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サービス(レストラン・フードビジネス) / 流通・小売(専門店(食品))
最終更新日: 2007/10/25
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プロの仕事研究
接客・サービスのスキルを上げ、問題店の立て直しを図るフロアトレーニングのプロ。
営業・販売系−スーパーバイザー
東海事業部/フロアトレーナー
小日向 実加 (25歳) Mika Kohinata
入社4年目 / 専修大学 経済学部 出身

プロフィール
学生時代のアルバイト経験から人と接する仕事に魅力を感じ、フードビジネス業界への就職を志す。様々な考えや夢を持つ人たちが集結しているイオンイーハートという会社に興味を持ち、自身の進路に。神奈川ゾーンの『グルメドール』各店、『和ぐるめ熱田店』勤務を経て、現在は東海事業部のフロアトレーナーとして活躍中。

プロローグ
「困ったな」。入社して3年目、社内でも常に上位ランク入りしている繁盛店『和ぐるめ熱田店』で店長代理としての経験を積み、「いよいよ、これからは店長としてやっていくのだ」と決意を固めていた小日向実加は、突然、東海事業部のフロアトレーナーの任命を受け、とまどっていた。

2007年3月、株式会社イオンイーハートでは、社内改革によって「フロアトレーナー」という新しい職位が誕生した。それまでのキッチンのスーパーバイザーに加え、フロアにもスーパーバイザーを配置することで、接客やサービスのスキルアップを図り、問題や課題を抱える店舗の立て直しを図ろうというのがその目的。フロアトレーナーは、本部からの指示で指定の店舗に応援という形で入り込むが、問題や課題の内容はそれぞれの店によって異なるし、改善や教育の方法についてはマニュアルがあるわけではなく、前任者もいないため、各フロアトレーナーが自分自身で考え、判断して行動しなければならない。責任のあるポジションを与えられたことへの喜びを感じつつも、まだキャリアの浅い小日向は、期待に応えられるだろうかという大きなプレッシャーを感じていた。

新店のフロアトレーナーという大役。 1
全国の各事業部から集められたフロアトレーナーは7人。ゾーンマネージャー・クラスのベテランから入社2年目の新人社員まで、バラエティに富んだメンバーだ。そんなメンバーが、年齢やキャリアを超えてスクラムを組み、未開拓分野を確立すべく話し合いを重ね、模索を続けながらも少しずつ成果を上げていった。小日向も、迷ったり落ち込んだりすることはあったが、その都度、上司のアドバイスを仰ぎ、東海地区の店舗をいくつかまわりながら、自分なりの方法で店舗再生のためのスキルを磨いていった。「新しいことの提案は、おつしけであってはならない。既存のキャストたちと十分に話し合い、その上で提案したいことがあれば、まず、いっしょにやってみる」。それが、小日向流のやり方だ。

そして、その年の夏、小日向に新たなミッションが与えられることになった。ニューオープンする大型ショッピングセンター内の新店のフロアトレーナーを任されることになったのだ。

既存店と違って、新店の場合は店づくりの準備からそこで働くキャスト(アルバイト・パートスタッフ)の採用・教育など、すべてがゼロからのスタートとなる。フロアトレーナーは、オリジナルのトレーニング・プログラムを組み、未経験者を教育しながら店づくりを行わねばならず、責任は重大だ。経験のない小日向にとっては、高すぎるハードルだった。

教えることの難しさを再確認。 2
準備期間は、5日間。まず、本部から送られてきた山のような備品類の仕分けやセッティング、店内のレイアウトの微調整を行い、それからキャストのトレーニングだ。しかし、最初のつまずきは思わぬところにあった。十分な話し合いをしてきたつもりではあったが、ちょっとした解釈の違いややり方の相違によって、4人いるフロアトレーナーの足並みが揃わないのだ。「この程度の指導のしかたは、それぞれの判断に任せておけば大丈夫だろう」といった小さな油断が、詳細の不徹底として、現場の混乱を招いてしまうこともあった。

