められたリリースまでの期間は、わずか半年。短い期間であることは間違いないが、増え続けるユーザーに快適なサービスを提供するためにも猶予は許されない。mixiの特性は、平林も把握しているつもりだった。豊富なコンテンツやユーザー数から想定できるトラフィックの量は認識できている。自ら開発した『Hyper Estraier』への自信もあった。

平林に求められたのは、高速かつ検索モレのない検索エンジンをmixi内で動作させること。mixiのサイト特性を考えた時、欲しい検索結果を確実に提供することが重要となる。ユーザーはマイミク検索や日記検索など、欲しい情報をあらかじめ狙って検索するためだ。したがって適合率の高さがmixiの検索エンジンの肝となるのだ。

さっそく検索エンジンをmixiアーキテクチャと統合させるべく、検索エンジンのプロトタイプを開発。mixiの実データを使ったクエリーの一部を、システムのプロトタイプに流す。しばらく様子を見守る平林。しかし、ものの5分と経たないうちにシステムはダウンしてしまった。「現状のシステムでは、mixi内を流れる膨大なトラフィックを処理しきれない」。平林に厳しい現実が突きつけられた。

「やってみないと分からない」、未踏領域への挑戦。 3
精度以前の問題に、平林は肩を落とした。『mixiのトラフィックは、これほどまでに膨大なのか…』。直面しているのは、抜本的な設計の見直し。実験データだけでは計りきれない巨大サービスの前に、平林はしばし呆然とした。1秒間に100以上のアクセスが殺到するサイト。それに耐えうるためには、検索処理をより多くのコンピュータに分散させて行なう必要があった。

それだけではない。当時、mixiのユーザー数は飛躍的な伸びを示していた。現状に耐えうるだけでなく、先を見越したスケーラビリティも求められるのだ。しかし平林自身は、これほどにユーザーが急速に伸びる環境下でのシステム構築の経験がない。彼にとっても、未踏の領域で開発を行なうことになるのだ。「ここまで来たら、やってみないと分からない。やるしかない」。分散処理を進めながらスケーラビリティを考慮し、最適なスペックを見極めていく。スペックは大きすぎても、少なくてもいけない。サイトとして最適なパフォーマンスが発揮できなくなるからだ。見極めるのは、円熟したエンジニアたち、そして平林の腕にかかっていた。

リリースに向けて一歩一歩近づき、そして…。 4
笠原との約束の日は着実に迫ってきていた。スケーラビリティの追求。サーバの運用グループの協力で実現したアベイラビリティ。さらに、再現率を保ちながら適合率を上げていくテスト。検索エンジンは、徐々に想定した精度をクリアできるまでになっていた。以前の検索エンジンよりも、確実にアップグレードした検索エンジンがいよいよ日の目を見る日が近づいてきた。

そしてリリースの予定日。平林は笠原らと共に新しい検索エンジンの動作を確認していた。ユーザーの見た目には、いつも通りのトップページ。そこに秒単位で、ユーザーが打ち込むクエリーが流れ込む。トップページこそ、mixiの全てのユーザーが通るページでありシステムに最も負荷が掛かる。果たして…。

平林の心配は杞憂に終わった。検索エンジンは、ユーザーからの要求に精度を落とすことなく、検索結果を的確に再現したのだった。システムが動作し始め、拍手に包まれる開発部内。そこには、ホッと胸をなでおろす平林の姿があった。

エピローグ
平林自身もmixiユーザーであり、mixiの提供する小さな機能の一つひとつがユーザーの生活を変えていけると実感している。mixiには、まだまだ可能性がいくらでも潜在しているという。

現在は、研究職に近い立場に身を置き、ユーザープロファイルやデータマイニングの研究に没頭している平林。「いつかは検索エンジンがなくても容易に情報収集ができるサービスを展開したい。そのためにはデータマイニングの技術を高めていき、ユーザーにとって最適なサービスとしてリリースしたいですね」。平林はその限りない才能で、今後もミクシィの成長を支えていく。
新しいサービスの研究に余念がない平林。彼の作り出すシステムによって、mixiに新たな命が宿る。

〜仕事で活かした学生時代の経験〜
全文検索エンジンをはじめ、Web掲示板、Wiki等、学生時代にソフトウェアを次々と書き溜め、その過程でプログラミング言語を自分のものにした。また、UNIXのオンラインマニュアルを全て読むなど着実に知識を身につけた。そこで得た知識は、高度なプログラミングが必要となる現在の仕事の土台として活きている。
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