また、教育対象者が全員新人であることも、トレーニングを難しくしていた。既存店の場合は、フロアトレーナーが新人に教育した内容は、フロアトレーナーが現場を抜けた後、ベテラン・キャストがフォローしてくれていたが、新店にはそのフォロー役がいない。そのため、同じことを何度も繰り返し教え込まねばならず、予想以上に時間を費やすことになった。また、通常、新人教育はマンツーマンで行うが、新店では複数人数を相手にするため、一人ひとりの集中力を欠かさないよう、“人の心を惹きつける教え方”の工夫も必要だった。

確かな手ごたえ。 3
しかし、ともするとベテラン・キャストの反発を招きがちな既存店の場合と違って、新店では、キャスト全員が小日向の指導や意見に素直に従ってくれたため、模索や工夫に苦労することはあったものの、最後まで無理なく、自分らしいやり方でトレーニングに徹することができた。

──そして、トレーニング最終日。キャストから、「私たちみたいなもの覚えの悪いスタッフを、最後までいっしょうけんめい指導してくれてありがとうございました。本当にご苦労さまでした。明日から、精一杯がんばります!」という言葉をもらった小日向。「自分の指導や教育のしかたは果たして正しいのだろうか、思いはきちんと伝わっているのだろうか」。新店という初めての経験の中で、自分自身への不安や疑問を感じ、「キャストに申し訳ない」という気持ちを抱きながらの手探りが続いたが、自分のやってきたことは決して間違いではなかった……。小日向は、キャストからもらった言葉から、喜びとともに確かな手ごたえを感じていた。

かけがえのないご褒美。 4
「仲居さんがいる旅館のような、気が利いて温かみのある店づくり」をモットーに準備を重ね、いよいよ迎えたオープンの日。しかし、小日向が感じていたのは、やり残したことの多さ、本当に店がまわるのだろうかという大きな不安だった。

オープン当日は、他のトレーナーやマネージャーも店を訪れ、期待と緊張で店内にはピリピリしたムードが漂っていた。小日向も、大きなミスをしてはいけないという気負いから、キャストたちの動きにばかり気をとられ、接客やサービスがおろそかになっていることに、上司から指摘されて初めて気づくという、いささか余裕を欠く状態だった。そんな小日向の緊張を解いてくれたのは、帰り際のお客さまからの言葉だった。「母親くらいの年代の人たちに指示を出しながら、お店全体をしっかり見ているあなたの動きに感動しましたよ」。声をかけてもらえたことが本当にうれしく、その言葉は後の小日向の大きな励みとなり、かけがえのないご褒美となった。

エピローグ
約1ヵ月間の任務を経て、小日向はまた新たな既存店の立て直しに取り組んでいる。しかし、新店オープンをなし得た小日向のフロアトレーナーとしての姿勢は、大きく変わった。そのひとつが、キャストに対する気持ちだ。「新店を体験して、自分がどれだけキャストのみんなに支えられていたかを痛感しました。それに、たとえ問題や課題を抱えている店であっても、キャストがいたからここまでやってこられたわけです。だから、まず、今いるキャストに感謝して、彼らにとってよりよい方法は何かを考えながら指導するようにしています」。

夢は、「フロアトレーナー」という役職名にこだわらず、「東海事業部のトレーナー」として活躍することだ。
「自分なりの考えややり方を実現しながら、フロアトレーナーの仕事を発展させていきたいと思っています」。

〜仕事で活かした学生時代の経験〜
学生時代の飲食店でのアルバイト経験は、現在の小日向のベースとなっている。また、大学では経済学部に所属し、ゼミの活動の一環として毎週、経済関連の本を一冊読んでその要点をまとめて発表していたが、そのことは、人にものごとをきちんと説明するためのスキルとして役立っている。
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